短編 30.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



第1話はこちら↓




「それで、ネズミが探してる男のことだけど」

急にサトシの話題になって、思わず座り直してしまう。

「うん、それで」

私が前のめりでたずねると、2人は顔を見合わせ首を振る。

「探したが見つからない」

「そんな男は見なかったなあ」

「そっか…ありがとう」

それでも諦めきれずに、私も探しに行くというと、2人は口を揃えて私を止めた。

「ネズミちゃん、やめといた方がいい」

「また、ヒルに噛まれるぞ」

ううっ、たしかに2人の言う通りだ。森の中は、何があるかわからない。私は携帯を見た。右下の数字は動いている。ということは、サトシはこの森のどこかで生きていると言うことだ。

「そいつとはどういう関係?」

「弟みたいな幼なじみ」

弟みたいな幼なじみと返事をして、ちょっと複雑な心境になる。この森での私たちは、なんていうか、こう、幼なじみ以外の繋がりがあったような気がする。まあ、結局はゲームクリアのために、私の気持ちを弄ぶようなことをしたから、許せないけど。でも、ここで死んだときの家族への連絡方法とか、家庭教師代の返金とか、それはやっぱり会って話しておかないと。






つづく