宮脇健太郎氏へのメールでの質問 | あんくら島田のブログ

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『安心して暮らせる島田を作る市民の会』
私たちは静岡県島田市での「震災がれき広域処理」への疑問から活動を始めた年齢や立場・市内か市外かなどの「枠」にこだわらない個人有志の集まりです。


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3/25日に行われた島田市主催の「放射性物質と災害廃棄物に係る講演会」 ではお二人の講演者による講演がありました。

市のHPにも講演会の動画はアップされていますが、質疑の部分は外されています。

こちらからは質疑の様子も観ることができますので、ぜひご覧ください。

http://ameblo.jp/ankurashimada/entry-11203561816.html


 「災害廃棄物の処理処分について」という演題でご講演下さった宮脇健太郎氏は、メールでの質問を受け付けて下さるということでしたので、質問メールを送らせて頂きました。
メールの公開は宮脇先生にご了解いただきましたので、こちらに載せさせていただきます。



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明星大学教授 宮脇様


丁寧で解りやすい回答ありがとうございました。即座に返信頂けたことに驚くと同時に大変感激致しました。
お礼の返事が遅くなりましたことを御詫び申し上げます。


お忙しい中申し訳ありませんが、もう少し私の疑問にお答え頂きたく最初のメールに→→をつけ再質問させて頂きました。回答をお願い致します。


下記質問メールとは別件で、お聞きしたいことがあります。広域処理に関する先生の個人的見解です。〔広域処理と広い意味で捉えると語弊があるかもしれませんが〕
私は、自分のエゴも勿論あり、広域処理に反対しているのですが、低濃度汚染で影響は少ないのかも知れませんが、確定的に安全であるとは言えないことから被災地の思いと日本の将来を天秤にかけたとき、私は反対すべきと結論づけました。先生はどのようにお考えでしょうか。お答えできることだけでよいので返信頂けたらと思います。

日々学問に打ち込まれお忙しい中申し訳ありません。また、今回も夜分にメールしてしまい申し訳ありません。



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YK様

ご連絡ありがとうございました。本来は,もう少し質問時間を取っていただければ多
少良かったかとは思っています。なお,今回いただいた様に細かな話であれば,メー
ルの方が細かくご説明できるとも考えております。

以下,質問の後に→をつけてコメントいたします。
ご質問を伺い,説明が不十分または不足していた点もわかりました。今後の参考にな
りました。良い質問をありがとうございます。明確でない表現も含まれているかもし
れません。
また,不明な点があれば,再度ご連絡ください。
よろしくお願いいたします。


明星大学理工学部総合理工学科  Meisei Univ.

環境・生態学系 Program in Environment and Ecology
宮脇健太郎



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明星大学教授 宮脇様


先日の講演会を拝聴致しました。貴重なお話しを聞くことができ、大変有意義な時間
でした。ありがとうございました。
質問者が多く、質問できなかった為メールで質問させて頂きます。
お忙しい中申し訳ありませんが回答よろしくお願い致します。


質問は下記項目です。


1.震災前の埋め立て基準はあったのでしょうか。また、現行の8000Bq/kg以下の廃棄物は他の先進国ではどのように扱われているのでしょうか。平常時の扱いが安全面を考慮していると考えていますので、平常時の基準を教えていただきたいです。


→ 通常の廃棄物は廃棄物処理法で扱われており,この中では放射性物質を除くと明記されております。国内では,この濃度域であれば原子炉等規制法で低レベルの放射性廃棄物としてトレンチ処分されていたものです。核種によりますが,セシウム137であれば,100Bq/kgをクリアランスレベルと呼び,これ以下を通常の廃棄物と見なすようになっています。低レベル放射性廃棄物のトレンチ処分とは,シートも無く,トレンチ(穴)を掘って埋めるだけに近いものです。透水性の低い土壌を表面に敷設することで雨水の浸透を抑制しているだけです。平常時が安全かという点ですが,通常の廃棄物を処分する管理型最終処分場では,シートがあり水は集水し水処理施設を通ることになります。想定される廃棄物自体が異なることから,今回の濃度のものを放射能濃度で規定し低レベル廃棄物のトレンチ処分を行うよりは,管理型の処分を行う方がかなり安全だと考えています。


→→処理方法が適切であれば、管理型の処理を行うほうが安全ということ〔でしょうか。〕が理解出来ました。回答ありがとうございました。追加質問なのですが、アメリカなどでは100以上8000以下レベルのものは厳重に管理すると聞いたことがあります。正しいかわかりませんが、何らかの容器に入れ、地中深くに埋めるようにイメージしているので、今の日本のやり方は安易ではないのかと感じてしまうのですが、先生のご意見を伺いたいです。

