2018年、どう生きるか | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

新年あけましておめでとうございます。
お正月はゆっくりされましたでしょうか?

私は元旦を実家で迎え、91歳になる母を囲んで皆の健康を祝いました。

 

2018年最初に読んだ本は「漫画 君たちはどう生きるか」。実家にいた9歳の小学生が読んでいたのだが、表紙に魅かれて読みだしてはまった。舞台は80年前、原作は1937出版で、吉野源三郎氏の小説、『君たちはどう生きるか』という児童書だ。

 

旧制中学校15歳の少年が主人公で、いじめや貧困、格差、教養など、昔も今も変わらないテーマに悩み苦しみ、成長していく姿が書かれている。コペルニクスが好きなので、叔父さんに「コペル君」とニックネームをつけてもらい、あらゆる出来事に二人は真摯に向き合い続ける。

 

デパートの屋上から歩く人たちを「分子」と表現し、「人間は世界中の知らない人どうしでつながっている」と気づき、「人間分子の関係、網目の法則」と名付ける。地球の周りを太陽などが回るのでなく、地球が回る、つまり自分が中心でなく、自分が相手にあわせて動く意味も考えさせる。

過去を学ぶことで未来を考えることができる、だから勉強は必要である、とか、

世の中には貧しい人が多く、「生産する人」と「消費する人」という区別があることを見落としてはいけない、

なんの妨げもなく勉強ができ、才能を思うままに伸ばしてゆけるということが、どんなにありがたいことか、
恵まれた立場にいる人が、どんなことをしなければならないか、どういう心がけで生きてゆくのが本当か、

などどのメッセージも心に響く。

 

主人公の少年は友人を裏切り、死にたいと悩むのだが、叔父さんが、苦しいのは「自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまったという意識」、それを「苦しいと感じるのは、正しい道に従って歩こうとしているからだ」と諭してもらって立ち直っていく。


全てに科学と哲学が融合し、漫画と文章の組み合わせが読者をひきつける。


時代を超えた名著を、漫画家の羽賀翔一氏が原作をそのまま漫画化するのではなく、意訳しながら現代向けに「翻訳」。4カ月で100万部が売れたミリオンセラーだが、構想5年、企画、発売まで約2年かかったというから苦労工夫がうかがえる。


とても、戦前、軍国主義の時代の話とは思えない。

この本に、「どう生きるか」の答えはない。
2018年、自分で考えてみようと思う。

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皆さん、ご指導よろしくお願いします。