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「財務省の国家的詐欺(前半)」三橋貴明 AJER2024.4.30

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

【全編公開】自民党惨敗!衆議院補欠選挙の結果を受けて、岸田政権の今後の舵取りはどうなる?[三橋TV第857回]三橋貴明・saya


https://youtu.be/Cea7KKaR00g

 半導体戦争のポイントは、
「アメリカ合衆国であっても、自国の技術・企業のみでは、最先端の半導体を製造できない」
 という点にあります。


 ロシア・ウクライナ戦争からも分かる通り、今後の「戦争」は「賢い無人兵器」による攻撃が主力となる。つまりは、半導体の計算能力が死命を決することになる。


 それにも関わらず、アメリカは半導体製造について「自由貿易」に委ね、「ファブレス-ファウンドリー」モデルを放置していた。


 結果的に、最先端半導体のほとんどが台湾、及び韓国という「地政学的問題」を抱える国(あえて「国」)で生産されている状況になった。


 2018年以降、アメリカは「同志の国・地域」と共に中国との半導体戦争に突入します。まずは、同年、中国のZTEに制裁。さらに、台湾ファウンドリーのUMCと中国国策企業JHICC、米マイクロンへのスパイ容疑で起訴。加えて、輸出管理改革法を成立させた。


 2019年、アメリカは、中国ファーウェイを「エンティティリスト」に追加。エンティティリストとは、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストになります。


 2020年、アメリカはファーウェイへの規制強化すると同時に、TSMCに「踏み絵」を迫った。TSMCは、アメリカに先端半導体工場の設立を発表。モリス・チャンが「自由貿易は死んだ」と言い出したのは、この頃です。


 さらに同年、アメリカは中国SMIC(※ファウンドリー)をエンティティリストに追加。


 2021年、アメリカは韓国SKハイニックスに対し、中国へのEUV露光装置の輸出を断念させました。さらに同年、サムスン電子がアメリカに最先端半導体工場設立を発表。「踏み絵」を踏まされたのでしょう。


 2022年の10月7日、アメリカは中国への半導体規制を大幅に強化(10・7規制)しました。それに対し、中国はアメリカの半導体規制をWTOに提訴。アメリカは歯牙にもかけず、中国のYMTC(NANDメーカ)と中国SMEE(露光装置メーカ)をエンティティリストに追加。


 2023年、日本・米国・オランダが、中国への半導体輸出規制で合意。


 と、まるで冷戦期の米ソ関係のごとく、両国の半導体関連の「関係」は悪化していきました。もちろん、日本も他人事ではなく、アメリカの「同志国」として位置付けられています。
 

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皇統論第六十三回「日本一の大天狗」、歴史時事第六十三回「ワーテルローの戦い」が配信になりました。
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 昨年の、あの異様な経産省の「半導体産業への支援」の背後に「アメリカ」がいるのは、これは疑いようがありません。

『中国のTSMC掌握、米経済に「間違いなく壊滅的」=商務長官
 レモンド米商務長官は8日、中国が台湾に侵攻し半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)を掌握すれば、米経済にとって「間違いなく壊滅的な」ものになると、米下院公聴会で述べた。
 このような事態が起こるかどうか、起こるとしたらどのように起こるのかについてはコメントを控えた。ただ「米国は現在、最先端半導体の92%を台湾のTSMCから購入している」とした。』

インテルとクアルコム、米の対中輸出許可取り消し確認 中国は反発
 米半導体大手インテル(INTC.O), opens new tabは8日、米商務省が同社の中国顧客企業に対する消費者関連製品の輸出許可を一部取り消したと発表した。インテルの第2・四半期の売上高に影響がおよぶ可能性がある。(後略)』

 まだ、始まりに過ぎないと思います。


 構造的に、防衛安全保障のキーテクノロジーが「半導体」になってしまった以上、冷戦期のような鍔迫り合いと、エスカレーションが続いていくことになるのでしょう。


 何しろ、日本は米軍に占領されているわけで、踏み絵を踏まされることすらありません。


 自由貿易は死んだ。ビジネスよりも防衛安全保障が優先される時代が訪れたのです。この現実を、いい加減に日本の政治家や官僚、財界人たちは理解しなければなりません。

 

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