■SAMSON R21S

名前が似ているので韓国SAMSUNG社と勘違いされることがあるSAMSONはもちろん別の会社(Samson Technologies)で、1980年設立のアメリカの老舗音響機器メーカーです。ワイヤレスマイクやドラム用のマイクセット、PA用の小物機器などを日本でも見かけます。私も同社のDIや舞台用ヘッドホンアンプを使っています。

R21Sは外観がSM58Sとよく似たスイッチ付きの汎用ダイナミックマイクで、一般の人が「普通のマイク」と言われて想像するマイクそのものの形をしています。新品がマイクケーブル付き1950円ですから格安のマイクです。見た目も中身もいたって普通なので、特にシビアにマイクの音質を問わない施設やイベントに使うならこれで十分じゃないかという気がします。これもハードオフのジャンク箱の中にあり、お値段は1本500円でした。スイッチ付きは仮設トークバックや影ナレ用途に便利なので、何かで使えるか、と購入。2本買ったうち1本は正常に音が出ましたが、1本はいわゆるロー抜け状態で、カリカリな音です。

スイッチにはプラスドライバーで外せるON/OFF固定用のプレートが付いています。PAで使う場合、マイクの持ち手に操作してもらいたくない場合があるので助かります。グリップエンドに離れた場所からマイクを区別するための色付きリングを嵌める溝があります。


ロー抜けしているほうのグリルボールを外してみました。SM57/58と似た青いカプセルが付いています。胴体上部に四角い穴が2つあり、そこにゴムの爪がひっかかってカプセルが固定される仕組みです。


グリルボール内のスポンジはFIFINE K8と比べるとさほど厚くありません。


FIFINE K8の修理に使うカプセルをアリエクで購入した時に、同じくCoolVox製ではないか?と思われる汎用カプセルがあったのでついでに購入しました。N-813と型番が付いていますが見た目はBETA58のカプセルに似ています。お値段は2個で800円。音はあまり期待しませんが普通にトークに使える程度の品質があれば良いかな。

Xiao Yu’s store
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送料が安かったせいかK8のカプセルより10日ほど遅れて到着。


直径は交換前のカプセルより微妙に太く見えます。



何も考えずに付けてみましたが、胴体から突出するカプセルの先端部がオリジナルのカプセルより長いのでグリルボールがつっかえてねじ込めません。


音が逆相です。更に、上下方向に振ると何か小片のようなものが中で外れて振動しているようなカチャカチャ音が聞こえます。


調べもせずに赤い線がホットだろうと思い込んでいたのですが、配線を追うと赤が3番、白が2番につながっていました。

シールド線ではないがK8より太くてしっかりした線です。スイッチもネジ固定で外せそうなので交換も可能でしょう。

配線を外し、カプセル単体を振っても耳でカチャカチャ音が聞こえるので、異音の原因はカプセル内部です。左右に振っても音はしないのでコイル周辺の何か??一緒に届いた2個目を振ってもそんな音はしないので、1個目は諦めて2個目を使います。今度は赤ぽち印を白線につなぎました。


先端部の突出問題は、カプセルの外周のゴムが最も太い部分を四角い穴にはまる爪部分を残しカッターで削ったことで、オリジナルの突出量25mmに対し29mm程度に抑えることができ、これでなんとかグリルボールの内側に干渉しないようになりました。



元通りに組み立て、未改造のもう一本と音質を聞き比べるとオリジナルより低域が増えて厚めな音になりました。改造前後で外観は変わらないものの内部ではダイヤフラム位置が4mm口に近くなるせいもあるのでしょうが、オリジナルのR21Sの音のほうがすっきりしています。でも普通にトークで使う分にはノイズも少なく、特に問題無い音質に思えます。カプセルの値段を考えればいたって良心的な音です(でも1個は使えませんでしたが・・・)。

(がんくま)