河野防衛大臣は記者団に対して、秋田と山口に配備予定だった地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムイージスアショアの配備へのプロセスを停止すると語った。中止ではなく停止という言い方なのが気がかりではあるが、計画を一度停止したことは高く評価できる。

 

以前から当ブログで繰り返し主張しているが、イージスアショアの配備は問題点が多すぎる。以下に主な問題を挙げる。

 

・コストが高すぎて防衛予算を圧迫する上、慢性的な人員不足が続く陸自の人手を更に喰うことになる。

 

・イージスアショア2基で48発の迎撃ミサイルを配備するが、北朝鮮や中国が保有する対日戦用の弾道ミサイルは数百発規模であり、イージスアショアで防ぎきることは不可能。

 

・ペトリオットPAC-3と違い、システムが大型で固定式のため移動したり掩蔽壕などに隠すことができないから生存性が低い。武装工作員や特殊部隊が迫撃砲やドローンなどで攻撃すれば容易に破壊され無力化される。生存性という面ではイージス艦を増強した方がいい。

 

・レーダーの発する電波が極めて強力なので周辺地域の通信などに悪影響が出る恐れがある。イージス艦ではSPY-1レーダーを稼働させるのは沖に出てからだし、電波を出している間は乗組員は甲板に出ることが出来ないほど強力と言われている。

 

・配備予定となっている山口県と秋田県への説明が不十分で住民からの理解を得られていない。電波の問題など不信解消のプロセスが不十分。

 

簡単に問題点を列挙しただけだが、これを見る限りではイージスアショア導入のメリットは少ない上、日本国内での運用は難しいのではと思う。

 

イージスアショア導入案自体、現場サイドの防衛省・自衛隊からの要求ではなく、官邸主導で進められたと言われている。裏にはアメリカ製の高額な装備を購入してアメリカのご機嫌取りをするという政治的思惑もチラつく。

 

ともかく、この度計画の停止が発表されたことは朗報である。このまま白紙撤回してほしいと切に願う。