先日、着物を着てお友達が出演する日本舞踊 坂東流95周年のお祝いの舞踊会を観に国立劇場までお出かけして来ました。

久しぶりに着物に袖を通したので、着物の説明を。
今回は長文になります。


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9月は裏地のない一枚仕立ての着物、単衣(ひとえ)を着る季節です。

6月の着物の際に書いていますが
諸説ありますが、9月の単衣は着物以外の帯、襦袢、襟、小物類はすべて袷(あわせ)の仕様。
つまり秋の支度です。
裾ぼかしの加賀染めの色無地で。

今回はあくまで主役は出演者なので控えめな色無地にて。

私にとっては一生物の加賀刺繍作家さんの帯で格は高く。

裾にぼかしの模様の入った色無地は
色無地より格の高い付け下げと色無地の中間の様な位置付けになるので帯によってはカジュアルなパーティーから結婚式にまで対応でき、とても重宝しています。
ちなみに基本的な着物の格付けは

小紋< 色無地< 付け下げ < 訪問着< 色留 < 黒留袖

の順になります。
紋の付け方によっては前後しますがこれがスタンダードな決まり事です。

色無地から格上の着物は礼式やお茶会などにも出席できます。


数を持たない季節の単衣にはこれくらいの格付けの着物が便利 という母の助言により
単衣は小紋と色無地しか持っていませんが大正解です。
色無地や付け下げは帯次第でかなり用途の幅があります。

「着物一枚に帯三本」とはよく言ったもので、正に色無地はこの言葉に値する着物です。

帯によっては軽いお出かけやパーティーから結婚式や授与式、祝賀会などにも出席できるマルチな着物。

お花などの柄はなく、華やかさには欠けるかもしれませんが、こういった色無地は私が1番好きな着物です。

もちろん友禅が施された華やかな訪問着も大好きですが、それに比べると色無地は控えめで帯が主役になります。

帯次第ではおばあちゃんになっても気後れせずに着られるし、色味や地紋の美しさが要となり着姿に奥ゆかしい美しさが放たれます。

色無地はシンプルでミニマムで機能的な美しさがあり素晴らしく便利な着物。


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裾の裏、つまり見えないところに撫子柄と加賀友禅の作家さんの落款があります。
こういった見えない可憐な可愛らしさを身に付ける事が着物の魅力の1つでもあります。

モノグラムを主張する洋風なものにはありえない発想。
ここに日本的な奥ゆかしい精神と美的な感覚を感じられます。


例えば表には見えない肌襦袢にお守りのような意味のある野菜の柄が入っていたり、男性の襦袢には男性的な強さの象徴となる馬やドクロの柄が施してあったりもします。
見えないところの精神的哲学
これぞ粋の文化です、素晴らしい!昔の日本人!

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帯は加賀刺繍の青海波と菱紋やお花などの柄です。
なんと全て手刺繍です。
気が遠くなるような作業でしょう。

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お太鼓の柄部分  もはや芸術品。
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京都のゑり正で購入した薄ぼかしの帯あげと帯締め。
綺麗な浅葱色が私の持っている着物や帯とよく合うので出番の多い2つ。
これも袷の小物です。

着物を着ると私の日本人女子としてのDNAが騒ぎ出すのか? 何故かいつもウキウキしてしまう♪

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舞踊家の坂東鈴梢(すずしょう)さん
ひょんなご縁でご飯を食べに行ったりと仲良し、普段はとってもキュートな女の子ですが、長唄の踊り「鷺娘」を見事に演じていました

長身でお人形のような顔立ちで踊りにもキレがありはんなりと艶やかで、素晴しく美しかったです。
5回の引き抜きという舞台上での衣装の早替わりも壮麗で周りがどよめくほどでした!
雪景色の中で、鷺の化身となった少女の切なさが踊りの中で見事に表現されていて、私も最後には涙が出てしまいました。

歌舞伎で男性の演じる鷺娘は見たことがあり、それはそれで力強い美しさが素晴らしいのですが
本物の女性が演じると、柔らかい曲線や動きが美しく、自然な目線や呼吸感が儚く素敵でした。

この写真の衣装は最後に鷺となった姿です。
やはり観劇はその世界に引き込まれてショートトリップしてきた気分になれますね。
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国立劇場
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連獅子 
さびさに歌舞伎でも見に行こうかなぁとおもいました

さて来月からはいよいよ着物は袷の季節です!
またご紹介させていただきます!

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