悲しみから逃れられなくて、それでも必死で泣くのを堪え、夜のお世話を終わらせて、キャリアっこ部屋にそのまま安置していた珠ちゃんを撫でながら夜を過ごしてた。


これが昨日だったなら…と、どうしても思ってしまうから、申し訳無さも切なさも満タンにあるけれど、それでも目の前の珠ちゃんは穏やかな顔をして寝てるみたいにしか見えないから、これで良かったのだとも思うんだ…。


だってそう思わなきゃ珠ちゃんに申し訳ないじゃない…。


だから魂はお空へと向かった抜け殻の身体であろうとも、きっと珠ちゃんに届くと信じて、たくさんの思い出語りをしながら、やって来るみんにゃさんも撫でながら、ゆっくりと夜を過ごしてた。


サロンで共に過ごした子たちのことも、たくさん話して聞かせてた。

保護したもののたった三日でお別れしなければならなかった紫苑くん。

里親さんに迎えられ、のんびりふくふく暮らしている福ちゃん島ちゃんコンビ。

うちの二階でちっとも慣れてくれないけれど、おやつをあげると表情が変わって、ちょっ早でお皿に顔を突っ込むオバァ。

おーあみさんにお願いをしたちょっと間抜け顔のキジトラくんと、正統派のキジトラくんに、今もKさんのところで過ごしてるデカ茶トラのちゃっこくん。

そして最後まで保護させて貰えずに、姿を消してしまった剽軽顔したキジトラくん。

たこちゃんちにいる不二子ちゃんや、里親さんに迎えられたちび三毛さん。

古い保護っこを思い出せば、亡くなってしまったサンくんや、まるこのところに頼んだロンくん改めロニーくんなんかもサロンの保護っこだ…。


給餌に行っている訳ではないあたしにも、たったひとつの餌場であっても、数え切れないほどの想いがある。

思い出語りが尽きて明るくなり始めた頃、着替えてようやくベッドに転がって。


少し寝て起きたら顔がぱんぱんで、我ながら笑える程だったw。


そんな今日は甲子園トリオのシーちゃんエンちゃんの避妊手術の日。


予約に遅れる訳には行かないから、腫れた顔して無理矢理テンションを上げながら、せっせと朝のお世話とケアをして。


予約の時間にシーちゃんとエンちゃんを病院に連れて行き、先生たちに珠ちゃんのことを報告して、ありがとうございましたと御礼を言って。


ふたりの手術が終わるのを待つ間、男先生に頼んで昨年の新年早々に保護されてきたチャッピーくんと一路くんのワクチンを。


緊急で保護された尿閉塞であわや死にかけたところから復活してくれたこのふたり。


家では甘えたになったのに、外に出るとビビり度マックスになっちゃうチャッピーくん。


ビビりんちょだけどおやつが大好きで、おやつタイムにだけは足元にスリスリしてくる一路くんw。

ふたりともあまりにも酷い数値だったから、せっかく病院に来たんだし…と血液検査もしてみたけれど、しっかり標準値をキープしてくれていた!


四匹のうち守ってあげられなかったラッキーくんと永嗣くんの分まで、ゆっくりのんびり暮らしましょ♪


そんな間にふたりの避妊手術も無事に終わって、麻酔から覚めてくれるのを待ってたら、ちょっとお怒りモードだよw。


おかーさんのジーンちゃんにそっくりなシーちゃんも、


ヅラ三毛がとっても艶やかで綺麗なエンちゃんも。


ふたりともお疲れさまでした!

身体能力が高すぎるから、しっかりと傷口が塞がるまではエリカラ生活だw。

無事に帰ってきてくれてありがとう。

帰ったらちゅ〜るあげるから!w


四匹を連れて帰宅して、全員にちゅ〜るのお駄賃をあげてから、珠ちゃんをお見送りに行ってきた。



飯舘村の餌場で見ていた珠ちゃんも、保護して人馴れが進むまでの珠ちゃんも、いつも険しい顔をしてた。



だけど少しずつ慣れて行き、顔つきがどんどん優しくなってきて。



だからお見送り花はとびきり優しくて可愛いブーケにしたかった。



照れながら選んだお花で、苺のケーキみたいなブーケが作れたよ。


斎場に向かう道すがら、夕焼けに向かって走っているようだった。


この空の上に居るんだね…。



斎場でようやく珠ちゃんの腕を取り、写真を撮ろうと思ったら、涙が溢れ出て止まらなくなっちゃって。



だけどきっと自分が旅立ったことにも気付いていないから、早く身体を還してあげなきゃね。と、必死で自分に言い聞かせてた。



ねぇ珠ちゃん。



次は最初から幸せなおうちに産まれてくるんだよ。



大好きだったちゅ〜るも、シーバも銀スプも無一物も、焼かつおもお手手に持たせたよ。



おやつを待ってる珠ちゃんの顔が、ワクワクって言ってるみたいで、本当に可愛かったなぁ…。


お見送りの時間はもう真っ暗になっていたけれど、この派手なブーケならお空からでも見えるかな。



珠ちゃんもきっと照れているかもねw。



だけどかーちゃんは珠ちゃんのことが本当に大好きだったんだ。



かーちゃんを信じてくれてありがとう。



いってらっしゃい。



きっといつか空の上で会いましょう。




お見送りを終えて車の中で散々泣きながら帰宅して、家に入る前に深呼吸。



笑ってお世話をしなくちゃね…。



無理して笑っているせいで、どうしても無駄にテンションが高くなり、ひと部屋を終えて出てくると、ずしんと疲れに襲われて。



それでも何とか夜のお世話を終わらせて、寝る前の見回りをしていたら、蓮くんの切開した傷口からだけじゃなく、目や鼻からも血膿が流れてた。



パッと見るとぎゃー!って思う程のことだけど、これはお薬が効き始めた証拠の筈だから、内心の不安は押し隠し、蓮くんを抱っこして膿を少しずつ押し出して。


少しずつ患部の手触りが変わってきてたから、明日病院に行ってやって来ようと思っていたけど、よもや深夜にひとりでやることになるとは思わなかったから、すんげー心臓バクバクだ…。


だけど処置の終わった蓮くんが、落ち着いた顔をしてくれているのを見てホッとして。


鼻腔に溜まったこの膿が、出なくて呼吸も苦しくて、匂いもしないから食欲も落ちてるし。


お薬を飲んだらシャキッと治ってくれたら嬉しいけれど、そうはいかない以上、ひとつひとつ丁寧にケアをしていかなければ、ちいさないのちは守れない。


あたしは、猫たちのためだけにここに居る。


それをさせて貰えていることに、いつでも最大級の感謝をしながら、ちいさないのちと共に歩いてく。


ちいさな身体と共に生きていく。



明日も頑張ろう。