昨日、アメリカFRBはFF金利を0.75%引き下げ、2.25%としました。
 これにより、日本との金利差が1.75%にまで接近することになりました。金利差1.75%では、もはや円キャリートレードなど成り立たないのはもちろん、アメリカのインフレ率を考えると、マイナス金利の領域に突入したのではないでしょうか?
 銀行に預金していても実質の価値が目減りする状況であれば、株式市場への資金の流れを後押しできます。株式市場に資金が流れれば、株価も維持できるというわけです。
 実際、銀行の金利がCPI(消費者物価指数)を下回っている中国では、お金を銀行に寝かせていても目減りする一方なので、株式市場に資金がまさに瀑布のごとく雪崩れ込みました。
 メディアでは、アメリカはリセッション回避のために利下げを繰り返していると報道されていますが、個人的には疑問です。なぜならば、なぜ不況突入時に利下げを行うかと言えば、経済波及効果の大きい「住宅市場」を活性化するためだからです。
 今回のアメリカの不況は、まさにその住宅市場が崩壊していることが大元の問題なわけで、利下げによる市場活性化の効果はあまり期待できないと思います。今の状況で、利下げをしたからといって、不動産価格が持ち直したり、延滞率が回復するとはとても思えません。
 FRBの意図は、不況回避よりも、とにかく株価維持に重点が置かれている気がします。先日の記事でも書きましたが、アメリカ人の家計の金融資産の中では、株式が最も大きなシェアを占めているのです。

 ところで、FRBの利下げにより、NYダウは急回復を見せ、ドル円レートも一時は100円を越えるところまでドル高になりました。
 が、中期的には日米の金利差が縮まったことにより、円高の流れは押し止められないと思います。
 たまたま最新作を書いている中で資料が必要だったので、日米の金利差とドル円為替レートのデータをグラフ化しました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_04.html#kinrisa
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_04.html#doruen

 いかがでしょう?
 日米の金利差とドル円レートが、見事な相関関係を形成しているのがお分かり頂けるのではないでしょうか? もちろん、短期的にはドル円は金利差と無関係に大きく上下すると思いますが、やはり中期的に見ると金利差が物を言ってくるようです。
 昨年8月以降、FRBは利下げを繰り返しましたが、数日はドル高に振れるものの、やがてそれまで以上の円高になるのが、一種のパターン化しています。ただし、確かに短期で見ればドル高の確率の方が高そうなので、FXをやる方々は胃の痛い日々が続くでしょう。
 まあ、わたしはFXはやりませんが。