O2 | 詩人 黒田誉喜  Blog from globe

O2

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「 酸素 」


   
ひとつぶの原子が 

   
晴れ渡った空に流れた。

   

   
虹も月も僕も

   
最大限分解すれば 
みんな同じだろうか。

   
   
僕の気持ちは 
元素記号では表せないけれど

   
   
僕の涙は 
水素ふたつと 
ひとつの酸素と

   
少しの塩化ナトリウムで 
できている。


    
     
僕は 
どうやったら

     
君への想いを結晶にできるか

     
ずっと考えているのだけれど

     
     
時折 
笑う君の仕草に

     
そんなことは 
すぐに忘れてしまうんだ。

     

        
君と僕の結晶


         
それは


      
永遠に解き明かせない
ふたりだけの秘密

      

            
それは

      

        
静寂の音を奏でている時の波紋

   

      
刹那が忘却の彼方まで続く 
時のわだち。

   
         
晴れ渡る丘のうえ

       
地球に背を向けて 
深呼吸をする。

       
からだいっぱいに 
酸素を吸い込み

       
ゆっくりと 
二酸化炭素を 
吐き出す。


        
僕は、それを 
生まれて死ぬまで

         
ずっと続けて 
ときに笑う。

          
植物たちは 
それを歓迎し

            
酸素を与える。

   
             
僕も君も

           
ちがうかたちで

            
呼吸を続ける。


          
ふたりが 

ふたつとない


           
ひとつの結晶になるその日まで。







Present for Uriru


黒田誉喜









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