安倍晋三総理大臣: 被災地を囲む総長370kmものコンクリート巨大防潮堤建設の再検証を要望します | あんくら島田のブログ

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安倍晋三総理大臣: 被災地を囲む総長370kmものコンクリート巨大防潮堤建設の再検証を要望します。


以下転載******************************


  東日本大震災は多くの尊い命を奪い、先祖代々受けつがれた美しい自然と豊かな海の幸に恵まれた被災地の人々の生活を根こそぎ破壊しました。その被災地を高さ10m前後、高い所では14m以上(五階建てのビルと同程度)のコンクリートの巨大防潮堤で覆い尽くす計画が進んでいます。  

宮城県気仙沼市の小泉地区には県で最も高い14.7m幅80mのコンクリート防潮堤が建設されます。この防潮堤の建設にかかる費用だけで200億円。政府は総額8200億円もの巨費を投じ総延長370kmに渡るコンクリートの巨大防潮堤の建設を東北の太平洋岸全体ですすめているのです。  

被災地の住民を津波から守るための防災システムを作る事は、火急の問題です。地区によっては高さのある防潮堤によってしか地域住民の命を守る方法はないかもしれません。商業施設の建ち並ぶ大型港湾地区には大型貨物の運搬作業などにも対応できるコンクリート性の防潮施設等が不可欠である場合も考えられます。
しかし、地勢も土地利用も自然環境も異なる広範囲に渡る被災地の防災対策が、なぜ全てコンクリートの巨大防潮堤でなくてはいけないのでしょうか。政府自らが設立した東日本大震災復興構想会議をはじめ、地元市町村の復興委員会や専門家グループによって、より安全で耐久性に優れそれぞれの地域毎に一番効果があるとみなされた様々な津波対策案が出されいるのにもかかわらずです。    

地域の復興を推進する目的で気仙沼市が設置した震災復興市民委員会は、環境保全型都市を目指す「海と共に生きる」町づくりの一貫として「防潮堤は可能な限りコンクリートを使わず、自然工法(みどりの防潮堤など)で行う」提案を昨年二月に掲げていました。同委員会は、沿岸部道路の嵩上げや高台移転用の整地に必要となるのり面の工法として「フォレストベンチ」方式を選択、盛り土の上面に植林することで、治水治山による環境保護と柔軟性通水性の良さから生まれる地震や津波の「破壊力をかわす」力に優れた防災対策も提案していたのです。    p

毎日新聞三月十九日の記事(http://mainichi.jp/feature/news/20130319dde012040015000c.html)によると南海トラフ地震による大津波が想定されている静岡県は、国が提示する防潮堤案では15mと予想される大津波から住民を守ることができないうえ、コンクリートの脆さと最低でも五十年に一度は必要となる多額な修復コストを懸念し、政府からの補助金にしばられたコンクリートの防潮堤を建設する代わりに、地元企業の建設補助を受けて既にある保安林を嵩上げして防潮林にする事に決めたそうです。より安全で耐久性に優れ維持費もほとんど要らない自然の防潮林を選ぶ事で、政府が全国一律に推進するコンクリートの防潮堤建設を選んでいれば破壊されるはずだったウミガメの訪れる砂浜も、地域の産業振興の重要な柱である素晴らしい自然も保護する事が可能になったわけです。    

では、被災地の市町村はなぜコンクリートの防潮堤を建設に踏み切ったのでしょうか。宮城県の村井県知事は、防潮堤建設は国の災害復旧事業として2011年七月に既にコンクリートの巨大防潮堤と決まっており、復旧補助金は三年で切れると勧告されている為、早急に建設しなくてはならないと述べます。また、気仙沼市の菅原市長は、市民有志の手で合計十三回に渡って開催された「防潮堤を勉強する会」(http://seawall.info)の答弁で、国の定める基準(コンクリートの巨大防潮堤)に従わず独自の方法を選択する訳にはいかない、基準に従わないのが気仙沼だけでもしまた津波の被害にあえば、気仙沼だけが国から「見捨てられる」(http://seawall.info/pdf/13-121018-giji.pdf) と述べるなど、'国が決めた基準= コンクリートの巨大防潮堤'以外の方法での防災施設を建設できる余地のないことを示唆しています。     

 防潮堤問題の抱えるもう一つのジレンマは、防潮堤の建設が早く始まらないと災害補助住宅の建設や港湾復旧工事が始まらないのではという懸念から、反対意見を口にしない住民が増えているという点です。震災から二年を経ても未だ仮設住宅での仮住まいを強いられる市民の逼迫した状況を考えれば、被災したまま放置されている沿岸部の主要道路の復旧整備や新しく建設されるはずの避難用道路の建設等、日々の暮らしに直接影響を与えている復興事業を重視するのは当然と言え、コンクリートの是非や環境保全型防災対策を語っている場合ではないという、地元住民の抜き差しならない現状があるのです。しかし、そういった厳しい状況であるからこそ、国や県などの行政が、責任をもって地域の未来を考え、その地区毎の状況に最も適した安全な防災対策を施さなくてはいけないはずなのです。      

