星の友達 | 詩人 黒田誉喜  Blog from globe

星の友達

「 星の友達 」

彼の星には戦争も平和もなかった。

だから、
僕はそれを説明するのに
ずいぶんと骨が折れた。

奪い合うこと。

平和を希求する気持ち。

搾取する支配階層について。

彼の質問は、
いつも哲学的にさえ聞こえた。

武器ってなぁに?

平和ってなぁに?

殺すってどういうこと?

支配という言葉を説明するのに
もっとも苦労した。


彼の星には戦争も平和もなかった。


あるのは
家族と過ごす恙無い暮らしの中で、
子供たちの成長や、
自分の成長を楽しみ、
自分の生まれた意味を自分で決めて
全うすることだけだった。

比べるという概念さえなかった。

対象物は常に自分だった。

だから、

彼との会話で一番盛り上がったのは、
家族と一緒に出掛けた時に見た
木漏れ日が優しい丘の上に
寝転んだ時に見える
空の青さについてだった。

波の音色が心地よく、
波しぶきが七色に輝く
午後の出来事だった。


黒田誉喜














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