7月より私はとあるミッションを受け、蔵前のオフィスに2カ月間出向することになったのだが、新しい職場へ通う最寄駅の前にその店は有る。
最初に顔を出したときから、駅前にある🍔バーガーSHOPがかなりの人気店であるとの情報は耳に入っていた。
しかし、なにぶん某有名チェーンのビックマックをこよなく愛するジャンクな舌と、モスバーガーでさえも価格設定が高過ぎるのでは? と訝しんでしまう、狭い心を併せ持った私からすると、たかだか🍔ハンバーガー如きに1,000円以上も支払うなど笑止千万! と、この時点では、まったくNO眼中と気に留めることも無かった。
しかしそんな日々を送るうち、テレビ東京で金曜深夜枠で放送の始まった女子グルメバーガー部🍔という番組が、迷惑なことに私の心を激しく動揺させる。
ヤバイ…
こんなん見せられたら、女子じゃ無くてもグルメバーガー🍔って物を、一度で良いから味わってみたいって、なっちゃうんじゃないの?
オマケに今は、超人気店の前を毎日通ってる訳だし…
『昨日さ9時に仕事上がったから駅前のハンバーガー屋行ってみたんだけどもう片付けしてて、ネットだと10時閉店ってなってるのにおかしいなって思って近寄って見てみたら、コロナ対策で当面の間8時閉店にします。って、ドアの前に貼り紙してたんだよね』
『8時閉店は厳しいですね。いつも仕事が終わるの9時、10時ですし、僕も一度食べてみたいと思ってお昼に行ってみたんですけど、スゲー行列なんですよね。ランチは…』
マズいな、会社帰りも厳しいのにランチも絶望的となると…あと1ヶ月しか猶予が無いのに、果してあの店に行けるチャンスは来るのだろうか?
そんなことを考える私の口から、想定外の言葉が溢れ落ちていた。
『明日さ、朝は板橋の職場に立ち寄って来るから、こっちに来るのは多分午後一くらいになるかな?』
咄嗟に出てしまった言葉を具現化させるため、翌日の緊急会議の招集など少々骨は折れたが、適当な用事をこなして12時のランチタイムの少し前に蔵前駅前に到着するという、急拵えにしては悪く無い段取りだったと思う。
本場アメリカでハンバーガーという料理が確立された頃、1800年代後期に増え続けた
小屋のような店構え、限られたメニュー数、
店主のこだわりが際立つ[Burger Stand]
その表現を現代で出来たら面白い事になると思い現代の[Burger Stand]として、
繋がりの場を色々な人々が交流できるような
[Burger Stand]を目指しています。
店の前には既に女性が1人順番待ちで立っているようだが、これはまだ許容範囲だろう。
この時点ではベーコンチーズバーガー(1,380円)など、ベーシックなメニューで様子を見ようと思っていたのだが、並んで待っているうち…
2度と来れない可能性も有るのにそんな無難なメニューで満足出来るのか? そんな思いが頭をよぎる。
ようやく順番が来たときには居ても立っても居られなくなり、思わず目に飛び込んで来た
を指差していたのだが…
『こちらはベーコンとトマトが入ってない代わりに、グリルオニオンとピクルスが入るタイプになりますが、
こちらでしたら、レタスとトマトが入ってますよ』
こういう場合は、当然店員のオススメに従うべきであろう。
素直に店員オススメのダブルデックチーズバーガーを注文するも、1880円にランチドリンク200円をプラスして2080円という私の価値観を崩壊させる価格に目眩を覚えつつ、着座して10分ほど経っただろうか?
ランチドリンクとして差し出された瓶のコーラ(200円、ランチビール600円も有るが流石に仕事中のため、ここは涙を飲む)が、また店の雰囲気によく合っている。
『こちらの紙に包んでお食べ下さい』
目の前に運ばれて来たたのは、私のイメージするハンバーガーとは一線を画する逸品であり、もうアレコレと説明する必要は無い。
とにかくこの写真さえ見て貰えれば、その圧倒的な存在感を理解して頂けるだろう。
粗挽きの挽き肉のハンバーグが2枚重ねられ、その肉汁から溢れ出る抜群の旨味と歯応え、フレッシュなトマトとレタスのサクサク感が口の中で一体となり、値段だけでは無くその味わいでも私の中のバーガー対する価値観を崩壊させで行く。
一心不乱に咀嚼し胃袋に流し込む作業をしている最中、ガキ! っと強烈な歯応えが有り、一瞬奥歯の詰め物が外れてうっかり噛み締めてしまったのかと焦ったが、実際はそうでは無かった。
下処理の際にスジ肉を取り忘れたのか? 半端ねぇ歯応えの肉の塊が奥歯をを跳ね返して来る。
ここに来て、完璧な仕上りだったバーガーに残念な落とし穴が…と思いきや、気を取り直してこの塊を噛み締めてみると、奥歯に伝わる半端ねぇワイルドな歯応えが『ま〜そう焦らず、少しは落ち着いて味わえや』と、バーガーから語り掛けてるような幻想を駆け巡らせ、この歯応えがまた絶妙なアクセントになり、すべて計算ずくで仕込んだ罠では無いか? と思わせ、その食感に魅力されて行く。
ワイルドな塊り肉と格闘すること1分、いや長く感じただけで実質は30秒くらいだろう。
この難所を越えてしまった後は、もうあっという間に胃袋に流し込まれて行ってしまう。
幸せな時間というのは、いつもあっという間に通り過ぎて行ってしまうもの。
残念ながら私は、バンズがどうだとか、どこそこ産の牛肉がなんちゃらとかの語彙は持ち合わせていないが、霜降りのとろけるようなお肉とは正反対の、歯応えが有り、脂というより赤身肉の旨味を味わうタイプの粗挽き肉と、なんだかよく分からないが兎に角美味いパンと野菜の見合わせが抜群にワイルドなハンバーガーだった。
コレを家に帰って嫁さんに話したところ、『2000円も払うんなら、私だったら食べ放題のブュッフェとかに行くわ〜』と、至極真っ当な答えが返って来たが、コレばっかりは食べた者にしか分からない。
果たして、このおっさんグルメバーガー部🍔にnextはあるのか?
我慢出来ずに、またMcLeanを訪れるのか?
はたまた、別のグルメバーガー店にチャレンジするのか?
どちらにせよ当分先の話になりそうなので、次回の更新はこのお話の1/10も人気の無いであろう、超格闘技プロレスjujoの話になると思われるが、そこは勘弁願いたい。