第1話はこちら↓
「それで、ネズミが探してる男のことだけど」
急にサトシの話題になって、思わず座り直してしまう。
「うん、それで」
私が前のめりでたずねると、2人は顔を見合わせ首を振る。
「探したが見つからない」
「そんな男は見なかったなあ」
「そっか…ありがとう」
それでも諦めきれずに、私も探しに行くというと、2人は口を揃えて私を止めた。
「ネズミちゃん、やめといた方がいい」
「また、ヒルに噛まれるぞ」
ううっ、たしかに2人の言う通りだ。森の中は、何があるかわからない。私は携帯を見た。右下の数字は動いている。ということは、サトシはこの森のどこかで生きていると言うことだ。
「そいつとはどういう関係?」
「弟みたいな幼なじみ」
弟みたいな幼なじみと返事をして、ちょっと複雑な心境になる。この森での私たちは、なんていうか、こう、幼なじみ以外の繋がりがあったような気がする。まあ、結局はゲームクリアのために、私の気持ちを弄ぶようなことをしたから、許せないけど。でも、ここで死んだときの家族への連絡方法とか、家庭教師代の返金とか、それはやっぱり会って話しておかないと。
つづく