さて、私の演劇の師匠はつかこうへい先生と言います。

つか先生と言うとチャーチャチャーチャララ♪の音楽でも有名な【蒲田行進曲】や【2代目はクリスチャン】、【飛龍伝】などなど数えれば切りがない名作を世に生み出した劇作家なのですが、演出家としても多くの俳優を育てています。

【SP】シリーズで活躍した神尾佑さんや、私が映画【振り子】で共演させて頂いた小西真奈美さんなどはつか先生の劇団出身ですし、筧利夫さん、内田有紀さんなど先生の作品に出演して一層演技に研きをかけた方々もたくさんいらっしゃいます。



《映画【振り子】》

私がつか先生の門を叩いたのは準ミスインターナショナルを頂いて、ドラマやCMなど忙しく仕事をさせて頂いていた時、やはり本格的に演技がしたいと悶々とする中での挑戦でした。

先生はとっても厳しかったですが、演劇人として、そして人として本当に大切な事を教えて下さいました。

亡くなるときにお話しになった言葉


『恥の多い人生を歩んで参りました。』


在日韓国人として生まれ、差別をする側もされる側も両方経験してきたと語り、ある時は求められて慰安婦関係の作品の為に取材をした結果、余りの捏造された現状を知り、こんな嘘は作品に出来ないと堂々と宣言された先生。
またある時は名作【飛龍伝】で当時の学生運動を描きながら、運動に従じていた幹部の人間たちが如何に卑怯であったかの真実をえがき、またその運動を率いたからにはこうあるべしとしてラストシーンでは銃弾に倒れさせ昇華させた。
これにより、現実世界でのうのうと生きる学生運動の元幹部たちの卑怯で卑劣な人間性を強烈に批難した。

恥を知る=日本人

として日本人として亡くなったつか先生の人生の総決算の言葉は今の日本人にこそ響くことのように感じます。

そんなつかイズムが詰まった作品【引退屋リリー】を観てきました。



この作品も生前に上演予定だったのですが、オーディションをする中でどうしても先生の納得するキャストが集まらずにお蔵入りとなっていた作品。

当時を知る方々の努力で遂に上演となりました。

内容は、観てのお楽しみですが先生もきっとニッコリ笑って下さると思います。