フレッシャーズ論文に教えられる | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

企業の新入社員を対象にした「フレッシャーズ論文コンクール」という取り組みを日刊工業新聞社が行っている。今年で40周年。新聞離れが進む昨今、社会人1年生に、「文章力」「考える力」「情報感覚」を養い、発表することで、「充実とレベル向上」を目指してもらおうという仕組みだ。すべての論文にコメントがもらえ、上位入賞者には論文が紙面に掲載されるだけでなく、座談会への参加もある。ASCAの新入社員研修プログラムの仕上げに最適だと判断し、6名の新人たちに論文作成を取り組ませた。

 

学生時代と違い、いざ論文を書くとなるときついに違いない。それでも6人全員興味深いテーマでしっかり書きかげてくれた。
今年のテーマである「あすの企業を考える」ために、
「長く働き続けられる会社とは」
「ドラッカーのマネージメントから見る企業のあり方」
「長時間労働が健康に与える影響」
「新人として成長していくための職場環境」
「言語学習から考える3年の壁との向きあい方」
「情報通信技術の今から考える個性の重要性」

 

社会人になっていかに戸惑っているか、素直な気持ちが伝わってくる。先輩社員や会社にとって耳の痛い個所もあるが、何よりも、私が社会人になった頃と比べて数段にしっかりしていると確信する。

 

ASCAの「長く働き続けられる会社とは」の論文は「努力賞」に入賞。誰かを喜ばせ、役に立ちたい、心から沸き起こる感謝の気持ちや喜びを相手に伝えたい、そんなモチベーションが大事だ、という論文である。私が会社を作ったとき、まさにそう考えていた。初心に戻ったようで、改めて感動した。まずは入賞おめでとう。また、受賞はしなかったものの、どの論文も良く書けていた。ありがとう、ご苦労様。

 

ちなみにⅠ部第一席「経済産業大臣賞」のタイトルは、「『卵焼き』の人間関係を作るために」。
著者は、職場の人間関係の構築について「卵焼き」の作成プロセスを用いて説明している。卵の殻を割る(自己開示)、中身をかき混ぜる(コミュニケーション)、そして複数個の生地を型に流す(場の醸成)、この3つのプロセスが重要だと。人間関係がうまくいけば、日本企業の強みである現場と経営者のやりとりが活性化し、企業が強くなるのでは、と提言している。
http://biz.nikkan.co.jp/fresh/archive/work2008-2017/2017_1.html

 

Ⅱ部第一席「日本商工会議所会頭賞」のタイトルは「個人の成長から会社の成長へ」。
自己成長が望めないと感じると、会社への魅力が失われ、離職に繋がる。3年後離職率は30%にもおよび、近年ミスマッチしない採用活動も行われるようになったものの、数字は横ばいだと。それを防ぐためには、目の前の指導だけでなく、3年育成計画を作り、3年後を考えることが重要だと述べている。個人の成長が会社の成長にも繋がるという若者のメッセージは心強い。

 

どの受賞作品もユニークで面白い。ASCAの社員が同じようなメッセージを発しているのも興味深い。
今回の取り組みは新入社員のために、と思って行ったことではあるが、私たちのためのものだと再認識した。

新人たちには本当に多くを教えられる。