使用開始から1年ちょっとで充電ができなくなりました。突然の故障では無く、MicroUSB端子が摩耗・変形してだんだんと充電ケーブルを認識しなくなったためです。充電以外の機能は全て正常なので基板交換により修理を試みました。ありがちな故障だと思うのですが検索しても情報が無かったので記事化。

交換に用いる基板は"OUKITEL WP6 USB BOARD"で検索するとeBayやBanggoodで販売されているものがヒットします(2021~2022年現在)。価格は$11~16程度で、今回はeBayで購入しました。半月ほどで届きました。


なお、最初は早く修理したかったので秋月電子でMicroUSBのコネクタだけを買って交換修理を考えたのですが、基板の写真を見たところ秋月で売っているコネクタはどれもWP6の交換用には向いてないように思えます。はんだ付けの難易度も結構高そうです。


後述しますが、バイブレーターモーター付きの基板を買えばはんだ付け不要で交換修理できるはずなので、同じ修理を検討している方は素直に交換基板を購入することを推奨します。

■分解手順
必要な工具
・トルクスドライバー T-5
・精密ドライバー +
・精密ドライバー -(または爪楊枝、パターンカッターなど)
・ピンセット(あれば)
・両面テープ(あれば)

※紛失しやすい小ネジ等の部品が多いので作業環境に注意。
※本機種のバッテリーは大容量かつ取り外し式では無いので、バッテリー残量がある時は使い切ってからの作業を推奨します。私はバッテリーが完全放電している状態で作業しました(充電できないからねw)。

まずサイドのアルミ枠を外します。SIMを抜く必要はありません。左右どちらも短いトルクスネジ4つで止まっています。


ネジを外してアルミ枠の隅にマイナスドライバーかカッターナイフの刃を入れると外れますが、この時ボタンカバー2つと黒いSIMスロットカバーの蓋が外れますので紛失に注意。


本体上部と下部にある4本の長いトルクスねじ(合計8本)を外します。



背面パネルを揺すって外します。パネルと本体の間に配線はありません。



本体下部のUSB充電基板(交換対象)に配線が3箇所あるので外します。


具体的には左右の絶縁シールの下に黒いケーブルが繋がっている金色の同軸コネクタがありますのでマイナスドライバーや爪楊枝などで引っ掛けてそっと外します。



中央部分の絶縁シールは剥がさず、その下にあるコネクタの蓋にマイナスドライバー等を引っ掛けて外します。


銀色の+ネジ5本を外し、配線やコネクタに負担がかからないよう注意しながら基板を取り外します。



■基板の交換と再組立て
外した古い基板と交換する新しい基板を比べてみますが、矢印部分の部品がありません。



スピーカーかな?と思いましたがこれはバイブレーションモーターでした。元の基板から取り外して移植しないといけません。


モーターは導電性?の両面テープで基板に貼ってありますので外し、はんだこてで赤黒の配線を外します。


交換する基板のランドにはんだを乗せ、外したモーターを交換する基板の同じ位置に同じ向きで貼り付けます。両面テープは再利用しましたが、粘着力が落ちて後で剥がれかけましたので、薄い強力両面テープがあれば貼り直したほうが無難です(私は後から接着剤で固定しました)。蓋側にもモータに合わせた凹みがあるので交換中にポロッと取れなければ良い程度なのかも?


赤黒線を極性通りにはんだ付けします。


このはんだ付けをしたくない場合、探せばバイブレーターモーター付きの基板も売られています。これならモーターを両面テープで貼るだけで交換できます。


コネクタや配線に負担をかけないように注意しながら基板を元の位置に取り付け、中央のコネクタの位置を合わせて挿します。左右の同軸コネクタとケーブルが基板の上に出ていること、MicroUSB端子とイヤホンジャックが本体の穴にきちんとはまっていることを確認したら、5本のネジを締めて基板を固定します。


同軸コネクタ2つを元通りにはめます。コネクタ位置がずれている状態で上から強く押し過ぎるとコネクタが変形するので力加減に注意。ヌタッとはまったらコネクタの上に絶縁シールを元通りに貼ります。


