私は、ある時、突然に心の調子が悪くなった。
はっきりとした自覚があり、初めての事にとても動揺した。

お腹に力が入らない
手が、厚い手袋をしているように感じる
テレビを見ているけれど、意味がつかめない

身体は今までとまったく変わらないのに、心が調子を崩したら、身体が反応した。

「私は家族を作れなかった。私の人生は失敗だった。もう取り返しがつかない」
仕事もなにもかも間違っている、自分を否定しながら
生きていても仕方がない、自分を責めながら
昨日までと同じ日常を送ることになった。

道路標識を見て泣いた。
若葉を見て泣いた。
気を抜けば、なぜ泣くのか分からないけれど、涙が出た。

仕事はしていたけれど、どこを見ているのか、誰と話しているのか、分からなかった。
休むことも分からなくなっていた。

数日がすぎた頃、心の調子を壊したことを告白していた友人を思い出した。
躊躇うことなく、連絡を取った。
私の心は、ますます私を痛めつけていたから
「今、掛けなければ、掛けられなくなる」と、分かっていた。

この時、初めて、人に弱音を吐いた。
悔しいけれど、我慢できない。
隠すことができない。
きっと、それまでにも誰かに弱音らしいものを吐いたことはあったけれど、比較にならない声が出た。

友人は、私の求めることは、すべて伝えてくれた。

この時のことが私の中に残っていて、容赦なく自分を痛めつけてはいたけれど、あの人に会ってから絶望しよう、みたいなダムとなっていたように思う。

そして、もう一人、助けを求めた。
毎日毎日、電話をかけ続けた。
相手の都合はお構いなしに、掛けたいときに掛けた。
友人は、一度も断らなかった。


それから、たくさんの時間が頭の上を過ぎていった。
今は、ようやくブログを書ける程度に元気になって来た。

友人は、
会う頻度ではなくて、
私が勝手に好きな人、なのかもしれない。

私はあなたが大好き
それしか言葉が浮かばない。

私は、人がいたから絶望しきらなかった。
どんな方法であっても、人との関わりが人を癒やしていくのだと信じている。