→→→
日本の原子炉等規制法でも,きちんと管理することになっています。ちなみに私が訪問したニューメキシコ州の施設では,もっと放射線量の高いものを低レベルとして地下700mに埋めておりました。濃度(ベクレル)ではなく,表面線量で管理されておりましたが,容器の表面線量で2mSv/時(かなり高いと思います)以下のものを入れるとのことでした。もちろん最大値なので通常はもっと低いかもしれません。
 明確な回答でなくすいません。




2.廃棄物の放射能濃度を問題にしていますが、総量も同様に問題なのではないでしょうか。何故総量については問題にしないのでしょうか。
私は「クリアランスレベル100Bq/kg以下」というような基準は、現在起こっているような事故の想定をして定められた規準ではないと考えています。よって、極めて微量であり、総量を定める必要性が低いと考えられて定められた(と私は考える)基準では不十分で、総量についても基準を設ける必要があると考えますが、先生はどのようにお考えでしょうか。


→ 総量はまったく問題ないという意見には私も違和感を持っています。ただし,濃度の低い場合は,影響がきわめて小さいと考えることができます。もともと原子炉等規制法でのクリアランスレベルの設定ですが,例えば道路等に廃炉した発電所のコンクリートを使うなどが想定されています。鉄であれば,フライパン,冷蔵庫などに利用することを想定しています。使用する量,施工方法などから線量を算出しているものです。運搬時にはトラックに積みますので,運搬時の被曝は,濃度で規定すれば問題ないという考え方です。またリサイクル利用も同様で表面にどれだけコンクリートから作った砕石があるかという判断ですので,これも濃度でよいことになります。何でもかんでもクリアランスレベルならいいという訳ではなく,様々な利用方法に合わせて考えるべきです。これまでの数値は一番影響のでる(10μSv/年に達する)作業から数値が出されています。今回の試算では,処分場に埋める場合,200m×200m×5mといった処分場で作業される方の被曝が多くなるので,このケースで濃度設定8000Bq/kgが行われています。
 個人的ですが,低濃度では,濃度での規制で十分と考えています。


→→回答ありがとうございました。



3.中間処理施設で発生する排ガス中の放射能濃度についてですが、島田市の測定方法は妥当なのでしょうか。(測定時間は4時間と聞いております)


→ 国が定めている方法で,昨年福島等でだいぶ試験をして決められています。測定手順等は,排ガス中の有害物質を計測するスタンダードなものと考えています。4時間以上となると,吸収液の蒸発等も影響が大きくなるため,分析精度が落ちるのでは無いかと考えています。現状では妥当と考えています。

→→理解出来ました。回答ありがとうございました。




4.中間処理施設で発生する排ガス中の放射能濃度について、例え現行の測定方法では不検出であっても、本当はもっと多量な放射性物質が放出されている可能性があるかもしれないし、検出限界以下だとしても100%大気中に放出されないわけではないと考えています。よって排ガス中の濃度が重要なのではなくて、排気量が重要だと考えますが、先生はどのようにお考えでしょうか。


→ ご指摘の点は,ごもっともです。一般に1トンのごみを焼却すると5000m3程度の排ガスが発生します。焼却・溶融では,総排出量も気にするところです。ただし,検出下限以下となってしまうため,濃度も総量も分析的には把握できない状況です。ただし,排ガス中のばいじん濃度はかなり低い値まで測れますが,実測では0.005g/m3以下となっています。例えば,あり得ませんが非常に多めに考え0.005g/m3の煤じんが煙突から放出されたとして,溶融飛灰が96Bq/kgなら → 排ガスは0.00048Bq/m3となり,70トン処理すると35万m3排ガスが出るとすると,掛け合わせて168Bq/日とな
ります。静岡地域での昨年の沈着に比べると,影響ないといえます(いろいろな試算がありますが,100万Bq/km2程度というものもあります)。なお,数値はあくまで仮で大過剰な推計です。


→→ワーストケースで考えると多量に放出されるが、先生の見解では理論上あり得ないので昨年と比較すればさほど影響はないということ〔でしょうか。〕が理解出来ました。回答ありがとうございました。

→→→
ありえませんが,バグフィルターが全損し,排ガスがそのまま流出する場合は,1時間程度炉が止まるまでにかかるとすると,集塵機前の濃度に15000m3/時をかけた値が放出量となります。0.7Bq/m3程度として総量で10000Bqぐらい放出されると考えることができます。単純比較はできませんが,既に土壌表面に沈着したものに比べ少ないため,これも周辺地区で測定しても増加は検出できない程度と思われます。




