医師たちの苦悩~新型コロナ重症患者への治療法~大学病院の治療実態から | 好奇心の扉

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災害は偶然の産物ではありません。何らかの連鎖的な出来事の結果です。
大惨事の陰に隠された知られざる真実に迫ります。
そこには次の大災害を回避するための重要な証拠が必ず残されています。

厚生労働省の厚生労働科学研究班が2020年4月2日に示した、「新型コロナウイルス感染症の重症患者等に係る臨床学的治療法の開発」(国立国際医療センター 大曲 国際感染症センター長)で、対象治療薬として指定された3製剤と、その他の有効性が期待される薬剤について、全国の大学病院の医学部長病院長会議は9月10日、新型コロナウイルス感染症における重症例に対する治療実態調査の結果を報告しました。




◎対象治療薬は次の製剤。

アビガン(一般名:ファビピラビル)、カレトラ(一般名:ロピナビル リトナビル)、オルベスコ(一般名:シクレソニド)、その後に承認されたベクルリー(一般名:レムデシビル…5/7)とステロイド剤のデカドロン等(一般名:デキサメタゾン…7/21)。


◆投与の治療実態と治療結果を次の一覧表にしてみました。

尚、総重症症例数は487例で、死亡割合は20.1%(98例)だった。
重症例は、1病院当たり平均5.94例を受け入れており、45症例と回答した医療機関もあった。
重症例とは、ICUに入室、又は人工呼吸器を必要とした患者と定義。エクモ(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)の使用症例は含まない。


新型コロナウイルス感染症の治療薬治療実態結果


▲ここで考慮すべきは、重症者に対しては、新型コロナウイルスの増殖を細胞外で阻止する薬剤と、細胞内に入り込みRNA分裂によって増殖し新たなウイルスが放出されるのを防ぐ薬剤。
▲さらに肺や気管支の炎症による呼吸困難や肺細胞の炎症を抑える薬剤の、2タイプ以上が使われ、重症化から危篤に至る経過を防止する手立てが、患者の年齢や持病などを考慮して、医師があらゆる治療の道を模索しながら治療に当たっている事があげられる。

ここに新型コロナウイルスが一筋縄では行かない難しさがうかがえるのだ。





レムデシベル投与されず


7月31日までに治療した重症患者487例に対する治療として、アビガンは約8割に当たる378例に投与され、275例が軽快したという。
国内で唯一新型コロナの治療薬として承認されているベクルリー(一般名:レムデシビル)は54例に投与されており、軽快例は57.41%(31例)だった。


重症患者に対して行われていた各治療法の割合
重症患者に対して行われていた各治療法の割合


今回の報告は重症例であるため、複数の治療を併用する例が多く、個々の治療薬の有用性を検証することは出来ないが、重症例に対する現状の治療実態が浮き彫りになった。

このほか、肺炎症状なども呈する中で、抗菌薬(抗生物質)が398例(81.72%)に投与されていたほか、人工呼吸は356例(73.10%)、ヘパリン(未分画)※が269例(55.24%)、栄養介入(経腸栄養もしくはTPN)は325例(66.74%)などだった。

※ヘパリン(未分画)とは、血栓を防ぐ抗凝固薬。





インフルエンザウィルスを人々が恐れないのは、有効なワクチンが確立されている事と、複数の治療薬があり、それらが極めて有効である――と言う安心感にほかならない。

新型コロナウイルスに、今臨床試験段階にあるワクチンが、全ての人に有効なのかさえ判っていない。そればかりか、何一つ、確立された治療薬も無いのだ。

幼い子供から、高齢者まで――全ての人に効果のある治療薬とワクチンが車の両輪の様に揃わない限り、感染罹患対策と感染拡大対策を決して怠ってはならない!!






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