住民監査請求書 (岩手県職員措置請求) | あんくら島田のブログ

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岩手県で行われた住民監査請求の書類を入手しましたので、ご紹介します。

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住民監査請求書
(岩手県職員措置請求)
岩手県監査委員殿

1.請求の趣旨
岩手県知事に対して、がれき広域処理に関して O 企業(=「応用地質(株)」甲1)に委託した災害がれきの推計量の計測に疑義があり、違法もしくは不当な公金の支出に対し、地方自治法第 242 条の第 1 項に基づき住民監査を行い、当該支出行為を差し止め、もしくは当該契約金の返還を求めることと、実態の基づく推計量に基づき、がれき広域化量を算定することを求める。

2.請求の理由
(1)事実経過
1)岩手県は、県内被災市町村から事務委託を受けた災害廃棄物を、県内及び広域処理するに当たり、「応用地質(株)」(甲1)と「岩手県災害等廃棄物処理事業に係わる施行監理業務」委託契約(甲2)を結び、災害がれき推計量の計測を業務委託してきた。「応用地質(株)」は、この契約に基づき、岩手県の 2012 年度(平成 24 年度)の災害がれきの推計量の測定を行っている。(ただし岩手県が県内市町村から委託を受け、広域処理を検討した市町村分)

2)一方岩手県は、「応用地質(株)」(甲1)による測量データに基づきがれきの広域化必要
量を環境省に報告し、環境省はそれを発表してきたが、その発表データは、発表のたびに削減・下方修正されるという経過があった。環境省の発表は、3 度に及ぶ。
① リサイクル対策部が「災害廃棄物推進量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」(2012 年年 5 月 21 日)(甲3)で発表した広域化必要量(ないし予定量)
② 環境省発表の「工程表」(2012 年 8 月 7 日)(甲4)
③ 環境省発表の「工程表」(2013 年1月25日)改訂版(甲5)また③度目の前に岩手県は、埼玉県については、独自に発表している。
  これらはすべて「応用地質(株)」(「甲1)が、測定したものであり、「応用地質(株)」は、自らが測定したデータを、次の発表の時には書き換えるということを繰り返している。

3)再三にわたって削減された岩手県の広域化必要量
① 最初の下方修正
  環境省のがれきの見直し(2012 年 5 月 21 日)以降も、岩手県の広域化必要量は、再三にわたって下方修正されて来た。
  環境省の担当部署であるリサイクル対策部が「災害廃棄物推進量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」(H24 年 5 月 21 日)(甲3)で発表した広域化必要量(ないし予定量)は、約 2 か月後に発表された「工程表」(2012 年 8 月 7 日)(甲第4)では、大きく下方修正された。
  特徴的には次のとおりである。

富山県←山田町:5 万トンから 1 万800トンに。
大阪市←宮古地区:18 万トンから 3.6 万トンに。
静岡県←山田町&大槌町:7,7万トンから2,35万トン
埼玉県←野田村:5 万トンから 1 万トン
秋田県←野田村:5万トンから1万トン
  各自治体とも 2 か月で 2 割から 3 割に、つまり1/3から1/5に減っている。減ったのが 2~3 割でも問題になるのが、減ったのが7~8割である。計画そのものの見直しに入らなければならない減り方である。

② 埼玉県への岩手県野田村からの広域がれき量は1/10に減って終息した。
  埼玉県 HP(甲6)によると野田村からのがれきは、昨年 9 月 6 日から持ち込まれ、上述したように約 1 万トンを処理する予定が、次のように発表されている。
「平成 24 年 9 月 6 日から平成 25 年度までの 2 年を予定していましたが、岩手県野田村周辺の木くず量が当初見込みよりも大幅に減ったため、上記期間(平成 24 年 9 月 6 日から平成 24 年 12 月 25 日)で受け入れを終了しました。」
  そしてこの間の受け入れ量は、試験焼却分を除き、1065 トンと言う発表であった。つまり契約開始時予定していた量の10分の1になったというのである。
  環境省が、昨年 5 月に発表した 5 万トンから言うと約 50 分の 1 に減ったということである。

③ 岩手県(山田町・館山町)から静岡県への広域化も終息することが発表された。
  今年1月22日、静岡新聞が岩手県から静岡県に持ち込まれる予定のがれきも予定の木屑が減り、今年度で終息することを報道した。この点を1月24日岩手県に確かめると事実として認めた。岩手県の発表でも、23,500 トンから 3,500 トンと広域化必要量が1/7に減っている。当初の 77,000 トンから言うと 1/20 に減っている。

4)測定データの誤りは、誤差の範囲を超えている。
  岩手県のがれきの広域化に関連する市町村のがれき量は、①~③で見たように測定のたびに軒並み大幅に削減・下方修正されている。
  ここで発表されている「広域化必要量」は、「がれき量」と「県内で処理可能ながれき量」との以下の引き算で求められる。
  「広域化必要量」=「がれき量」―「県内で処理可能ながれき量」「県内で処理可能ながれき量」は、岩手県の「災害廃棄物処理詳細計画」(改訂版・2012年 5 月)によれば、1 日 1,190 トンであり、年間処理量は、330 日をかけて約 40 万トンになる。この値は一定値であるため、広域化量は、結局「がれき量」によって決まる値となる。
  「広域化必要量」が、測定のたびに大きく下方修正されるのは、測定した「がれき量」が、大きく削減されているからである。
  そしてこの「がれき量」を測定しているのは、「応用地質(株)」である。「応用地質(株)」は、各市町村から運び込まれて積み上げられた「仮置き場」の量を測定して、全体量を推計して出している。
  従って、がれきの広域化必要量が、①~③で見たように大きく変動するのは、「応用地質(株)」の測定が、正確でなかったからである。
  どのような測定でも、測定値の誤差は在り、許される測定誤差はあるが、せいぜい 1~2割が限度であり、今回の場合、前回測定値の 1/10 や 1/7 と言う酷さであり、これを測定誤差と片づけることはできない。間違った報告データと言うことができる。