5.最終処分場近辺の水のモニタリングについてですが、放射能汚染リスクから考えると高頻度で行う必要があると考えます。先生が考える妥当なモニタリング頻度はどの程度でしょうか。


→ 急激に濃度上昇するようなことは無いはずです。季節変動もあるので1ヶ月に1回は行いたいと考えています。ただし,埋立管理が悪いと問題がおきないとも言えないため,市と市民で協働して,監視をすると良いと思います。


→→理解出来ました。回答ありがとうございました。ただ、やはり検査費用の問題もありますので市が責任をもって実施する必要があると考えます。今回の問題で改めて「島田市の責任」を市長が口にしている以上至極当然であると考えます。



6.最終処分場の外から300Bq/kgの汚染が確認されたと聞きました。「雨水により、表面が削られ外に漏れるだけでは、飛灰が外に漏れ出すことはない」との旨を25日講演会の際におっしゃったと考えております。だとすれば、地下にあるシートが破れているかもしくは何らかの理由で漏れ出すはずのないものが漏れ出していると考えればよいのでしょうか。先生の見解を伺いたいです。


→ 昨日の話は,ピット内の底泥(たまった泥)と言われていた事だと思います。昨日の解答は,処分場内の事としてお答えしております。もちろん,昨年から周辺地域も全域沈着しているので当然検出されるはずです。これからの問題は,既に全域で汚染されており,どこでも丁寧にはかれば検出される可能性があるということです。処分場からもれたかどうかを調べる術がありません。なおシート下も土壌がありますので,万が一もれたとしても,すぐに検出される可能性は非常に低いと考えています。
 なお,表面が削られるというのは,今回の問題以前の問題ですので,市としても丁寧に説明し,改善案を出されるように期待しております。講演後に,市の担当職員の方にもお願いをしております。


→→理解出来ました。回答ありがとうございました。市への働きがけ、ありがとうございました。




7.最終処分場の外が汚染されていることについて、主に最終処分場の影響であるとすることが妥当であると考えています。(汚染が当該処分場の出口であること、付近の同様な環境化では汚染がないことを考慮して判断した)よって、安全性の問題ですから早急に原因究明および是正処置を行う必要があると考えており、また、環境モニタリングも毎日の頻度で長期に渡り十分な確認をする必要があると考えています。先生はどのようにお考えになりますか。


→ すいません。昨日はピットと伺ったので,調整池の底泥と考えておりましたが,違ったのでしょうか。これについては,採取地点を確認しないと返答ができません。


→→処理施設から排出される放流水がプールされる箇所の土壌から採取したようです。施設外であり、誰でもその気になれば簡単にアクセスできる場所だと思います。〔施錠管理等してないはず〕


→→→ 表面で採取できる地点ならば,地下水汚染由来ではないのでこの点はご安心いただければと思います。また,各地の処分場で,同様の調整池などでセシウムが検出されていますが,これは,昨年3,4月に沈着したものも多いと言われています。同じとは断言できませんが,その可能性もご考慮ください。処分場に近接しない周辺地区の側溝,水路などの濃度と比較されることが良いと思われます。




8.島田市が受入れを実施しようとしている高濃度に汚染された可能性のある廃棄物は岩手県のものであり、先生が講演会の資料で用いた石巻の仮置き場の様子がわかる資料は「島田市民に対する講演会に用いる資料」としては適当でないと考えています。

(被災地によって問題点が違うし、ひとまとめに考えると混乱してしまう。)
何故、島田市民に対する講演会であるのにもかかわらず、石巻の写真を資料に盛り込んだのでしょうか。意図があるのであれば教えて下さい。


→ 岩手県の廃棄物は宮城県石巻市と放射能濃度は同様で,低濃度です。被災地によって問題点が違うといわれますが,「処理が間に合わない」「現地で火災が発生するため困っている」という共通点をお示ししただけです。特段の意図はありません。


→→理解出来ました。回答ありがとうございました。火災は怖い事象です。想像出来ないほどのことが発生する可能性があることが理解出来たと思います。そう考えると何故国は火災の発生を想定して継続的対策を計画、実施しなかったのか、早急に地元処理分を処理しないのか理解に苦しみます。


→→→ 同感です。しかし,環境省は人手不足のようです。またお金が県,市町村にも早く渡らないなど問題は多いと考えます。環境省には頑張って欲しいと願っています。技術的な側面から,5m以上堆積すると火災の危険性が生じることがわかっており,仮置き場設置当初から,国,県による指導は行われていました。しかし発生量が多く,仮置きできる面積が少ないため,どうしても積み上げ火災になったと聞いています。




9.きれいに片付けられているがれきが何故復興のさまたげになるのか知っていたら教えて下さい。


→ 仮置き場の状況を写真でお示ししましたが,ほとんどの状況は地域により差は無い状況です。ちなみに人里離れたところに置いているわけではありません。町中です。管理された処分場でも反対が起きるのが通常です。悪臭,飛散,火災等,想像を絶する事が起きています。発展途上国の状況と同一です。生活環境としては日本ではあり得ない状況に置かれております。普通の方は,腐敗性のごみの山の近くに,住めるでしょうか?


