私の所有品ではなく講師で行く学校の機材ですが、2年ほど前から不調(Rch NGの貼り紙あり)なまま放置されています。使ってみると実際にMAIN OUTのRchが出力されません。マイクをつないで録音に使うも基本的にヘッドホンで聴くだけの利用なので困らなかったようですが、手に取って振るとなにやらカラカラ音がします。


開けてみると出てきたのは電解コンデンサーの外装部分。一部アルミが露出しているので最悪ショートする可能性もありました。


メイン出力のXLRコネクタ付近にある電解コンデンサーのようですね。


手持ちの同容量の電解コンデンサーに交換します。本機はフロントパネルを外さずに基板の両面にアクセスできるので楽です。壊れていたのはRchだけでしたがそちらだけ交換だと左右で音が変わる可能性があるのでLch側も交換しました。




修理後、問題なく音が出ることを確認。

破損していた電解コンデンサーには防爆弁がありません。天板を見ると内側に向かって凹んでいましたが、おそらく内圧が高まって膨らんだ後、吹き飛んで急激に圧力が抜けて凹んだものと思われます。



故障の原因はわかりませんが、UMC404HDのメイン出力をミキサーのマイク入力端子にXLRのストレートケーブルでつないでうっかりファンタム電圧をかけてしまった可能性が高いです。学生には故障を避けるためにマイク端子に機材を繋ぐ際はファンタム電源をオフにして、接続先の機材を確認してから操作するように周知しました。

電解コンデンサーのラベルにあるKSDは中国メーカーのようですが、検索してみると廉価版のDVDプレーヤーやBDプレーヤー、家庭用ゲーム機で障害事例がいくつかあります。しかし今回の故障の原因はこちらの不手際でメーカーに責任はありません。まあ交換に使ったのもJAMICONなのですが。


動作チェック中、キャノンのライン出力にしては出力が弱いと感じ、他にも壊れている箇所があるのか、と修理機とは別の正常品を同様にチェックしてみると、そちらも同じレベルです。


クイックスタートガイドを読んでみたところ、しれっと最大出力+3dBuと書いてあります。入力は+20dBuまでいけるのに・・・。


個人的にNJM4580の印象が強いベリンガーですが、現行機種の本機ではNJM2122とAD8694になっていました。NJM2122は低飽和型の低電圧(±2~7V)オペアンプで、ライン出力のオペアンプらしきAD8694もデータシートを見たところ、max5.5V単電源の4chオペアンプで最大出力電圧は2.6V程度らしく、キャノンのバランス出力が付いてはいるものの出力レベルは民生機相当のようです。最近ではここに+4dB仕様のレコーダーを繋ぐことは稀でパワードスピーカーをつなぐ場合が多いでしょうし、USBバスパワーで動作する事を考慮するとそういう設計になるのでしょう。


A/DとD/Aは24bit/192kHz対応のCS4272でUSBクラスコンプライアント対応です。


本記事を参考にした修理は自己責任でお願いします。

(がんくま)