あろさんのスランプ脱出大作戦 | あろひろし観察記

あろひろし観察記

嫁から見た漫画家・あろひろしの観察記です。


先日(21/10/3)、Twitterでツリーとして書きました。
それをひとつにまとめておきたかったので、
今回の記事にしようと思いました。

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あろさんは「島の花嫁」に前後した期間、とてもひどいスランプに陥っていました。(今も少し引きずってますが…)
わたしが会社に行って、帰宅するまでの間、約12時間くらいはあるのですが、その間、あろさんは目に見える仕事はまったく何もしていないのです。
キャラクターのイメージイラストを描くわけでなく、ネタを書きとめたノートやメモがあるわけでなく。
わたしが「何をしてたの?」と聞けば「頭の中で考えてる」とあろさんは言います。
その同じやり取りをするのにも飽きて、
「あろさんの頭の中にあるのなら、それを具現化してください。まんがという形にして、広く読者に読んでもらいたいのなら、"あろさんの頭の中にあっても"形になっていなければ、あろさん以外の人は楽しむことが出来ません」
と、わたしは何回言ったことでしょう。
それでも、あろさんの仕事に向かう態度は変わりませんでした。
あろさんの性格上、読者に"ここが楽しかった!""こんな発想はできない!""すごい!"と手放しで褒めてもらえることが、何よりのモチベーションになるとわたしは思っています。
そのためには「まんがを描いて、発表する」のが必要です。
ですから、わたしは"とにかく露出を増やしましょう"と言い続けました。
今の時代、SNSやインターネットを使い、自分から発信することは出来ます。
それで「あろひろし、ここにあり」を世間に知ってもらいましょう、と提案しました。
でも、あろさんはわたしの言う意味が分からないままやっているので、どれも中途半端になってしまいました。

漫画家という、収入や保障が不安定な仕事をしている人と結婚したんですから、ある程度の不調は覚悟しておりました。
…"ある程度"は、ね。
さすがに数年単位でスランプだとあろさんに主張されるのは、わたしの気持ちも不安定になります。
あろさんがスランプ→抜け出せない→アドバイスしたところで、あろさんは行動しない→袋小路。

わたしは「まんがを描くあろさん」を後方支援していくのが、わたしの役目だと思っています。
あろさんに生涯現役漫画家でいて欲しい、だから、そのためなら、あろさんの健康管理や生活のお世話をすることは、負担や不公平だとは思わない。むしろ、わたしの作るごはんや清潔な服を着ることで、健康になって気分をアゲて、たくさんまんがを描くといいわ!くらい思っています。思っていました。

それでも、あろさんは描かないんですねえ。
この状態に数年単位で耐えたわたしも、かなり偉いと思うし、もっと褒めてと思いますが。

それで、あろさんに聞きました。
嫁「このままスランプが続いていいの?」
あ「嫌だ」
嫁「スランプ抜けるのにどうしたい?」
あ「インプットを増やすのに、映画を観たい」
嫁「分かった。月イチで映画を観よう」
という話になって、コロナ前まで約2年、月イチで映画の日を設定していました。
コロナになって、映画館からも足が遠のき、自然消滅しましたけど。
まあところが、2年かけてもスランプ脱出しないしない!
さすがにわたしもイライラしてきます。
わたしはあまり映画が得意では無いので、「映画の日」は完全にあろさんサービスの日になっていました。わたしのお金と時間と労力を使って、あろさんを接待しているだけです。
映画はあろさんにとってはインプットになってないな、とぼんやり気がついてはいましたが、その理由は分からなかった。
それが、ハッと気がついたのです。

元々あろさんは映画が好きだから、わたしがお札一枚渡して「これで何か観てきなよ。お金足りるなら、2本観てもいいし」とでも言えば、いそいそと自分ひとりでも行く。そんで楽しむ。
それは趣味です。

そうではなく、インプットを目的とするなら、「あろさんが興味ないもの」にこそ連れて行くべきだった。
お札をわたして「これで(例えば)カーリーのお花展に行って来なよ」と言ったところで、あろさんは「えっ?何で?」と行かないです。
でも、わたしが連れて行けば、そこそこ楽しむんです。

それは、シンフォニー(東京湾クルーズのお船)のときに分かってる。
あろさんがお船に乗ったことが無いと言うので、シンフォニーの予約をしたことがあるんです。残念ながら、悪天候で海を回ることはできませんでしたが、船の中を見たり、ごはん食べたりと、楽しんではいたんです。
そういうことをもっと体験させるべきだった。

自分が好きなことは、人が放っておいてもやります。
あろさんが自分で興味を持たなかったり、存在を知らないようなものこそ、わたしが手を引いて体験させるほうが良かったんだろうと思います、たぶん。
それがインプットのアンテナを立てるということなのかなと。
まだやってないから、効果は分かんないけど。

というのを、18歳3ヶ月で最年少司法試験合格という少年のニュースを見て思いました。
まあまだコロナどうなるか分からないし、混雑に連れ出すようなことはしたくないけど、近場の植物園とか博物館とかからでも、行けたらいいなと思いました。まる。