稀少疾患:オーファンドラッグは孤児薬? | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

製薬各社が稀少疾患の医薬品を相次ぎ開発するという記事を読んだ(日経新聞2月7日)。ファイザーや大日本住友製薬などは2月中にも小児の高血圧治療薬の承認を申請し、第一三共は耐性を持つ結核菌に対応できる抗菌薬を5月末までに申請する、という。
薬の公定価格を維持する制度の後押しで、売上高は小さくても要望の強い未承認薬を開発する。第一三共のクラビッドに至っては年間患者数100人程度というから驚きだ。それでも適応拡大などを考えれば十分価値があるのだろう。

今まで製薬大手各社はどこも大型新薬を狙い、稀少疾患など視野に入っていなかったはずだ。それでも各社が取り組むのは薬価引き下げに対抗するために、海外で認められていても日本で未承認の薬剤を減らすための策だ。


「稀少疾患」という単語は言葉の通り。会社を始めた頃、ある中規模薬品メーカが海外の睡眠障害の薬剤をブリッジングで導入し、オーファンとして申請して承認をとる、というプロジェクトを手伝わせていただいたことがある。初めての試みで、毎日トラブルの連続だった。私も暗中模索で必死だった。それでも苦労のすえ承認がおり、今では適応拡大に大きく展開している。
この当時忘れもしない失敗がある、
orphan drugを「孤児薬」と訳してしまった。今では英辞郎さえにも訳は出ているが、この当時は何もわからず、翻訳者がうっかり「孤児薬」と訳してしまい、気づかず担当者に笑われた。

(元々が、見捨てられた、という意味?)
ちなみにbridging studyを「橋渡し試験」と訳したこともある(汗)(クラインとも納得?)。
恥ずかしいエピソードだが笑い話に使ってほしい。
私はオーファンを扱っている製薬会社を探して営業したものだが、大手製薬会社がこぞってオーファンを開発、なんて当時想像もしなかった。


また、その時代「難病」対策の存在を知った。患者数が少なく、治らない国が認定する疾患だ。その研究を支援している団体が大阪にあり、かれこれ10数年おつき合いさせていただいている。
製薬メーカが絡まないので研究費が乏しく、現場は苦戦されている。そんな先生方を支援する団体だ。大阪難病研究財団、という小さな団体だが、長く地道な活動には頭が下がる。
http://www.nanbyo.or.jp/  そこにある「難病update」では、先生方に注目すべき論文を紹介していただいている。


製薬メーカのミッションは患者を治すことであり続けてほしいし、

患者数が少なくても助かる権利は平等であってほしい。