本日も韓国ウォンは対ドルで下げ続け、ついに1000の大台に乗り、一気に1ドル1028ウォンまで急落しました。これで11営業日連続の下落になります。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_01.html#vsUSDMAR17

 そもそも事の発端は、2006年秋から年末に掛け、韓国の経常収支の黒字が2004年をピークに、激減を始めたのに気がついたことでした。経常収支黒字が減少しているにも関わらず、韓国の通貨高(ウォン高)は留まるところを知らず、日本のメディアは「韓国経済絶好調!」との報道を続けていました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_01.html#BOP01-07

 世界を見回すと、経常収支の黒字減少どころか、経常収支赤字にも関わらず通貨高が続く国々が幾つもありました。(アメリカ、英国、スペインなど)これらの国々は、今にしてみればキャリー資金(円キャリー等)や証券化により溢れ出た資金が流れ込み、主に不動産バブルが形成されたために通貨高になっていただけでした。要は、通貨バブルだったのです。
 ただ、韓国の場合は曲がりなりにも貿易立国であり、輸出依存度や貿易依存度が極めて高いにも関わらず、通貨高+経常収支黒字激減という、歪んだ経済構造になっていました。韓国の輸出企業は通貨高により息絶え絶えになりつつありましたが、韓国人は強いウォンを背景に、海外旅行やブランド品購入を楽しみ、幸せそうな時期が続きました。二年ほど。
 結局のところ、韓国のウォン高も投資系、融資系の資金が流れ込んだために起きた、通貨バブルだったようです。韓国に流れ込んだ資金、特に円キャリーなどに注目し、今後、急激な円高が起き、円キャリーが巻き戻されると、韓国ウォンは暴落、再度通貨危機になる可能性がある、との主張で書いた本が、わたしの処女作「本当はヤバイ!韓国経済」になります。
 同書では韓国の不動産バブルや株式バブルが崩壊すると、外国人の資金引き上げが始まり、キャピタルフライトが起きると推測しましたが、残念ながらこの予想は当たりませんでした。昨年六月から外国人は毎月韓国株式を売り越していたにも関わらず、韓国の個人投資家と機関投資家、企業の自社株買いなどが、韓国株式を買い支えたためです。その買い支えっぷりは、日本人にはとても真似のできない、素晴らしい根性と精神力でした。(本気で褒めています)
 ここ数日のウォンの動きを見ていると、韓国からのキャピタルフライトは、どうやら始まったと言っても構わないと思います。ただ、順番的には「株式・不動産バブル崩壊⇒キャピタルフライト」ではなく、真逆になってしまいました。キャピタルフライトのトリガーは韓国の国内事情ではなく、国外、具体的にはアメリカの証券化ビジネス崩壊による信用収縮だったからです。
 
 今書いている新作のテーマは、まさにこのアメリカ発の信用収縮の話になります。(メインは中国ですが)結構、締切が差し迫っているにも関わらず、あまりにも韓国ウォンの動きがダイナミックで、仕事が進まないので、過去を振り返りつつ宣伝させてもらいました。

*三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」を開設しました。
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