背面パネルを仮止めした時点で、充電できるかどうかのテストを行います。本機種はバッテリーが完全放電してディープスリープ状態になった時、MicroUSB端子に充電ケーブルを繋いでも反応がまったくありません。加えてバッテリー容量が巨大なため、ディープスリープから離脱するまでの時間も長く、2~3時間完全な無反応状態が続く場合もあります。USBケーブルを挿して20分後位に充電器に触って、暖かくなっていたので充電しているものと判断。


しばらく充電して電源が入るようになったら、スピーカー、バイブレーター、Wi-Fi、GPSが正しく機能することを確認します。それから、分解時と逆の手順で元通りに組み立てました。無事直って良かった良かった。

■充電について
なにせ充電に時間がかかる機種なので購入後に色々と試したのですが、今のところ充電が最も早いのは手持ちのQC充電器よりも購入時に付いてきた純正充電器です。


これで急速充電対応のまともなMicroUSBケーブルを使っていれば、AccuBattery表示で4~4.3V、2.7~3.2A前後で充電できています。

購入時のWeb情報では9Vで充電できるような記述があったのですが、AccuBattery等の測定アプリではバッテリー側の電圧しか見られないので本当に9Vで充電しているかどうかはわかりません。が、いずれにせよ3Aで充電できていればMicroUSBとしてはほぼ上限値と思います(100円ショップ等で買える安価な急速充電対応ケーブルは3V2.4A程度までの想定で生産されているので、この機種の専用充電器で長時間使うと寿命があまり長くない傾向があります)。

■防水について
OUKITELの公式動画でそのヘビーデューティさを証明するために油で揚げられてしまった本機種、しかし分解した感じでは鉄壁の防水性完備とまでは思えませんでした。雨に降られたとか、水の中に落としたけどすぐ取り出した、程度なら浸水することはないでしょうが、ダイビングのお供とか、長時間水中に放置してOKとまでは過信しないほうが良い気がします。外したネジには青いシーリング材が塗ってありましたが、再組立時に塗り直さなかったので、その点でも水密性が落ちた可能性あり。

■コネクタの損耗状況
新しいコネクタのアップ

古いコネクタのアップ

摩耗、変形状態の参考です。見た目はこの程度でも充電不能になりました。MicroUSBはコネクタの造形精度がイマイチな割に消耗、変形に対するマージンが少なく、スマホの充電端子のように抜き差しの頻度が高い場所に使うと寿命が短い欠点があると思います。WP2→WP3→WP5と(そしてWP7以降の機種でも)USB-Cを採用しているOUKITELが、何故このWP6だけ耐久性や充電性能に劣るMicroUSBを採用したのか理解に苦しみます。

■アプリのバックグラウンド動作が停止する問題
だいぶ前にAmazonのレビューに解決方法を記載したので本ブログには書いていませんでしたが、本機種のようなMediaTekのHelio SoCを採用した機種はメモリー使用量を抑えるためか定期的にバックグラウンド動作しているアプリを強制終了させる機能があって、これがVPNやネットワーク監視アプリと大変相性が悪いです。

根本的な解決方法としては、

1.PLAYストアからActivity Launcherをインストールする。
2.同アプリを使って隠しアプリであるDuraSpeedを起動する。
3.強制終了させたくないアプリを選んでスイッチをONに切り替える。

となります。これをやらずに電源マネージャやアプリの権限の設定をしても無駄です。いまさら情報ではありますが。

当記事を参考にした修理は、個人の責任において行って下さい。

■再修理 2023年6月2日
前回修理から1年3ヵ月後、再びコネクタの接触が怪しくなり充電がほぼ不可能になりましたので、前回修理後に買い置きしておいたバイブモーター付き基板に交換しました。3年ほど毎日持ち歩いて使っていますが、超大容量のバッテリーを積んでいるのでバッテリー劣化で日常使いに困る事態にはなっておらず、まだまだ使えます。カメラの明るさセンサーが不調なのかたまにカメラ画面がブラックアウトしてアプリ(OpenCamera)の再起動が必要な事があります。その他は非常に頑丈で、やはりこのMicroUSB端子が一番の弱点です。部品の取り寄せに時間がかかるので新しい基板を再び発注しました。

(がんくま)