前回の続き。
7月31日、夫と過ごすラストバースデイプラン7月30日中に食事の準備を済ませ、7月31日0:00を過ぎて夫と2人きりの晩餐をいざスタート。
今宵のメニューはこちら。
乾杯は毎度お馴染み「コーラ」で。
今までは夫用にはコーラ、私はビールやシャンパンなど別のドリンクにしていたけど、今回は夫と同じものをすべて頂くことに。
先日行った先祖供養で教えてもらったんですが、
❝私達の口で味わうことで、故人もそれを五感の感覚で体験できる❞んだそう。なので、私が食べて味わうことで、亡くなった人もその味を楽しむことが出来るらしい。私はコーラ苦手だが、夫が飲んでいると想像しながらいただいた。
先祖供養の時にお供え物をしたんだが、父方の祖父がいつも食べていた物ばかりを集めたところ、喜んだその祖父がその場に来てくれたようで、〝来たよ〟サインもくれて(神主さんが「祝詞をあげている最中に誰か来たんですよ。見えたのは細い男性です。きっとそのおじいさんですね」と言うと、隣の部屋からまるで返事をするように「バン!」と何度か音が鳴った)。なので今回はそれに習って、和洋限らずとにかく夫が好きだったものをチョイス。
<前菜>
きゅうりの糠漬け
らっきょ
チーズ(生まれ変わったら「牛」になりたい、と言っていたので牛の絵のチーズにしてみた)
フォアグラペースト
サラダ
これらを並べた後、ふと
「はたして、本当に成仏してないのか?本当にここにいるのか?」
との余念が。
そこで、
「おい!〇〇(←主人の名前)ここにいるの?いるなら何かサインちょうだい!」
「私が分かるように、この場にいるサインをくれなきゃ、ビーフシチューあげないからね!」
と声を大にして言ってみたが、本当に私は何も感じないタイプらしい。案の定夫のサインは何も出て来ない。
「やっぱりいないの!?いるなら何かやってよ!じゃないと美味しい美味しいビーフシチューはおあずけだよ!!」
「何か音を出すとか、カーテンひらひらさせるとかさぁ、なんかないの!?」
とその時、目の前の棚のこいつと目が合った。
「・・・・・・」
「もしや・・・!!君か!?」
<解説>
出会った頃の夫は梟(厳密に言うとミミズクなんだけど)を飼っていて、とてもかわいがっていたのである。
「そこに・・・・、いたのか!!!」
これは今の家に引っ越したばかりの頃、通りすがりで何となく目を引かれ衝動買いしたもの。間接照明なんだけど電気を灯すこともなく、ただそこにずっと置いたまま、日頃まったく意識することはなかった。
これが夫からのサインとしてビンゴなのかはたまた勘違いなのか分からぬも、一瞬「コイツか!」と思ったので、今宵はコレを夫と見立ててディナーをする事に。
【椅子に座らせるの巻】
そしてまず、一つずっと後悔していた事を懺悔。
それは❝らっきょ❞
夫はらっきょが好きだった。好きすぎて、いつも際限なく食べてしまうので「1日5粒まで」と制限して管理していたほど。
最後のホスピス生活の間もよく食べていたが、次第に手を上げる事も箸を持つことさえも辛くなり、私がすべてお膳立てするようになった時のこと。
私はとにかくらっきょの匂いが嫌いで。それが少しでも手に付くのが本当に嫌で嫌でたまらなく、夫に「らっきょ食べたい」と言われるのが内心は毎度ちょっと嫌だった。
一度だけ、苛立ちを露わにしながら夫にらっきょを食べさせてしまった事がある。心の中で「何で私の手がらっきょ臭くならなきゃいけないの!」と苛々しながら夫の口にらっきょを運んだ。夫は悲しそうな顔で
「苛々しないで・・・」
と言った。もう、❝今日死ぬかもしれない❞そんな状態の彼に、そんな事を言わせてしまったのだ。そう言われた時、ハッと我に返ったのを今でも思い出す。
この10年間、らっきょを目にするたび、この事を思い出しそうになるものの、見て見ぬふりで過ごしてきた。このらっきょ事件は私にとっては忘れられない心底後悔している事。自分の精神の未熟さを目の当たりにした事件。
本来、もう余命いくばくもない人間が食べ物を普通に食べられる、食べてくれる、しかもそれを美味しいと味わえる、というのはとても素晴らしいこと。本来私はらっきょに感謝すべきだ。
なのに私ったら。
今までこの記憶は、向き合いたくなくて封印していたため、夫亡き後、私は一度もらっきょを食べたことはなかった。
しかし昨日、夕食の買い物時になぜかふと
「あ!らっきょ!」
と思い出したのです。
私は梟に向かってらっきょ事件の事を心から謝り、らっきょを味わいながら食べた。久しぶりのらっきょ。頑張って2粒食べた。(やっぱり私は今になってもこの匂いは嫌い(笑))
フォアグラペーストは先月ハンガリーで買ってきたもの。バケットにたっぷり塗って頂いた。これは夫が喜ばないわけがない!
