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「財務省はなぜ、プライマリーバランスの黒字化目標に拘るのか?」(前半)三橋貴明 AJER2024.1.30

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。

 

コンパクトシティは棄民政策や緊縮財政じゃないんだよ![三橋TV第815回] 三橋貴明・saya


https://youtu.be/qWIhDsJl2Vg

 

 日本の食料安全保障強化に反対する日本人はいないでしょう。


 通常国会に提出される「食料・農業・農村基本法」は、一応、「食料安全保障の確保」を重視しています。


 重視してはいますが、その「方法」は、何と「輸出の強化」。もはや、鉛筆ナメナメを通り越した、妄想としか表現のしようがない法案になっています。

農業基本法改正案、「食料安全保障の確保」規定へ 農水省
 農林水産省は1日、開会中の通常国会に提出する食料・農業・農村基本法改正案について、基本理念で「食料安全保障の確保」を規定する方針を明らかにした。具体的には「良質な食料が合理的な価格で安定供給され、国民一人一人が入手できる状態」と定義し、食料の輸出促進で供給力を維持する必要性を明記する。持続的な供給のため、合理的な費用を考慮した価格形成をする必要性についても盛り込む。(後略)』

 ちなみに、農林水産省は先日、「2023年の農林水産物・食品の輸出実績」を公表しました。


 2023年の農林水産物・食品の輸出額は1兆4547億円と「過去最高!」となっていますが、実際に輸出されたのが何かといえば、
一位 真珠(天然・養殖) +218億円(+92.0%) 
二位 緑茶 +73億円(+33.3%) 
三位 ビール +72億円(+66.6%) 
四位 ソース混合調味料 +60億円(+12.4%) 
五位 牛肉 +58億円(+11.2%) 
六位 ぶり +55億円(+15.2%) 
七位 清涼飲料水 +55億円(+11.3%) 
 加工食品だらけでございますな。農産物は、ベストセブンに一つも入っていません。


 しかも、加工食品の原材料は輸入品が多く、牛肉は国産でしょうが、配合飼料はアメリカ産です。

 

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 そもそも、本気で「安全保障強化のために食料の輸出」をやるというならば、穀物以外にあり得ない。すなわち、米です。
 

 但し、米(穀物)の大々的な輸出は、アメリカと競合するため、確実に「政治的な圧力(その程度で済めば御の字)」が来ます。
 

 加えて、日本の米価格ではグローバル市場で太刀打ちできません


 世界の米相場の指標となるのは、タイのバンコクから輸出される精米価格です。現在は、1トン550ドル程度。1ドル145円とすると、約8万円。
 

 一俵は60kgなので、1トンは16.7俵。ということは、一俵4800円!!! しかも、これでも「上昇」したのです。
 

 本気で日本の米の輸出促進するとなると、欧州風に農家の所得補償をするか、もしくはアメリカ式に価格保障をするしかない。(というか、欧米にしても穀物の価格が高すぎ、グローバル市場で勝てないため、所得補償や価格保障で支えているのです。)

 

 例えば、生産者価格(再生産可能な価格)を一俵14000円とすると、一俵4000円で輸出し、差額の1万円を政府が補填するのです。当然、国内市場向けにも、同じことをする。


 もちろん、財務省の壁を突破しなければなりません。

 具体的に書いておくと、国内市場価格一俵9000円で700万トン販売、グローバル市場価格一俵4000円で100万トン輸出すると仮定すると、合計で7500億円の予算が必要です。が、逆に「たった」7500億円の追加的予算で構わないのです。ところが、財務省は農林水産省関連予算を頑として「2兆円」に据え置き、予算増を認めない。


 さらに、外国から文句を言われても、
アメリカがやっているのと同じじゃないですか。日本に文句を言う前に、アメリカに言ってくださいよ」
 と、はねのける。


 財務省の政治力が強く、同時に弱腰外交に慣れ切った日本政府に、これ、できますか? という話(やるべきだけど)。
 

 この種の現実を無視し、「輸出促進で供給能力維持」などと世迷言を言っているのが、今回の農業法改正なのです。
 

 農水官僚も政治家も、少しは真剣に考えろ! と、思ったのは、わたくしだけではないでしょう?
 

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