皆さん、こんばんは!
OOOなセラピスト、
(Occupational therapy(作業療法)
×Oriental medicine(東洋医学)
×Oita(大分))
Oriental Physio Academy大分県支部長の
安部源生(あべもとき)です。
自己紹介
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今回は
膜やタッチのアプローチの際に
少しだけお話しした、
皮膚へのアプローチ
についてです。
身体表面を覆うという意味では、
皮膚は人体で最大の膜といえます。
膜の滑走不全が可動域制限になるように、
皮膚の可動性が低下すれば、
運動にも制限が起こります。
今回は皮膚からのアプローチについて
アウトプットしたいと思います。
※これらは皮膚を直接アプローチするので、
術後早期は禁忌となります。
自分が働いている急性期でも使う手技ですが、
創離開などに十分な注意が必要です。
①皮膚の運動学
筋肉を動かす際には、
もちろん皮膚も動きます。
具体的には
関節の骨運動と連動する
と言われています。
福井勉先生の『皮膚運動学』から要約すると、
・骨同士が近づく運動(屈曲)では、
皮膚は関節から離れる方向へ動き、
・骨同士が遠ざかる運動(伸展)では、
皮膚は関節に近づきます。
骨の動きと逆走する感じですね。
この動きを意識して、
皮膚の上を軽くなぞるだけでも
可動域や筋力の改善が可能です。
テーピングにも応用できます。
ちなみに、
しわに着目すると、
①しわを伸ばすと、
しわのできる方向への運動は大きくなる。
②逆にしわを作ると、
しわが伸ばされる方向への運動は大きくなる。
となります。
②皮膚のリリース
皮膚が骨の動きと逆走するためには
皮膚と筋の間にスペースが必要です。
では、そのスペースをどう作るか?
僕は良く
皮膚をつまむように
引っ張ります。
緑が長母指伸腱で、
ピンクのテープが皮膚の部分です。
こちらは
黄色がアキレス腱で、
ピンクのテープが皮膚です。
実際にはこんな風に行います。
一見、痛そうですが、
皮膚だけ摘まめば痛みはありません。
多少あっても、すぐに消えます。
ゴム手袋をした手の
皮膚をつままずに、
ゴム手袋だけ
をつまむ感じですね。
このキツキツのゴム手袋を引っ張ることで
伸ばして手との間のスペースを作り、
手を動かしやすくするイメージです。
③筋膜リリース
皮膚と筋だけでなく、
その間の組織の滑走も向上させる必要があります。
僕の場合、
皮膚を押さえておき、
その下の筋膜の滑走を出させながら
ROMを行います。
手関節背屈を例にすると、
前腕部は近位(ピンク色のテープ)方向に
手掌部は遠位(黄色のテープ)方向に
皮膚を牽引しながら、
掌屈位から背屈位へ誘導します。
皮膚の動きを止めてROMを行うことで、
その下の組織の滑走を促す(緑の矢印)感じですね。
青で丸をした部分の
皮膚と筋膜のリリースが可能です。
①~③のアプローチを行うことで皮膚が滑走し、
筋が効率よく収縮でき、
可動域制限だけでなく、
筋力向上が期待できます。
加えて、
皮膚の下には
神経や血管、リンパが通るため、
浮腫にも有効です。
管(血管、リンパ管)と神経が通る場所を
脈管神経隙といい、
ここが狭くなると血管・リンパ管・神経が圧迫されてしまいます。
ちなみに
①は文京学院大学の福井先生の『皮膚運動学』
②はCRPT、リアラインコンセプトの蒲田先生の『マニュアルリアライン』
③はオーストラリアン徒手療法のジェフ・マリー先生の『筋膜リリース』
などを参考にしています。
色んなセミナーに参加していると、
①がダメなら②、またはその逆もという風に
一つのアプローチに色んな視点を持て、
治療の幅が広がりますね。
また、それぞれに
重なる部分もあるので
色んな引き出しができて、
自分なりの改良もできますね。
例えば、
僕は
①~③のアプローチに
経絡やアナトミートレインと融合させることもあります。
体幹前屈に制限があるとします。
これは、
経絡やアナトミートレインでいうと、
後ろのテープ
すなわち、
腎経・膀胱経=スーパーフィシャルバックライン(SBL)
の滑走制限です。
(詳しくは腎経・膀胱経とSBL(太渓×アキレス腱×足関節脂肪体)参照)
なので、
SBLを構成する
ハムストリングスや腓腹筋、アキレス腱がある場所
の皮膚に対して
①~③のアプローチをすると
体幹前屈の可動域が改善することがあります。
いかがでしたでしょうか?
普段の訓練に加えやすいので、
僕は良く①~③のアプローチを行います。
今現在、急性期の整形外科に勤めているので、
浮腫の方も多いため、効果的です。
もちろん、
創部には十分に注意して行います。
皮膚のついていない人はいないので、
アプローチとして知っておいて
損はないと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
これからも、よろしくお願いいたします!