翻訳チェックを極める! | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

1月26日のJTF関西セミナーで、テリー斎藤さんによる「誰も教えてくれなかった翻訳チェック」の講義が開催された。昨年すでに受付終了、大阪大学中之島センターの会議室が満杯だった。

 

翻訳を教える翻訳講座や学校はたくさんあるが、翻訳チェックを教える講座はない。特に関西では初めてかもしれない。翻訳チェックについて考える、耳が痛い講座である。

 

翻訳の品質は、品質管理の工程で考える。

まず、翻訳に関るすべての要素別に翻訳に影響を与える因子をリストアップ。具体的には、翻訳原稿、参考資料、用語集などの「翻訳材料」、PC、翻訳ツール、マニュアルなどの「情報機器他」、工程管理、チェック方法などの「管理方法」、スタイルガイド、用語集、辞書などの「基準」、ツール、書籍、経営者、コーディネータ、翻訳者、チェッカーなどの「人」が対象になる、と。翻訳者の場合は「人」が「知識と能力」に置き換えられ、専門分野、翻訳力、語学力、IT知識なども要素に含まれるのだと。

 

次に、因子別に品質保証保障マトリックスを作成する、具体的には、因子別にどの工程で何を保証しなければならないのか、など。
さらに、上記のマトリックスをもとに翻訳品質保証工程を設定する、
というものである。

 

「品質」「保証」「マトリックス」、という単語が出ると、製造の仕事をしていない人にとってはなじみが薄い。
翻訳という1作業であっても、どんな原稿か、参考資料、どんなツールが使えるのか、用語やスタイルは何に合わせるのか、また、営業、コーディネータの力量、もちろん会社の経営方針、当然、翻訳者やチェッカーの力量、そのうえ、クライアント、その力量によっても大きく異なるので、そこを行程で管理することが品質につながるということである。

 

ミスをしないために、翻訳作業の後、納品までに13の工程が紹介されていた。
頭がくらくらした。
同じ原稿を10社の翻訳会社に依頼した場合、仕上がりは異なる。
翻訳コンテストがあったらテリー氏の会社が優勝?

 

以前テリー氏に、「ミスが減らないのですが、どうしたらいいですか?」と伺った際、「なぜエラーがあるんですか?」って聞かれて唖然とした。
思わず、
「人間がすることなんで」、
「注意しているのですが」、
「納期が短くなっていて」、
言い訳が情けない。
クライアントからも同じことを聞かれ、返事に窮したことが何度もある。

 

クライアントの要求は増えるばかり。
納期が延びることもなかろう。
単価が上がる期待はなく。
ミスを許してくれないばかりか、今ではミスに対しては減額さえも求められることも。

 

それでも、考えてみれば、昔は高額な辞書を買わないといけなかったし、調べ物は図書館に行かないといけなかった。ネットさえも高く、PCのスペックも低かった。これからは、支援ツールも使い勝手がよくなるだろうし、機械翻訳を使えばもっと効率が上がるかもしれない。

嘆くより、テクノロジーを味方にしよう。

 

次回JTF翻訳セミナーは3月2日、本年度最後のセミナーにいよいよ高橋聡氏に登壇いただく。タイトルは、「脱・辞書の持ちくされ≪60Hz≫~どの辞書をいつ引くか~」。辞書エキスパートの深井裕美子氏にも登壇いただくペアセミナーだ。できる翻訳者になる方法を教えてもらえそうだ。

会場は「大阪大学中之島センター」、懇親会はワインも料理もおいしいおしゃれな「リナージュ」である。すでに懇親会の残席わずか。

是非以下から申し込んでほしい。
http://www.jtf.jp/west_seminar/index_w.do?fn=search