『ランニング登山 -もうひとつの山登りの刺激的世界-』 | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

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マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

このたび、注目する書籍が発売になりました。

ランニング登山 -もうひとつの山登りの刺激的世界-

(下嶋渓・著 / 松本大・執筆協力)


Amazonのコピーを転載します。(→こちらから引用)
(以下、転載)

1986年に発行された『ランニング登山』(下嶋

溪著・山と溪谷社)。この本を「バイブル」と呼

スカイランナーの松本大氏(日本スカイラン

ニング協会代表)の「はじめに」と「コラム」

を加筆し、復刊。
以前に比べ、装備や補給食、シューズは格段に

進歩したけれど、実は、山登りの記録はかわっ

いない。山ガール、トレイルランブームで山

身近になったけれど、悲しい事故は後を絶た

ない。
そもそも、30年以上も前に、山を走るとはどう

いう行為だったのか? 何を考えて走っていた

のか? 山はどういう世界だったのか? 大学教員

だった著者が個性的かつユーモラスな文章で

書いた、独自のランニング・登山観が読む者を

惹きつけ、スカイランナー松本大氏のコラム

「快速登山」は今のトレイルランブームに警鐘

を鳴らす。
今こそ振り返るランニング登山の世界――

アウトドアを楽しむすべての人に読んでほしい

名著。

(以上、転載)

 

 

本書の内容は目次を転載しますが、「山を

走っていかに速く登るかのノウハウ」を

網羅した書籍と言っても過言ではありません。

 

第1章 快速登山事始め

1. 何故快速登山か

2. 快速登山の起源と現状

3. 山を走る動機

4. 山を走る目的

 

第2章 ランニング登山への招待

1. 趣味としての登山とランニング

2. 登山者への提言

3. ランナーへの提言

4. ランニングフィールドとしての山

 

第3章 山を走る技術

1. 山を走るフォーム

2. 所要時間(疲労)に影響をおよぼす要因

3. 平地の歩行と走行のスピード

4. 山道の歩行と走行のスピード

5. 所用時間の予想

 

第4章 医学的・生理学的な面から見た山岳走

1. 最大酸素摂取量

2. 睡眠

3. 高山病

4. 呼吸器疾患とランニング

5. 年齢

 

第5章 シューズ・装備・食料

1. ランニングシューズ

2. 山岳ランニング用のシューズ

3. 服装と装備

4. 食料、酒、タバコ

 

第6章 ランニング登山雑学

1. 山の気象

2. 暦-日照時間

3. 熊と雷

4. アクシデントの原因とその対応

 

 

 

著者・下嶋氏が大学教員だったこともあり、

「理論、データ」が多用されていることが特徴

なのと、それと対になるように著者の個人的

嗜好が独走している筆致も極めて特徴的です。

 

 

まるで数学の書籍かのように理論とデータ

が羅列されています。

 

かと思うと、独走しすぎの筆致も特筆。

 

逆説的ないい方になるが、このタイプは目的

が純粋なだけに一方でマゾヒストが多いのも

事実である

 

しかし、闘牛士のように生死の境界を行く

ことに快感を覚えるのなら話は別だが

 

林道を走る車はランナーにとって最大の敵

なので石を投げつけるか蹴飛ばすかしたい。

それが出来なければせいぜい谷へ落ちる

ように祈る!

 

 

かように、著者の独創的かつ独走している
文章で、ひたすら「山を速く走って登る」ため

のノウハウが書き連ねられていますが、当時は
1986年のこと。国内にトレイルランニングも

スカイランニングも、そんな用語も概念も一切

なく、世間一般の人からは見向きもされない

超マニアックな嗜好だった時代です。
そんな時代にあって、世間など我関せずで、
ただひたすら個人の趣味嗜好を研究者レベル
にまで追求した著者・下嶋氏の奇人・変人ぶり
は際立っています。

そして、著者・下嶋氏はあとがきにて、
この種の登山が奇人・変人集団のレジャーか

ら2歩ぐらい前進してひとつのスポーツとして

地位を確立するには・・・
と書かれていますが、当時から30年の時を経て
日本にはトレイルランニングというカルチャー

が良くも悪くも浸透しました。

そしてスカイランニングというジャンルが確立

されようとしています。
日本スカイランニング協会の代表でありプロの
スカイランナーである松本大氏の登場によって

本書は2018年に再び日の目を見ることになり

ました。

スカイランナー松本大氏の活動はまさにスカイ
ランニングというジャンルを下嶋氏があとがき

で書かれたように「ひとつのスポーツとしての

地位を確立する」活動であり、それを実際に

世の中に対して大手を振ってやっていこうと

しています。

その松本氏が、本書の要所要所に文章を加筆
して完成した本書は、30年の時を超えた2人の
合作になっています。

 

本書の内容そのものが興味深いのは勿論の

こと、時代の推移、スカイランニングの現状、

私がスカイランニングの計測に関わるように

なったからこそ理解できるマクロな流れが

俯瞰できた一冊でした。