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キスの最中って、息はどうすればいいの?
『んっ・・・う・・・』
うまく飲み込めない唾 液が喉をつたい、雨のようにポタポタ胸に降ってくる。
『ほら、苦しいならもっと口開けなさい。』
苦しい・・・けど、そんなことしたら・・・
ぎゅっと噤んだ唇を促すように軽く吸われ、窘める声が優しく優しくオレを誘う。
『ふふっ、強情だな。キスしたくねぇの?』
そうじゃないと、一生懸命目で訴えるオレに微笑んでくれた先生の、
おでこに張りついた前髪を梳かしてくれる指先まで優しくて。
『どうしたらいいか分からないんだろ?
いいよ・・・全部教えてやるから、お前は力抜いて俺のことだけ見てなさい。』
さっき食べたバニラアイスなんか目じゃないくらい甘い囁きを吹き込まれ、緊張も意地もみるみるうちに融けていった。
ぜったい恥ずかしいことされるから、全部は言いなりにならないって決めてたのに。
甘い誘惑に唆されて言う通りにしたら、先生の舌がさっきみたいにオレのことを支配して、頭の中が真っ白になっちゃうって分かってたのに。
『なぁ、先生の言うことが聞けない?』
そんな言い方は・・・
『雅紀、キスしよう。』
・・・ずるいよ、先生。
先生はずるい大人だけど、そんな彼に逆らえないオレは促されるままに口を開く。
『せんせ・・・・・・っは・・・あ・・・』
大きな両手が耳の後ろにするりとまわり、捕らえた獲物を味わうように舌が、どんどんどんどん 深くなった。
『んはっ・・・や、あ・・・』
『・・・舌、もっと出せるだろ?』
頭が固定されてるから顔を背けることもできず、目の前にある先生のシャツをぎゅっと握ってひたすら唇を受けとめる。
『ん、良い子だね・・・雅紀。』
おずおずとさし出していた舌がゆっくり解かれると、ご褒美みたいに名前を呼んで優しく髪を撫でてくれた。
オレがあなたについて知ってることはそう多くなくて、確信のあることも少ないけど。
車に乗る時にメガネをかけることと、出張にはかっちりした革靴に履き替えて行くってこと。
それから・・・
『まだ、口ん中甘いな。クセになりそ・・・』
最近、甘い物が前より苦手じゃなくなってきたということ。
キスの間の呼吸を覚え、オレを味わう彼からコーヒーの香りが消えた頃、
『・・・っ、や・・・なに・・・?』
『大丈夫、痛いことはしないから。』
既に中心の色が変わってしまったボクサーに忍び込んだ手のひらが、確かめるようにそれを包み込み・・・
『・・・まぁ、暴れなかったらだけどな?
ふふっ、つーかこれ、キスだけでこんなんなっちゃったの?』
つづく