久し振りに映画館へ。「聲の形」、観てきました。
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特典もらっちった(イェーイ

だいぶ過疎を狙って行ったとは言え、上映15分前にチケットカウンターに行って、やや後方のど真ん中という特等席をアッサリ確保できたのは嬉しい誤算。結局ホール内に6名というごく少人数だったのは良いが、同じ列の左右通路側に一名ずつ、真ん前に一名、真後ろに二名という局所的密集フォーメーションは微妙。まあ仕方がないけどね。

ここからは感想を書きたいけども、感じた事が上手く表現できるか甚だ自信は無い。取り敢えずまだロードショー中なのでネタバレは控えるけど、アニメに限らず「映画」と言うものを観て真っ先に言葉が浮かばなかったのは、「面白い」と「面白くない」のどちらにも属さなかったから。間違いなく喜怒哀楽は感じつつも、作品のテーマとそれに准ずる表現が繊細過ぎたからかなあ。なんかアタマ以上にハートがボーッとしちゃった。

なので好きだったポイントから。
まずなんと言っても、はやみんの演技が鳥肌を越えまくった。キャラクターが登場してから第一声が発せられるまで少々ジラされた分もチャラにした、衝撃の演技だったもんなあ。あの瞬間で「あ、これガチだ」って痛感もしたし。
それも込みで言えることだけど、作品全体から感じた現実感は相当高かった。建設的な進行は極力排されていて、アニメ的快感は得られない代わりにリアリティは凄かったねえ。ああいうレベルになると「そういうもんだよな」という同情が勝ってしまい、気持ち良くピースのハマっていかないストーリーに理不尽を感じない不思議。
あとは京アニの代名詞である作画クォリティは相変わらずの高水準だし、監督のセンスが丸出しな挿入歌たちにもニヤニヤさせてもらったり。
大好きな製作陣に対しては、「挑戦したなあ」という監督以下へのフロンティアスピリッツを垣間見れたことは刺激になった。最近イマイチ響いて来なかったテレビシリーズのラインナップからは、ちょっと予想できないド直球に徹したなあと。それが結果的に成功だったかは‥これからの作品で確認していきたいと保留にしておくけども。

ちょっとどうなの?という点も。
まずは全体的に演出が大人し過ぎたんじゃね?もうちょっとポップとか笑いの部分はドカンと行って、緩急をつけて欲しかった。これが乏しかったので、正直中盤は間延びして見えた。ストーリーがどう進むのか?ということ以上に、作り手達はどうしたいんだ?と感じてしまい、単調な進行は集中力を切らす結果に繋がってしまったと思う。
細かいところでは、キャラの「手」のサイズに一部統一感が無かった。「手話」というのも一つのキーファクターだったハズだし尚ちゃん監督の演出技法からしては注目せざるを得ないポイントだったのに、京アニらしからぬ作画ミスか?明らかに変なサイズで「手」が描かれていたシーンがあったのは残念。
あとはなんつっても「死」の影が多かったことね。これは根本として原作の問題だろうし、脚本の吉田玲子さんは上手く分配したと思うよ。それでもやっぱり僅か2時間程度の尺に3種の「死」を詰め込むのは、全体の雰囲気を悪くさせ且つそれぞれの特徴や重みを損なうだけのイベントになってしまったと感じた。

こうして細かいポイントを挙げることはできるけど、総じてどうかはやはり難しい。うーん、ザックリ80点という感じ。世間で評されている「後味の悪さ」というのは作品自体にではなくて、アニメーションとしてどうかという困惑からの意見であるように思う。先にも書いた通り、アニメ的快感要素を削ぎ落としまくっているからね。

開始前「抜かった!」と思ったのは、通常のハンカチしか携帯して行かなかったこと。そのくらい泣いてナンボだと思っていたが、実はさほど泣かなかった。ていうかポロポロ泣いてしまったのは、はやみんのセリフの時くらいだった。なのでハンカチは殆ど手に握り締めていたのだけど、終わってみると、けっこう嫌なオイル感にまみれていた。悪夢を見たときに出る脂汗のような感じ。静かにエキサイトしていたことは確か。

最後の最後に。アニメは「慣れ」が大きいというのも痛感した。
うっかり局所密集の陣で観てしまった環境だったから周囲のオーディエンスの反応も鋭く伝わってきたが、自らのシナリオ先読み機能が異常だったことを感じた。そりゃあもう京アニ作品になどここ3年では多分世界一な時間を費やしているので、けっこうカット割りやセリフの間から次の展開が予測できちゃうのよ。「あ、このあとこうなる‥」というのを他の人より数秒早く察していたらしく、喜怒哀楽を一人で先走っていたのは申し訳無かった。具体的には、マンションのカーテンが3回旗めいた向こう側には硝子ちゃんの姿が無い、というのを1回目の「ひらり」で気付いてしまい「ハッ!」て息を飲んでしまう感じ。
後頭部から「コイツ、何回観に来てんだよ」という威圧感も感じ、なんかすいません。離れた右側に座っていた汚いモグアイみたいな太った女の子は、序盤ブツブツ独り言を唱えていた。途中からそれがピタリと止んだのは、多分俺のフライングなウザさが勝ったから(笑)それはそれですいませんでした。