→→私はそのようなところに住みたくないと考えます。よって速やかに処理されるべきだと改めて感じました。回答ありがとうございました。
ただ、仮置き場は町にないとの意見や知人の発言を聞いていましたのでこのような質問をさせて頂いた次第です。地区によって事情が違うのでしょうか。

→→→ 地域により仮置き場の設置が異なるようです。地区的に余裕のあるところ,被害の小さいところは,やや条件は良いようです。仙台市などは,被災面積も市全域からみると割合は少なく,復興がかなり進んでいるようです。

 



10.仮置き場の火事が問題視されていましたが、先生の資料や説明ではあたかも広域処理が進まないせいで引き起こされてしまっているように感じました。我々が関係する岩手県が広域処理を行いたいとする量は、先生の資料から全体の1割程度であると認識しましたが正しいでしょうか。正しいのであれば、広域処理が問題ではなくて、地元処理すべきがれきが国の責任において処理されていないことが問題のように感じます。あえて講演会で説明しない意図はあるのでしょうか。あるのであれば教えて下さい。


→ 広域処理が進まないためとは考えておりません。現実に問題となっていることを客観的に示しています。講演の見出しも「災害廃棄物処理の現状」としておりました。岩手,宮城での共通点についてお伝えしたのみです。 お答えですが,廃棄物の種類により密度が違います。現地では,嵩張るし火災も発生し処理に時間のかかる木材等が問題になっています。木造家屋の多い日本では仕方のないことです。重さでいえば1割ですが,嵩は膨大なものになります。広域処理が必要との理由は,処分が現地で間に合わないためです。ひとくくりにして1割ならたいしたことがないという意見を,あちこちで伺いますが,仮設焼却炉を含め現地の焼却では間に合わない状況です。コンクリートであれば,重さはありますが,嵩は小さく,処理もリサイクルもし易いといえます。
 広域処理対象量が少ないが,木質系の問題が大きいことを示す必要性を理解いたしました。十分な説明が不足しておりました。ご指摘ありがとうございます。今後,同様の機会があれば,丁寧に解説・強調させていただきます。


→→重さだけではなく、木材系特有の嵩の問題もあるのですね。たしかに嵩が大きなものを優先的に処理することが必要だと思います。よく理解出来ました。ありがとうございました。




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YK様


こちらこそ,回答に対して,きちんと検討していただきありがとうございます。授業が来週からですので,少々早めに回答できました。来週になると時間がかかるはずです。

また,→に追加してお送りします。


個人的見解について簡単に述べます。広域処理をすべて賛成しているわけではありません。日本全体での問題をなるべく小さくしたいという考えを持っています。YK様の反対はエゴではないと思います。安全かもしれませんが安心を得られる絶対的な科学的データは存在しません。分からない状況の中,子供のこと,社会全体のことを判断材料とするしかないと思われます。前メールの繰り返しになるかとは思いますが,技術者として現在理論的に正しいと考えられる情報を客観的に提供するのが私の使命と考えています。広域処理は現在の知見では安全性に問題ない部分が多いと考え,その部分については評価しています。現時点で検討されている秋田,埼玉,神奈川,静岡での状況については,技術的問題はなく安全と考えています。なお,受け入れについては,その地域の方々が情報を共有し,理解し,可否を決めるしかないと考えます。ちなみに,私自身,東京都民としては,東京都が女川の木質系廃棄物を受け入れることに積極的に賛成しています。現在,都内地区回り持ちで焼却を継続しています。

災害廃棄物の広域処理という点で,既に民間ベースではたぶん県域を越えてリサイクルという名目で全国に流通してしまっているはずです。がれきではありませんが,中古自動車では問題が取り上げられています。自治体レベルの広域処理であれば,厳重な管理の下,安全性を確認しながら進めるため,流通経路,管理,最終処分後の長期管理までしっかりできるという点が,良い点だと考えています。きちんとした,管理ができない場合に問題が生じるので,市の担当者が十分に勉強し,情報公開を継続することが重要だと考えています。

市と市民が協力して問題解決に当たっていただければ幸いです。
また,今後,疑問点等がございましたら,遠慮無くお知らせください。

明星大学 宮脇


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posted by YK





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