武士は食わねど高楊枝

つい先日、父親の親友が亡くなりました。

その人は大酒飲み。

酔っ払うと思ったことを何でも口にしてしまう不器用な人間。

なので普通の人から見ると結構嫌われていました。と言うか避けられていました。

でも嘘はつけない本当に正直な人間。

そしてうちの親父の親友。


なので昔、よく家に来ては酒を飲み大声で怒鳴って…(^-^;

それはもう子供心には大変でした…。

そしてボクの祖父と祖母はその人の仲人でして、

よくこんな人の仲人になったものだと…

そんな風に思わせる人でした。



でも祖父も祖母も親父もそんな嘘をつけない正直が取り柄のその人のことが大好きでした。

お盆や正月はその人の家族と一緒に旅行に行ったりしました。

だからボクもその人のことをよく知っています。

本当に嘘がつけない思ったことを何でも口にしてしまう大人っぽくない大人でした。

普通の人からは嫌われていたけど、ボクもそんなその人のことを嫌いにはなれませんでした。


酔っ払うとその人は必ず自分のことを『武士』だ『侍』だと言っていました。

当時は理解出来なかったボクですが、今なら理解できます。

はさみ一本で人生を切り拓いてきたのですから…。

誰に媚びるわけでもなく、誰に気を使うでもなく、そして決して背中を見せない(逃げない)。

そんな昔気質の一本木な男でした。




話は変わりますが



中学校の保護者会に行ってきました。

保護者会での説明では今から10年後には今の仕事に就いている約50%の人が働かなくてもいいようになると。コンピューターが働いてくれるようになると言うことでした。

なので今までのような価値観

例えば、高学歴で要領がよく仕事ができる。

そういった人よりも

情に厚く人間味があってアツい気持ち持った人の方が価値が出てくるのかも知れない…。

まぁ、要は

勉強だけが取り柄ではダメですよ!と

部活、委員会、文化祭、普段の友達や先生との付き合い方全てを評価されますよ!

という説明会でした。




ボクが思ったのは

上司に媚びて要領よく仕事をして出世するような生き方ではなく、仕事はコンピューターに任せて
どのような人生を送れるか‼それが大切なんだ。

そう言われているような気がしました。

まさに

ですね…。





話を戻すと

ボクの親父の親友は、親父が亡くなった時に一番泣いてくれた。一番悲しんでくれた。

ボクの祖父や祖母が亡くなった時には、仕事を一週間休んで家族のように支えてくれた。

決して器用な生き方ではなかった。
決して裕福な生き方でもなかった。

でもその人は最後まで正直に生きた。

決して媚びなど売らなかった。
誰に対しても背中を見せなかった。

そんな男があの世へ逝った。。。

今頃は親父と祖父と祖母と天国で酒を飲み交わしているに違いない。

『武士は食わねど高楊枝』

貧しくて腹を空かせた武士は空腹を悟られぬように楊枝を高く口にくわえていたそうな…。

不器用な人生だったけど、これからはそんな生き様がその人の価値になるのだと感じた。


奇しくも6月は親父の命日なのだ。

死の淵で親友と同じ月に亡くなるのも悪くない…
そう思いながら臨終したに違いないとボクは密かに思っている。。。

安らかに眠って下さい。

合掌