クロスバイクがロードバイクに勝てない理由はどこにあるだろうか？
もちろん、太いタイヤ、コンポのグレードの違いもあるが、コンポのグレードを上げれば速くなると言う訳では無いし、タイヤやホイールは確かに走行性能を左右するが、エンド幅を気にしなければ、ロード用に変えてしまう事も出来る。
しかし、そんなことではロードバイクとの差は埋まらない。
クロスよりロードが速い理由はどこまで行っても空気抵抗の差である。
…と、言っても自転車自体の空気抵抗は些細なものである。どういう事かと言うと、ロードバイクはドロップハンドルのお陰で、空気抵抗の少ない姿勢を自然に取る事が出来るのである。
逆に言えば、姿勢を突き詰める事でロードとの差を埋める事も可能になるのだ。
ロードバイクでは前傾を取る為に下ハンがあるわけだが、クロスバイクではハンドルの持ち替えが出来ない。
結果、クロスバイクで前傾姿勢を取る為には腕を折り曲げるわけだが、これがなかなか腕にキツく、慣れないと一分姿勢を維持するのも難しいだろう。
バーハンドルを持つと肘が開き気味になるので、手の平の方向など考慮するとバーエンドバーと言う選択肢もある。しかし、これを実際バーハンドルの両端に付けて見るとロードよりかなり幅広になってしまって、腕による空気抵抗が問題となる。
バーエンドバーをグリップやシフターの内側に付ける人をたまに見かけるが、実はこれはかなり効果的である。
前から見た時に胴体の前に腕が来るフォームは前面投影面積が減り、大幅に空気抵抗を削減できる。
ただ、確かに効果的だが、レースなんかでも禁止されている事が多いし、バーエンドバーを付けるくらいならエアロバーを付けた方が遥かに効果的である。
半端なものを付けるくらいならシンプルにバーハンドルにこだわろうと言うのもあるし、即座にブレーキが握れない場所に手を置くと言うのは公道を走る上でモラルの話になって来る。
写真は前面投影面積の比較の為に撮ったモノ。小生はシャイなので顔は隠させて頂いた。
左はノーマルに近い高さまでハンドルを上げた状態。大抵の人はこんな感じか、これより上体が起きたポジションだろう。
右は現在の小生のポジションである。
上半身の面積が、高さ、幅、共に大きく違うのが分かるだろうか？
その理由はハンドルの高さ、遠さの他に、姿勢の違いがある。
まず、軽く肘を曲げるのだが、その肘が外に広がると大幅に空気抵抗になるため、しっかりと脇を閉める。
この時親指を抜いて上からかぶせる様にすると手首が楽になる。
また、肩を突っ張ると腕が楽だが、肩を下げるだけでもかなり前面投影面積は小さくなる。
このポジションが数十分キープできるようになれば、ロードのブラケットポジションと変わらないパワーで並走できるだろう。
しかし、更なる高速巡航や向かい風、下り坂などで下ハンに持ち替えたロードに着いて行くには更なる前傾姿勢を取る必要がある。
上半身の面積で言うと約半分ほどになる。手はシフターの上に乗せ、肘は膝が触れるほど狭め、なおかつ肩を落とすため、慣れないうちはちょっとキツイポジションであるが、慣れれば、数十分巡航も可能になる。
速度で言うと同じ心拍をキープしても左右で1割以上は軽く速度が変わってくる。
注意点として、前傾を取る時骨盤は寝かせてはいけない。
しっかり背中を丸めて骨盤を垂直に保たないとペダリングが阻害される事になるし、腕への負担も増えてしまう。
更にスプリントや60km/hを超える下りでは極限まで空気抵抗を減らす為、ステムに顔をぶつけないギリギリまで上半身を寝かせる必要がある。
前面投影面積は更に小さくなり、TTバイクのDHポジションに近いが、DHバーとは腕の角度や位置が違う為、流石にTTバイク並とは行かない。
それでもクロスバイクとしてはベストに近いポジションと言えるだろう。
しかし、これを超えるポジションが存在する。
知る人ぞ知るオブリースタイルである。
このポジションを取る為には最短のステムやバーエンドバーを駆使しなければならないが、このポジションは現在競技では禁止されており、現在のDHポジションを上まるとも言われている。
ポジションを突き詰めていくとその効果は意外に大きく、更に服装でも空気抵抗は大きく変化する。
風を味方に付けることで、クロスバイクでも結構速く走れるのである。
→クロスバイクのポジション 1
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