以前異音対策を行ったマランツのかご型風防、その後は特に問題もなく屋外録音で大活躍しております。本来は同社が販売していたショットガンマイク用のオプショングッズで、同社のマイクSG-9Pの外径寸法21mmに合わせたマウントリングが付属していますが、これはRODE NTG-1/2にはピッタリですが業界定番のSENNHEISER MKH-416や手持ちのSANKEN CS-30/CSS-5(外径19mm)には大きくて、スポンジを噛ませたりマイクの胴にテープを巻いて太くしたりしないと抜けてしまいます。また、プラスチックの輪の爪に専用の輪ゴム4つをひっかけてマウントリングを釣る、という構造には、現場でもし輪ゴムを紛失してしまうと役に立たなくなるというリスクがあります。


この分野のリーディングカンパニーであるRycoteの現行のガンマイク用マウントは独特な形のプラスチック製になっていて、これが想像以上の柔軟性と耐久性をもっており寒くても固くならず、曲げても折れません。

(写真引用元)
https://rycote.com/microphone-windshield-shock-mount/boom-shock-mounts/

Aliexpressでマイク関連の品物を眺めていると、これととても良く似た製品を発見しました。
DF Video Tube Store
https://m.aliexpress.com/store/3866010



クイックシュー付きの短いレールにプラスチック製マウントが2個付いてお値段は約2500円。本家のRycote RY-INVシリーズやRODE SM4-Rは七千円位しますのでそれより安く、かつZP-1と同様にレールにマウントが固定される形状になっており、スムーズに移植できそうに思えたので購入してみました。EMSではなく佐川急便へ中継される配送で到着まで注文から2週間とAliexpressでの通販としては早かったです。



現物を見るとレールも金属製で加工精度も高く、品質は良いです。しかしレール部分は今回使わないのでさっさと分解します。分解には六角レンチが必要です。


最初はプラスチック製マウントだけを移植しようと思いましたが、実際にZP-1に合わせてみると使われているネジ径が違うため、レールの内側に付く断面が台形のネジ座金に止まりません。そのため、ネジとネジ座金も輸入したレールから移植しました。


中国製レールから移植した六角ネジと座金はM3でした。元々ZP-1についているネジはM3より大きく、M4より小さいのでユニファイと思われます。ユニファイネジは輸入したプラスチックマウントの穴に入りません。

六角ネジでは嫌だ、という場合は別のM3ネジを買ってくることになりますが、適合するネジの長さはネジ頭の座面下で18mmです。20mmだとねじ込んだ時にレール側にネジの先端がつっかえてマウントが浮いてしまいグラグラします。15mmだと噛む部分が短すぎます(蛇足ながらZP-1の元の座金は中国製レールには付きません)。


簡単な作業で現代的なプラスチック製マウントになりすっきりしました。外径19mmのマイク(CS-30)もしっかりホールドしてくれます。




マウントを触ってみるとRycote製のほうがしなやかで、こちらは柔軟性がある材質としては共通ですが本家より少しだけ固めかな、と思います。しかしクッションマウントとしてはちゃんと機能しており歩きながら録音しても問題になるような衝撃はありませんでした。何かに引っ掛かって強い力がかかった場合、折れるかどうかの耐久性具合は不明です。


SANKEN CSS-5を搭載した場合です。この程度であれば重さでマウントがたわむことは無いようです。CSS-5の場合、マウントの位置がここだと後ろ側のリングが開き気味で振ると上下に動いてしまいますので、

この位置に付ける必要がありました。


垂直方向に背が高いマイクなので、オリジナルの輪ゴムマウントよりこちらのほうが扱いやすいです。かごの内側とのヘッドクリアランスは2~3cmですが、かなり乱暴に振り回してもかごの内壁に接触することはありません。



しかし、こういうレール非対応形状タイプをバラしてレールと座金に(ゴムワッシャー等を噛ませて?)きっちり固定できるのであれば、CSS-5に関してはこのほうが筒内の位置が下がるかもしれない。2個買うとレール付きのほうが安いの謎。

こういうレール対応形状になっていないマウントだと極端に安いのもあるのですが、安いのはパキっと折れそうな気がする。予備品としては良いかもしれない。

※この写真のマウントを実際に取り寄せて使ってみました。追記参照。

マランツはショットガンマイクの販売を完了したらしく、ZP-1も本記事執筆時点で販売終了しています。しかしAliexpressを眺めているとZP-1と(つまりRODEのBLIMPと)酷似しているように見える製品で、同じプラスチックマウントを搭載した製品が安価で販売されています。日本のAmazonでもMicoliveというブランド名で売られているようです。



ZP-1のショートケーブルは通常のモノラルガンマイク用の3pinなので、CSS-5を使う場合、運用のスマートさを考えると5pin化したいところですが、ケーブルの脱着にははんだ付けが必要なので、もう一つかご風防を買ってCSS-5専用とそれ以外のマイク用に分けたいところ。
※後日、5pin化改造しました。下のリンクから読めます。


■関連記事
marantz ZP-1 のペリペリ音対策
marantz ZP-1を5pinステレオマイク仕様に改造
ショットガンマイクのスポンジ風防あれこれ

■2022.4.26追記
【追記】
予備には良いかもしれない、と書いていた超格安のクッションマウントを取り寄せてみました。


下にクイックシューが付いていますが、六角レンチがあれば分解可能です。ネジはM3です。


予想通りZP-1のレールにはそのままで付きません。ネジを締めてもレールを押し付ける部分が無いからです。


千石電商で自作ケース用のゴム足を2個買ってきました。



これをレールとの間に挟んで15mmのM3ネジでゴムが少したわむように締め付けると具合良く固定されます。ゴム足の振動抑制効果も加わるはず。



マイクの垂直位置は少しだけ下がります。


リング部分が先日購入したRycoteもどきより狭く、外径19mm~20mmのマイクに対応です。Rycoteもどきは突起4点でマイクをホールドしますが、こちらは面で押さえます。


Uの字の上側開口部が広いので、CSS-5に対して使う場合はホールドポイントを後ろ側にでき、前後上下方向にマイクを振った時により安定します。


材質はRycoteもどきよりさらに硬めで、振動抑制効果がやや劣るかもしれませんがマウントとしてはしっかり機能します。実際に録音で使ってみましたが特に問題は感じられず。耐久性が不明なものの安いので4〜5本位買っておくと良さそうです。そのままクイックシューに付けて使っても良いしね。

(がんくま)