巨大防潮堤の持つもう一つの難点は、寿命五十年と言われるコンクリートの多額な補修費用です。土地買収や建設予算は災害復旧補助予算として国から出ますが、建設後に永久ににかかる定期点検、補修維持費は含まれていません。総延長370kmにも渡って沿岸部全てに張り巡らされるコンクリートの建設物を、震災後益々過疎化の進む被災地の市町村は一体どうやって維持し続けるのでしょうか。

1993年の津波の大災害でやはり巨大防潮堤が建てられた北海道の奥尻町でも、定期補修にかかる費用は復興予算に含まれておらず、今後永久に必要となる補修工事が定期的に国の手で行われないかぎり、人口3000人でやはり過疎化の進む町にはなす術がないという実例もあります。美しい海で潤っていた奥尻の観光業も震災後の収益は30%ダウン、建設後奥尻を訪れた観光客は、防潮堤を「要塞」のようだと表現し、奥尻で育った若者は、「今しか見てない」災害復興は「間違い」だったとつぶやきます。(http://www.seawall.info/pdf/09-120914-sadaike-1.pdf)     

コンクリートの「要塞」で囲まれてしまう東北の被災地。環境省の計画では、'森里川海が育む自然とともに歩む「グリーン復興」の核として、被災地一帯を三陸復興国立公園に制定するのだそうです。そのビジョンには'地域の暮らしを支える自然環境や森・里・川・海のつながりなどの重要性を多くの人に理解してもらうための取組と、自然環境の再生を通して、森・里・川・海のつながりを再生します。'とあるのです。グリーン復興の中核をなす自然豊かな国立公園にコンクリートの巨大防潮堤を建設してしまっては、一体誰が訪れるというのでしょうか。    

被災地の主要産業は、漁業、水産加工業、林業と観光業です。コンクリートの巨大防潮堤で被災地全体を囲んでしまう事は、震災後せっかく戻ってきた水産資源を破壊し、TPP加入などで競争激化を免れない水産加工業、美しい海がブランドイメージの食品製造販売、更には、世界中の先進国がこぞって投資し始めているエコツーリズム、スポーツツーリズム等の持続可能な地元産業の発展に致命的な打撃を与えることになりかねません。  

総額8200億円もの国民の税金を使って370kmにもわたって建設される巨大防潮堤。震災後津波危険区域に指定されたため住民全員が集団移転に踏み切った地域では、誰も住まなくなった浜辺に建設される所もあります。一箇所の建設費用が何百億円にもなるコンクリートの防潮堤は、一体何を守る為に作られるのでしょうか。無人となってしまった沿岸の低地には干潟が形成され、海と山、森と河川のつながりが新しい水産資源を育み始めているところもあるのです。   私も津波で大切な家族と友達を亡くしました。残された家族と地元の人達の安全を考えるといてもたっていられなくなります。だからこそ、より安全で強靭な防災対策を講じてもらわないと困るのです。その最善の防災対策は必ずしもコンクリートの巨大防潮堤であるとは限りません。コンクリートの「要塞」に囲まれてしまう被災地の家族や子供達はどうやって「海と生きる」生活を営んでいけというのでしょうか。海を失ってしまうことは生業を失うことなのです。生業を失った未来の若者達は被災地に住み続ける事はできなくなります。住む人がいなくなってしまったら何千億もかけて建設された巨大防潮堤は、一体何を守るために建てられるのでしょうか。    

被災地の住民が必要とするのは、地域に合った最も安全で持続可能な防災対策です。被災地が真の意味での復興を果たすには、一律にコンクリートの巨大防潮堤と決めつけるのでなく、それぞれの地域の地勢、土地利用、自然環境を考慮にいれた地元優先の防災対策が必要です。政府が本当に被災地で苦しむ人々の一日も早い復興を望み、子供達が安全で明るい被災地の未来に夢を託せる町づくりを応援するのでありば、被災地全体で一律的に進むコンクリートの巨大防潮堤建設計画の根本的な見直しを図ることをのぞみます。  

全国の皆さん、私の意見に賛成でしたらこの署名運動を出来るだけ多くの人に伝えてください。英語での署名リンクは  世界中の人に発信してください。もし賛成できないのであれば、東北の巨大防潮堤について考え始めてみるだけでもいいです。(http://www.facebook.com/ThinkSeawall)「間違った災害復興」で犠牲になるのは、巨大防潮堤が建ってしまってからでは取り戻す事のできない被災地の若者の未来なのです。    

皆さんの熱いご支援どうぞよろしくお願いします。   大塚博子    

この文面中に使わせていただいた情報は下のホームページで詳しくご覧いただけます。

  http://www.facebook.com/ThinkSeawall    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37321?page=2    http://www.mori-umi.org/base14.html   http://seawall.info/index.html   http://www.city.kesennuma.lg.jp/www/fukko_shimin/index.html   http://www.env.go.jp/jishin/park-sanriku/images/sanriku_fukkou_project_eng.pdf   http://mainichi.jp/feature/news/20130319dde012040015000c.html    http://www.env.go.jp/jishin/park-sanriku/index.html 




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