5)測定を間違った理由のおかしさ
  今回のがれきの測定値で、特徴的な変化を示した埼玉県の場合、埼玉県のホームページ(甲5)では、 測定値が 10 分の 1 になった岩手県から聞いた理由として次のように発表されている。

ⅰ)調査では実測した体積に比重を乗じて重量を算定するが、柱材・角材100%として
集められたがれきの山が実態と乖離していた。
(推計0.55トン/m3 が実態は0.25~0.30トン/m3)

ⅱ)柱材・角材100%として集められたがれきの山には、
「木くずの砕片が多い状態」あるいは「土砂分が多く混合した状態」のものがあり、組成100%の柱材・角材になっておらず実態と乖離していた。

ⅲ)混合廃棄物中の柱材・角材混入率の推計値が実態と乖離していた
(推計10% → 実態2.5%)

  これらの理由は、測定の専門事業者が、語った理由としては、初歩的な有り得ない理
由が述べられている。
  要するに仮置き場に堆積されているがれきは、容積で測定し、比重をかけて重量の計算をするが、ⅰ)では、比重の計算値が間違っていたというのである。ⅱ)では、土砂が多く付いていて推計値を間違った ⅲ)では、混合廃棄物の中の柱材や角材の混入割合を 10%と読んでいたが、事態は 2,5%しかなかったと言っている。
  「応用地質(株)」は、会社の事業案内(甲1)でみても、事業登録の項に計量や測量の事業登録をしている会社である。専門の事業者がこのような間違いをしたというのは、数学の教師に、たし算や引き算の計算方法を聞いて分かりませんと答えるぐらいに酷い答えである。
  自分たちが前回測定した測定データが、もう一度図ると 10 分の 1 しかなかったと言ったことは、本来ならあり得ない。どのような理由で、10 分の 1 になったことを釈明したとしても、理屈の通った説明は、不可能と言える。
  この時点で、県は本来ならこのような誤りが発生した根本的な理由を調べ、その再発防止と、データの見直し、再調査を行うべきであった。
  いずれにせよ「応用地質(株)」が測量を大きく誤ったことは事実であり、実態と大きくかい離した測量データを発表したことは、隠せない。このような測定データの提供者に契約通りの契約金を支払う道理はない。

(2)請求の理由
  岩手県は測定の専門メーカである「応用地質(株)」(甲1)に、がれきの推定量の測定を依頼しているが、その発表された測定値は、わずか半年の間に 20 分の 1 から50分の 1 に減り、2か月半の間に 7 分の 1 から10分の 1 に減っている。
  当初から正確な測定がおこなわれていたならば、埼玉県、静岡県へのがれきの広域化は必要ないと判断されたはずである。また受け入れ自治体での無駄な受け入れ計画も必要なかった。
  いずれにせよ、がれきの測定数値をこのように大幅に間違ったが故の税金の無駄遣いは見過ごすことができない。この原因を作ったのが「応用地質(株)」(甲1)による測定データだとすれば、「応用地質(株)」(甲1)との契約の成果物である「測定データ」は、契約金を支払うに値する「成果物」とはいえない。岩手県は「応用地質(株)」(甲1)への契約金の支払いを止めるか、すでに支払いを行っていた時には、支払いの返還を求めるべきである。また岩手県は、この「応用地質(株)」(甲1)から発表された「がれきの処理量」(=処理しなければならないがれき量)のデータを下に、「県内で処理できるがれき量」を考え、大阪府、富山県、秋田県などに広域化処理する「広域化必要量」を計算して政策遂行している。
  この「広域化必要量」の見直しを行うことを求める。
  以上、岩手県がこのまま「応用地質(株)」に契約に基づき支払いを行うことは、地方自治体が、遵守しなければならない地方自治法に背く事になる。すなわち地方自治法第2 条第 13 項に基づき、最小の経費で最大の効率を得なければならない、同条第 15項、法令に違反して事務を行ってはならないに違反する恐れがある。そこで地方自治法 242条に基づき、住民監査請求を行い、書証を添え、上述した請求を行うものである。

書証一欄
甲1:「応用地質(株)」の会社概要(同社 HP より)
甲2:「岩手県災害等廃棄物処理事業に係わる施行監理業務」委託契約
甲3:「災害廃棄物推進量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」環境省リサイクル対策部(H24 年 5 月 21 日)
甲4:災害廃棄物処理「工程表」環境省(2012年8月7日)
甲5:災害廃棄物処理「工程表」環境省(2012年8月7日) 改訂 (2013 年 1 月 25 日)
甲6:埼玉県 HP「岩手県野田村からのがれき終了」(12年25日)(2012年12月26日)
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