〜プロローグ〜
闖入者
アラートが鳴り続けても
我が身に近づくまでは誰も気づかない…
***
願いの森の奥
泉のほとりに立つ小さな家
静かに眠り続ける少女
眠りに着く前に読んだのは
どこまでも優しい世界観の絵本
彼女の心は凪の海のようだ
満月の夜が終わり
月は新月に向かい
徐々に肉を削ぎ落としていく
そして新たな肉を付けていく
ひと月もの間
彼女は深く眠り続ける
*
*
*
まるで昼かと思うほどの光が
小さな家の窓に差し込む
満月の夜だ
彼女はひと月もの
長い眠りから目を覚ました
むくりと起き上がると
傍に転がる
ひと月前に見つけた獲物を見つけ
口角を少しだけ上げた
彼女は新月には活動しない
満月の夜
ひっそりと願いの森に現れ
この森に棲む
あらゆる魔物を狩り続けている
だがここ何年か
彼女の狩りのターゲットは変わった
***
ここには邪悪な趣味を持つ
くまが潜んでいるという
噂では
ズルズルと身体よりも大きな袋を引きずりながら
悪態をつき
様々な苦しみを掻き集めるという
彼女はそんな心のくすみ加減に
魅了され心酔した
「その邪悪な心が欲しい」
それ以来
彼女の狙いはそのくまだ
だが今まで仕留めた獲物は
心の澄んだ純粋なくまだけ
物足りないのだ
もっと邪悪で口の悪い
くすんだ心が欲しいのだ
満月の夜
彼女の微笑に震え上がる願いの森の住人たち
月が欠けるまで狩りは続く
***
願いの森
エピソード17〜21
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model : Rira
costume & bear : @vanilla_works
photo & produce : @suiphoto
<創作するたのしみ>
昨年の「ピチカートな夜に」の創作以来
一年ぶりの作品づくりでした。
クール可愛いモデルさんに声を掛けたので
ぜひこんなイメージで衣装を製作してくれませんかと
emi+ さんに声を掛けました。
前回は縫製代は無償で提供してもらいましたが
今回はemi+ さんの製作力に対価をと
お仕事として申し込みました。
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結果は写真を見ていただければお分かりいただけるかと。
ベアもその一つです。
スタジオでのお披露目時には
モデルさんと二人で大歓喜でした✨
*
数年前から統一したテーマにしている
「願いの森」
初めて撮影した時は
自前の衣装を使い一人で悪戦苦闘しながら
ある程度形にしましたが
やはりイメージ通りの世界観を作るには
小物や衣装さらには
アシストしてくれる人が必要なのだとつくづく。
でも気を遣いすぎる間柄では
長い製作期間中辛いだけなので
その点気兼ねなく色々言い合える
(と、わたしだけが思っていたらごめんなさい^^;)
emi+さんの存在は欠かせない!と
改めて実感しております〜✨
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実は今回の撮影はまだ途中なのです。
外での撮影が残っているのですが
この時は雨が降ったため延期に💦
せっかく感染者も減り
今が再撮影のチャンスでしたが
衣装の季節感から新緑は合わないと決断し
時期は秋頃と。。。
まだまだ終わらない作品づくり
ゆるく楽しく進めて参ります。
スイ