そして、たくさんたくさん、声に出して、夫に語った。
「ねぇねぇ、昨日広島の先生が言ってたけど、あれって本当?成仏してないの?」
「でもスピリチュアルな人達はみんな成仏してるって言ってたもんね。やっぱ成仏してるか」
「成仏してたら、してないとするこんな話してごめん」
「いないふりしてずっとそばにいたの?」
「それは困るな。お互いにとって良くないよ」
「あなたのおかげで仕事がとてもイイ感じだよ」
「今あなたが生きていたら・・・、なんてことは言わないよ!そういう宿命だったんだよ。それが使命。短命が不幸だとは思わない」
「もう楽になろうよ」
「あなたは魂の故郷へ。私はまだ残りの今世を生きる。いる場所は別々になろう」
「まだ死んで1日くらいな感覚なんだって?なら、私がそっちに行くのもあと3日後くらいなもんだよ。すぐだよすぐ!そっち行ったら真っ先に会いに行くから。待っててとは言わないけど。でも一番に会いに行くからさ!」
そんなこと言っても静まり返った部屋、微動だにしない梟。
私がスピリチュアルな力や霊感があったらここで何か感じられるかもしれないが、感覚的にはまったくの一方通行。この模様をスピリチュアルな人達へ生放送して、夫の反応をインカムで実況中継してもらいたかったです。
でも、お皿の淵に置いていた箸がいきなりコロンと転がったので、これも夫のサインだと思うにした。
さて、お待ちかねメインディッシュ
ビーフシチューの登場。
今回は・・・それはそれは美味しく完成。
まだ料理の腕前がまったくなかった17年前に作った初めてのビーフシチューが過去最高に美味しくて。その後、料理は上手になったのになぜかそれを越える味を出せずにいたのだが・・・
越えました!!
今回のビーフシチューはおそらく私史上、最高。
良かった
文句なしのウマさ
「麗華の料理は宇宙一美味しい」といつも褒めてくれていた夫だけど、ことビーフシチューに関しては
「今回のも美味しいけど、やっぱり一番最初のには敵わないね。何でだろう?」と毎度言っていた。その夫もこれは認めてくれたことでしょう。
この上出来なビーフシチューの完成と共に、私はやっとこの10年を払拭出来た気がした。
いや、しかしお腹いっぱい
まだ夫の好物、そして恒例のケーキが待ってるんだけど。
コーラはやはり私は苦手
そこで赤ワインを1杯飲んだら・・・
不覚にも眠くなってしまい
「ごめん、続きはまた明日ね」
これらを並べた後、ふと
「はたして、本当に成仏してないのか?本当にここにいるのか?」
との余念が。
そこで、
「おい!〇〇(←主人の名前)ここにいるの?いるなら何かサインちょうだい!」
「私が分かるように、この場にいるサインをくれなきゃ、ビーフシチューあげないからね!」
と声を大にして言ってみたが、本当に私は何も感じないタイプらしい。案の定夫のサインは何も出て来ない。
「やっぱりいないの!?いるなら何かやってよ!じゃないと美味しい美味しいビーフシチューはおあずけだよ!!」
「何か音を出すとか、カーテンひらひらさせるとかさぁ、なんかないの!?」
とその時、目の前の棚のこいつと目が合った。
「・・・・・・」
「もしや・・・!!君か!?」
<解説>
出会った頃の夫は梟(厳密に言うとミミズクなんだけど)を飼っていて、とてもかわいがっていたのである。
「そこに・・・・、いたのか!!!」
これは今の家に引っ越したばかりの頃、通りすがりで何となく目を引かれ衝動買いしたもの。間接照明なんだけど電気を灯すこともなく、ただそこにずっと置いたまま、日頃まったく意識することはなかった。
これが夫からのサインとしてビンゴなのかはたまた勘違いなのか分からぬも、一瞬「コイツか!」と思ったので、今宵はコレを夫と見立ててディナーをする事に。
【椅子に座らせるの巻】
そしてまず、一つずっと後悔していた事を懺悔。
それは❝らっきょ❞
夫はらっきょが好きだった。好きすぎて、いつも際限なく食べてしまうので「1日5粒まで」と制限して管理していたほど。
最後のホスピス生活の間もよく食べていたが、次第に手を上げる事も箸を持つことさえも辛くなり、私がすべてお膳立てするようになった時のこと。
