ナメクジの粘液から強力な傷薬 | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

サイエンス誌7月28日号で、ナメクジの粘液から新しい傷薬?という報告があった。「Tough adhesives for diverse wet surfaces」というタイトルで、傷口を塞ぐためのナメクジの粘液をヒントにした新種の外科用接着剤ができるというものだ。

 

ナメクジが分泌するねばねばに着想を得て、術後の傷口を効果的に塞ぐ粘着質で柔軟性のある接着剤が開発された。体内など、湿った動く表面に貼り付ける接着剤の開発は極めて困難とされてきた。既存の接着剤は有毒であったり、組織への接着力が弱かったり、湿潤環境では使用できなかったりする。これらの課題を克服するために、研究者らはナメクジ粘液に着目し、粘液の特性を模倣した接着剤を開発したのだ。

 

その接着剤は、特殊なポリマーを含有し、物理的作用によって接着力が強くなるのだという。ブタの皮膚や軟骨、心臓、動脈、肝臓にしっかりと接着し、さらに、ヒト細胞にとって有害ではないことも判明。血液でぬるりとしたブタの心臓の欠陥箇所を塞いだのだという。ラットではあるが、緊急出血の場合、この接着剤は止血鉗子の効果に匹敵したというから本物。

 

ナメクジのねばねばから究極の接着剤ができるかも、って思いついた研究者は偉い。こんな研究を紹介しているScienceもにくい。

 

実は私は年中、傷が絶えない。転んだり、ぶつかったり、物が当たったり。縫うほどではない傷が意外とくせもので、塞がるのに時間がかかったり、化膿したりして大変(最近は新しい傷テープが市販化されてとても嬉しい)。


今も外傷性の口内炎で苦しんでいる。このナメクジ接着剤がほしい、って心底願っている。

 

本文は以下から。
http://science.sciencemag.org/content/357/6349/378