空想教室(植松努/サンクチュアリ出版) | 有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

あくまで一作家の一意見であることをご了承ください。
お問い合わせは、角川・幻冬舎・講談社各窓口へ。
Twitterアカウントはhttps://twitter.com/arikawahiro0609
悪意ある無断リンク・無断引用、ネットニュース等報道の無断引用は固くお断り致します。

【blogの注意書きにも書かせていただいておりますが、当blogの個人様・書店さん以外の悪意ある無断リンクや無断転載は固くお断りいたします。悪意を感じられるかどうかは、私と出版社の判断に依るものとさせていただきます。また、blog内容は、あくまで一作家の一意見であることをご了承ください】
【blogの注意書きを変えてほしい方がおられるようですが(特に「悪意ある無断リンク禁止」の部分)、悪意を拒否する意志を発することは自由だと考えておりますので、ご了承ください】


今日は、本のご紹介です(^-^)/

『空想教室』(植松努/サンクチュアリ出版)

こちらは、『だれもが知ってる小さな国』書店回りの最中に買いました。
札幌の三省堂さんが、入り口のところで全面展開していたのです。
気合いの入れ方が「買って!」と訴えてきて、サイン本を作る前に「ちょっと待っていただいていいですか」とレジに並んで買いました。
こちらの書店さんにお邪魔しなかったら、気づかずに終わっていたと思います。
こういう出会いをくれるから、リアル書店は素晴らしいのです。
(ネット書店も、もちろん便利ですけどね)

さて、植松電機という会社をご存知でしょうか?
帯の文言には、
「小さな町工場から自家製ロケットを打ち上げ、宇宙開発の常識を逆転」
とあります。
この紹介だけで、何だか胸が躍ります。
この、わくわくするような会社の社長さんである植松努さんの講演スピーチを一冊にまとめたのが、この本だそうです。

公にロケットの打ち上げをしようとすると、規制がいろいろ大変だから、私有地である工場で打ち上げちゃう。など、とてもアクティブかつダイナミックなおじさんの一人語りで一冊が綴られます。
そのおじさんは、本の表紙で清々しく空を見上げています。
フツーのおじさんですが、とても素敵な佇まいのおじさんです。

読んでいて、何だか涙がにじんでしまいました。
こんな夢多きおじさんが自由に跳ね回ってくれる日本は、まだまだ捨てたもんじゃない。
そう思って、嬉しくて涙がにじみました。

夢多きおじさんの素晴らしいスピーチは、実際に本を読んでいただくとして、私がこの本を紹介しようと思ったきっかけの言葉を、いくつか引用させていただきます。

・ぼくたちがロケットエンジンの試験をおこなって、誰も死ななかったのは、過去に命を落とした人が記録を残していたからです。
本には、そんなすばらしい人間の努力と命が詰まっています。


・どんな本でもいいから、できるだけたくさん読んでほしいと思います。
年齢は関係ありません。
マンガでも全然オッケーです。マンガにもいっぱいいいことが書いてあります。どんどん読むべきです。
読まないよりも読んだほうが絶対いいです。
伝記もかたっぱしから読んでほしいです。


・なにかをはじめようと思ったら、とりあえず本屋にいけばなんとかなると思いました。

こんな行動力のある素敵なおじさんが、事あるごとに本を読むことの素晴らしさを語ってくれているのです。
本には価値があると、何度も繰り返し伝えてくれているのです。

私がこのblogを始めようと思ったのも、実はこの本がきっかけでした。
よその業界の人が、これほど読書の素晴らしさを語ってくれているのに、本を作る側の人間が外聞を気にして縮こまっていてどうする、と。
読書の未来を閉ざさないために、自分の発信できることは発信していこう、と。

『空想教室』は、私に勇気をくれました。

そして、最後に、私が常々思っていることに近いことを、植松さんも仰ってくれたので、その言葉を引用します。

・みなさんの命はとっても大切なものです。そして可能性にあふれています。
なぜ人を殺してはいけないかといえば、それは「人の可能性を奪ってしまうから」ではないでしょうか。
言葉を使って人の可能性を奪うことも、人の命を脅かすことと変わりない、恐ろしいことだとぼくは思っています。


言葉は、人を生かす利器にもなるし、人を傷つける凶器にもなります。
言葉は、刃物と同じなのです。
ネットで誰もが簡単に言葉を発信できるようになりました。
素晴らしいことです。
ですが、どうか、言葉が刃物であることを意識して綴ってください。
そして、できることなら、優しい言葉の達人に。

※何だか上手く表示されなくてじたばたあがき中。すみません。