二輪咲き、TRUMPシリーズの大ファンを自負する僕としてはSPECTERのパンフレットでタイトルを見た時から楽しみでたまらなかったです
ちなみにそこに書かれていたあらすじは

リコリスという少女を中心に、『LILIUM』に登場したシルベチカ、キャメリア、チェリー、リリー、スノウ、紫蘭、竜胆、ファルスたちの確執を描く。シルベチカが「私を忘れないで」と言い残してクランの塔から投身、死亡する。『LILIUM』の冒頭シーンへと繋がる物語。


とりあえず記事執筆時点で2度見ました
1度目は「チェリー可愛いわー!」とか言いながら軽い気持ちで見ていたのですがそのままおとなしく終わらせてくれるような末満さんではないですよね
最後のキャメリアのセリフに思いっきり衝撃を受けまして・・・
頭がぐっちゃぐちゃでしたが、当時のはるなんブログでリコリスの正体を知り、ようやく納得しました
それを知ったうえで2度目を見ると1度目は気づかなかったことにいろいろと気づきました


・リコリス=シルベチカの別人格という表現

まず気づいたのは冒頭のリリー・チェリー・シルベチカ・リコリスが会話をする場面
リコリスが何度か発言しているのですが、リリーもチェリーもそれに全く反応しないんですね
それどころか、リコリスを見ることすら1度もありませんでした
これはリコリスの発言が(おそらく)シルベチカの心内で発せられたものだということでしょう
観客からは見えているリコリスという少女が、劇中では存在していないということを強烈に印象付けています

チェリーとシルベチカが2人でキャメリアについて話す場面
ここでシルベチカはリコリスに「調べ物を手伝ってくれ」と言われ去るのですが、それを見送るチェリーは怪訝な顔で「どうなってんのよ・・・」とつぶやきます
我々から見れば「シルベチカがリコリスに呼ばれて去っていった」という当たり前の現象ですが、チェリーから見ると「話の途中に唐突にシルベチカが去っていった」という奇妙な現象に見えるわけですね

終盤のリコリスとシルベチカが2人で話す場面
「あなたが忘れてしまっても私が覚えてる。私たちは2人で1人なんだから」というリコリスのセリフがあります
最初聞いたときはよっぽど仲がいいんだなぁとのんきに考えていましたが、これはシルベチカの多重人格を劇中で最も露骨に表現している場面だったのですね
初見では違和感を覚えることはあれど、そこまでたどり着ける人などいないと思いますが・・・

そしてラスト
リコリスのセリフがあります
「でもねキャメリア、もし2人が一緒にいられないようなことがあっても、1つだけ、約束してほしいことがあるの」
僕を含め多くの人が「あぁ、『私を忘れないで』だな。でも、シルベチカじゃないのか」ぐらいな気分で聞いたと思います
それに対するキャメリアの答えが「なんだい?・・・シルベチカ」
僕はここで軽く発狂しました
2度目に見た際はそこだけ巻き戻して何度か見ましたが、タネがわかっていても衝撃は小さくならないですね


・シルベチカとリコリスの入れ替わり

劇中、シルベチカが「眠くなった」と発言する場面があります
1度目がチェリーたちと話す場面、2度目は前述したリコリスと話す場面です
いずれもその直後にシルベチカは退場しているので、これは「シルベチカ」という人格が眠りにつき、「リコリス」という人格が現れることを示唆していると考えられます
「リコリス」には攻撃的な面がありますが、基本は「シルベチカ」と同じく友好的な口調であったため、入れ替わっていても周囲は(おそらく自分も)気づかなかったのではないでしょうか


・飛び降りたのはどちらか

シルベチカはLILIUMの劇中、永遠を生きることを拒んで塔から身投げしたことが語られます
これは「シルベチカ」だったのか、「リコリス」だったのか
僕はこれは「リコリス」だったのではないかと思います
・「シルベチカ」にはファルスの記憶改ざんが有効であるのに対し、「リコリス」には効いていないようであること
・「シルベチカ」はキャメリアのことを何とも思っていないと明言(チェリーを気遣ったウソの可能性アリ)しているのに対し、「リコリス」は強い愛情を持っていること
この2つが根拠です
LILIUM内ではシルベチカが薬(「ウル」)の正体を知っており、キャメリアと恋仲にあったことが判明していますので


・ファルスの発言

ピーアニーを殺す場面
彼女にファルスがTRUMPなのかと聞かれ逆上して発したのが「TRUMP?僕が?」「クラウス!僕から死を奪った!」
未だにクラウスへの恨みがあることがよくわかります
そして「僕はTRUEなんかじゃない!FALSEだ!」


・「ファルス」の名に込められた意味

英単語falseには「偽りの、模造の」といった意味があります
クラウスによって作り出された、TRUMPの模造品としての自分
そして自らが作り出そうとしている、偽りの永遠・不死の模倣
それらへの自虐的な意味を込めて、ソフィは自らにこの名をつけたのではないかと思います


