丘へ | 詩人 黒田誉喜  Blog from globe

丘へ

「 丘へ 」




車の屋根を
 
打ち付ける雨音を聞きながら、

雨に歪んだ
 
フロントガラスの向こうを
見つめている。



ひっきりなしにやってくる未来に、
 
時折うんざりしたりするけど、

それでもなんとか幻想の安息地へ逃げ込もうと、
もがく姿は、どこか滑稽で愛おしいだろ?



イマジネーションや
 
インスピレーションを羅針盤とする
スピリチャルな魂の旅路は

フィクションや
ブートレックのように扱われ



僕たちは
 
栞を挟み忘れた
読みかけの本みたいだ。



テレビジョンを灯せば
 

金を使え
 
金を使え
と言ってくる。




このままいけば
 

ハイパーテレビショッピングで、

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なんて時代がやってくるんじゃねぇかって
ドキドキするよ。
 はぁと。


もうさあ
 
そんなことよりさあ



とりあえず
 


明日晴れたら
 
あの丘に登って


この狂おしい世界の果てについてや
 


何気ない日常を彩る
 
朝露の美しさについてや


君の
 


とっておきの夢について


語ろうぜ。



今夜は雨で星は見えないけど
 

それでもかまやしない。
 



俺たちの希望の星は
 


いつだって
 
どこにいたって


俺たちが心を閉じないかぎり
 


お互いの心の中に
 


輝いているのだから。
 




黒田誉喜
 














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