渋谷警察署の警察官がクルド人の男性に職質を行った際、暴行を加えたとして問題になっている。また、これが外国人への差別的な職質に当たるという批判も出ており、抗議デモが行われる程騒動が大きくなった。

その職質動画がこれだ。

任意の職質において、何もしていない男性を動画のように車から引きずり出して抑え込んだのであれば、明らかに不当かつ過剰な行為として批判されるのは当然である。

 

だが、この動画で疑問に思ったことは、職質でいきなり警察官がこのような対応をとるかということである。また、現場には30人近い応援の警察官も臨場したそうである。拒否して抵抗したり逃走しなければ普通は応援は呼ばれない。

 

クルド人男性は毎日新聞の取材に「交通違反も何もしていないのに、外国人というだけでひどいことをされた。外国人だから、話も聞かずに乱暴することが許されていいのでしょうか」「私は逃げても暴れてもいませんでした。首を絞められて『息ができない』と言ったのに、友人が撮影していることに気づくまで緩めてもらえませんでした」と語っている。

 

一方で、立憲民主党の有田芳生議員が警察に事実確認を行ったところ、以下のことが判明した。※有田氏のTwitterより引用。

 

警視庁渋谷署警察官によるクルド人職務質問(5月22日)問題。警察庁に映像前後の事実確認を行いました。

 ① パトカーを急速度で追い越し、ウインカーを出さず車線変更する車がいた。 

② 道交法違反の疑い(合図不履行)があるので追いかけて停車させた。運転免許証の提示を求めたが急発進。

③ 追いかけて停車させ再び免許証の提示を求めたが出さず。 

④ 当該人物(車内には2人)は車を降りたが逃げようとした。

⑤ 交通量が多く、渋滞が起き、危険な状況だったので身柄を捕捉。 

⑥ 免許証を持っていなかったので指導警告して解放した。

 ⑦ クルド人だったことは報道で知った。

 

道交法違反の疑いがあれば、警察は停車を求めることができるし、職質には一定の実力行使も認められる場合もあることから、車を急発進し逃走を図ったのであれば、実力の行使も止むを得ない。また、逃走を図った場合は日本人であろうが外国人であろうが警察官は同じように対応するので、この点で差別意識は無かったと思う。

 

警察官がクルド人男性を組み伏せている場面だけを以てして、外国人差別と断罪することは出来ないし、一方的な暴力行為と決めつけることもできない。

 

クルド人男性の主張と警察の主張は真っ向から食い違っている。動画もいきなり警察官が男性を組み伏せているところから始まっており、その前後を確認できないことから、私にはどちらの主張が正しいのかは判断できない。

 

いずれにしても事実関係が明らかにならない以上、どちらか一方を批判はできない。不当な職質が行われることはあってはならないが、一方で外国人差別とレッテルを貼られて現場の警察官が委縮することがあってもならない。