・殺さずに不死を確かめる方法

LILIUMではファルスによって語られるのみであった少女を殺して不死を確かめる場面が、今回は実際に行われました
末満さんが当時「少女を殺さないで不死を確かめる方法がある。でもファルスはそれに気づくことができない」と話していました
いろいろと考えたのですが、僕にも思いつくことができないです
何かいい案がありましたら教えてください


・スノウの態度の謎

序盤でスノウが少しだけ出てきますが、LILIUM劇中と同じく他人を避けている様子が描かれます
しかし後半、ファルスがピーアニーを殺した現場を見た際には、ファルスの正体を知らず記憶改ざんも(破りつつあるものの)有効であることが示されます
では何故スノウは他人を避けるのか?
スノウ自ら「どうせ忘れられてしまうなら、いっそ関わらないほうがいい」と説明してくれています
ではスノウ自身も記憶を失っている今作で彼女が他人を避ける理由がないですよね・・・

と、書いている最中にひとつ説を思いつきました
実はスノウはすでに記憶改ざんが全く効かなくなっており、かつ、ファルスらにそれを隠しているというものです
ファルスのイニシアチブに従ったのも、見たものを忘れたような発言をしたのも、全部演技だったということです
しかし思わず「TRUMP・・・」と口走ってしまい、それを聞きとがめたファルスによってLILIUMの時代までにバレてしまったのでは
年表を確認したところ、この話はシルベチカが飛び降りた年、つまりLILIUMの10年前でした
それならばすでにスノウがイニシアチブを破れるようになっていたとしてもおかしくないですね
たしかLILIUMの終盤、ファルスがネタばらしをするところでスノウがイニシアチブを破った時期を話していたと思うので、後で確認して追記します

追記
LILIUMで確認してきました
ファルスのセリフをそのまま書き起こしてみます
「その兆候が最初に現れたのは、スノウだった。今から50年ほど前だ。彼女は僕のイニシアチブの影響を受けることなく、失われるはずの記憶を保ち続けた」

50年前・・・?
スノウは40年もの間ファルスから記憶が残っていることを隠し通したのでしょうか
ないとは言い切れませんが、それまで他の少女たちと同じように楽しく過ごしていた(であろう)スノウが突然他人との関わりを極端に嫌うようになったら何か変だと気づきますよね?
そしてファルスが「50年前」と明言してるにもかかわらず10年前には気づいていなかったということは、バレた後にファルスの正体を聞く代わりに自分のことをすべて話したということですかね?
いまいちわからないです・・・


・紫蘭と竜胆

中盤で気弱になったファルスを紫蘭と竜胆が慰める場面があります
自ら起こした行動のように見えました(ファルスにあの場面でイニシアチブを使えるような余裕があるとは思えない)
2人は自ら協力してるとのことなので自然です
しかし僕がどうしても引っかかるのはLILIUMの終盤、少女たちの記憶を消した時にファルスは彼女たちの記憶も一緒に奪っているんですよね
紫蘭と竜胆は本当に自分の意志で動いているのか、そう思い込んでいるだけで実はファルスによって操られているのではないか


・キャメリア×チェリー

チェリーというキャラクターはLILIUMの中で僕が一番好きな人物であり、絡みが多いにもかかわらず特に触れられなかったキャメリアとの関係が気になっていました
今作でチェリーがキャメリアを好きなことがはっきりしましたね
うろたえ、必死で否定するチェリーがとても可愛かったです
LILIUMのころにはあきらめてしまったのか、あるいはファルスに感情をコントロールされたのか・・・


・シルベチカ×チェリー
この2人は親友であったことが判明していました
今回リリーを含めた3人が仲良くしているのを見れてとてもうれしかったです


・チェリー=ダンピール

チェリーもまたダンピールであることが公式に語られてきましたが、劇中で(間接的とはいえ)表現されたのは初めてですね
確か少し遠い関係の人が人間だったと思うので、チェリー自身それを知らないのかな?と考えていましたが、そんなことはなかったんですね
マリーゴールドをいじめていたのも自分がダンピールであるのを隠すためと聞き、チェリーがかわいそうだと感じました
しかし、ウルといいマリーゴールドといい、ダンピールは(短命の宿命もあり)影を持つタイプが多い気がしますが、チェリーの明るさはどこから来るのでしょうか
ソフィのように死を受け入れているのか、はたまたダンピールであることを隠すための必死の演技なのか・・・
後者だとすれば本当にいたたまれないですね・・・




新発見あり、新たな謎ありの二輪咲き
とても面白かったです
やはりTRUMPシリーズに外れなしですね

毎度毎度こちらの予想を裏切り衝撃のラストを突き付けてくる末満さんには、尊敬と感謝でいっぱいですね
シリーズ新作を首を長くして待っています
そしてLILIUMのキャラクターとの再会を願って・・・!
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