あれから、15年。(61)Boweryの夜 | 泣き虫デザイナーのニューヨーク奮闘記、 のその後、それからの ご あきうえ

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ファッションデザイナー「GO AKIUE(ごあきうえ)」のブログです。
I am a fashion designer.
Creating clothes is my passion. I've designed clothes and accessories for actors, singers, and other media personalities.



「あれから、15年。(61)Boweryの夜」


フィラデルフィア行きの早朝高速バスは、34th Street & 8th Aveの乗り場から出る。

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バス停までアパートメントから近所、歩いて行ける。


アパートメントから着替えやIDと、タンス貯金を持って来たからバスでフィラデルフィアまで行ける。
あまり使いたくなかったけど、カードもある。


蒸し暑い夜のマンハッタンを歩きながら、
なんだか気持ちがもやもやしてた。


なんでフィラデルフィアなの?って思うけど
先日書いた、住み込みでモーテルかどっかで働こうか、
とか突飛な考えは置いておいて、
フィラデルフィアには縫製工場や刺繍工場が多いの。
前にEnjinさんに教えて貰った。

それと、子供の時にTVで観た映画「ウエストサイドサイドストーリー」。
ヒロインの女の子の兄さんの恋人の女性が、赤いドレスを創ってと、ヒロインにせがまれたけど、
「絶対白が似合う」って言って、凄いかっちょいい白いドレスを仕立てたの。
このシーン、と
「風と共に去りぬ」のグリーンのベルベットのカーテンで仕立てたドレスのシーン。
なんだか、ずっとずっと記憶にある。
子供の時に一回ずつしか観てないけど、
もちろん、今も。

※ちなみにこれはオレが、「風と共に去りぬ」のシーンをイメージして創った作品。↓
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だから、フィラデルフィアに行けば
オレもあんなドレス創れるかな…って。

だから、あの時頂いた「和英洋裁用語辞典」も持って来たの。


オレには取り敢えず、縫えるって技術もあるし…


その夜は手持ちのタンス貯金もあまり使いたくなかったので、
バスが出る早朝まで、取り敢えずぶらぶらしようと思った。


気が付けばイーストビレッジ、「AKIUE-GO」の前までゆっくり、ゆっくり歩いてたよ。


「AKIUE-GO」。
世界に羽ばたくファッションデザイナーオーディションで、グランプリを獲り、
NYにオープンしたオレの店。


日本で何千人の中から選ばれて、NYに来た。
このNYでもライバル達と切磋琢磨しながら戦い、
それに勝って、「AKIUE-GO」がNYに出来た。


オープンしてからも、いろんな方々に助けられて今ここに「AKIUE-GO」がある。

そしてTVを観て、本当にいろんな方々が応援してくれた。


番組スタッフさん達とも、もうすっかり長い付き合いだ。
寂しくて、苦しくて、しょっちゅう怒られて…
でも、いつもオレを助けてくれて、そして守ってくれた。


さっき見たT田さんの疲れた姿見て、なんか凄い罪悪感感じたよ。
T田さんとはまだ、NYでのお付き合いは短いけど、短いのに
こんなに迷惑掛けちゃって。
他のスタッフさん達も心配してるだろうな。

HannaもMitsuも、AliceもLinaも
そしてNYで知り合った人達みんなに迷惑掛けながら、
結局オレは何をしたいの???


オレが居なくなってからも、AKIUE-GO
ちゃんとやってくれてる…


深夜の「AKIUE-GO」の前に一人立って見ていろんな事を思ったよ。

………………


「AKIUE-GO」があるイーストビレッジからSOHOの方面にBowery地区と言うところがある。


すぐ近くのトライベッカ地区にはあのナオミ・キャンベルが住んでたりするけど、
このBoweryは路上で生活する方々が集まる地域。


取り敢えず、一人で朝まで過ごすのは不安なので、
Boweryの人達の中に紛れて朝を待つ事にした。

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割ときちんとした格好の方々が多いの。
オレが路上で、座って居ると
おじさんか、お兄さんかわからない人が話し掛けてくれた。
(欧米の方々は本当に年齢が見た目ではわからないー☆)


「Where are you from?」

「From Osaka, Japan」

「What's your purpose in visiting this NY? 」


答えられなかった…


いつもなら、片言とボディランゲージでハッキリと
I am a Fashion Designerとか、
オーディションでグランプリ獲ってAve.A&9thでAKIUE-GOやってるとか、
聞かれてない事まで勝手にペラペラ話してたのに。

オレは何の為にNYに来たんだろう!

なんか、この家出期間に堪えてた涙が一気に流れて来て。

とんとんとおじさんが肩を叩いて、ぬるい缶ビールをくれた…


いろんな考えが、想いが、ぐるぐるして、
その夜は一睡も出来なかった。
普段ならどこでも寝れるのに。

………………

「What's your purpose in visiting this NY? 」

オレはファッションデザイナー。
世界に羽ばたくデザイナーになる為にNYに来たんだ。

そう答えて良いの?
まだ、その資格はあるんだろうか。



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