私はとにかくらっきょの匂いが嫌いで。それが少しでも手に付くのが本当に嫌で嫌でたまらなく、夫に「らっきょ食べたい」と言われるのが内心は毎度ちょっと嫌だった。
一度だけ、苛立ちを露わにしながら夫にらっきょを食べさせてしまった事がある。心の中で「何で私の手がらっきょ臭くならなきゃいけないの!」と苛々しながら夫の口にらっきょを運んだ。夫は悲しそうな顔で
「苛々しないで・・・」
と言った。もう、❝今日死ぬかもしれない❞そんな状態の彼に、そんな事を言わせてしまったのだ。そう言われた時、ハッと我に返ったのを今でも思い出す。
この10年間、らっきょを目にするたび、この事を思い出しそうになるものの、見て見ぬふりで過ごしてきた。このらっきょ事件は私にとっては忘れられない心底後悔している事。自分の精神の未熟さを目の当たりにした事件。
本来、もう余命いくばくもない人間が食べ物を普通に食べられる、食べてくれる、しかもそれを美味しいと味わえる、というのはとても素晴らしいこと。本来私はらっきょに感謝すべきだ。
なのに私ったら。
今までこの記憶は、向き合いたくなくて封印していたため、夫亡き後、私は一度もらっきょを食べたことはなかった。
しかし昨日、夕食の買い物時になぜかふと
「あ!らっきょ!」
と思い出したのです。
私は梟に向かってらっきょ事件の事を心から謝り、らっきょを味わいながら食べた。久しぶりのらっきょ。頑張って2粒食べた。(やっぱり私は今になってもこの匂いは嫌い(笑))
フォアグラペーストは先月ハンガリーで買ってきたもの。バケットにたっぷり塗って頂いた。これは夫が喜ばないわけがない!
そして、たくさんたくさん、声に出して、夫に語った。
「ねぇねぇ、昨日広島の先生が言ってたけど、あれって本当?成仏してないの?」
「でもスピリチュアルな人達はみんな成仏してるって言ってたもんね。やっぱ成仏してるか」
「成仏してたら、してないとするこんな話してごめん」
「いないふりしてずっとそばにいたの?」
「それは困るな。お互いにとって良くないよ」
「あなたのおかげで仕事がとてもイイ感じだよ」
「今あなたが生きていたら・・・、なんてことは言わないよ!そういう宿命だったんだよ。それが使命。短命が不幸だとは思わない」
「もう楽になろうよ」
「あなたは魂の故郷へ。私はまだ残りの今世を生きる。いる場所は別々になろう」
「まだ死んで1日くらいな感覚なんだって?なら、私がそっちに行くのもあと3日後くらいなもんだよ。すぐだよすぐ!そっち行ったら真っ先に会いに行くから。待っててとは言わないけど。でも一番に会いに行くからさ!」
そんなこと言っても静まり返った部屋、微動だにしない梟。
私がスピリチュアルな力や霊感があったらここで何か感じられるかもしれないが、感覚的にはまったくの一方通行。この模様をスピリチュアルな人達へ生放送して、夫の反応をインカムで実況中継してもらいたかったです。
でも、お皿の淵に置いていた箸がいきなりコロンと転がったので、これも夫のサインだと思うにした。
さて、お待ちかねメインディッシュ
ビーフシチューの登場。
今回は・・・それはそれは美味しく完成。
まだ料理の腕前がまったくなかった17年前に作った初めてのビーフシチューが過去最高に美味しくて。その後、料理は上手になったのになぜかそれを越える味を出せずにいたのだが・・・
越えました!!
今回のビーフシチューはおそらく私史上、最高。
良かった
文句なしのウマさ
「麗華の料理は宇宙一美味しい」といつも褒めてくれていた夫だけど、ことビーフシチューに関しては
「今回のも美味しいけど、やっぱり一番最初のには敵わないね。何でだろう?」と毎度言っていた。その夫もこれは認めてくれたことでしょう。
この上出来なビーフシチューの完成と共に、私はやっとこの10年を払拭出来た気がした。
いや、しかしお腹いっぱい
まだ夫の好物、そして恒例のケーキが待ってるんだけど。
コーラはやはり私は苦手
そこで赤ワインを1杯飲んだら・・・
不覚にも眠くなってしまい
「ごめん、続きはまた明日ね」