井伏鱒二の「花も嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」という詩が好きだ。特にこの季節になると、切なく胸に響く。昨日で我が家の桜も散った。どんなに美しい思い出があっても、別れは来る、悲しいけど前を向こう、と。
大切に思っていた社員が辞めるのは一番つらい。春の別れはセンチメンタルだ。
一方で素敵な季節でもある。新しい社員が加わり、若いパワーがみなぎる。彼女たちと話すだけでもワクワクする。
その上今日の朝礼で、いきなりクラッカーが鳴り、お祝いメッセージ、カード、私の常飲ドリンク、お花までもらった。会社の誕生日は私の誕生日であるのだが、皆が覚えてくれていた。若い社員たちの企画なのだそう。
会社を作って23年間、今週から24歳になる。
これほど幸せな社長がどこにいよう。
毎年このシーズンが来ると、今年も頑張ろう、といつもこぶしを握る。まさか今年は皆が祝ってくれるとは。みんな、ありがとう!
先日ある大学の医学部教授が退任された。そのお祝いの席に招いていただいたのだが、女性が多く、それもとてもおしゃれで驚いた。ソムリエによるワインセミナーが開かれると思ったら、ヴァイオリン、チェロなどで構成されるコンサートが始まり、華やかさと美しさに圧倒された。彼女たちはその病院で、患者さんたちのために院内コンサートで演奏しているのだと。
放射線科の医師である。地階の診察室の前に楽器を運んでもらい、小さなコンサートが開かれたのが最初だったとか。当初は職員が聴きに来ていただけだった?このコンサートで励まされた患者さんはどれほど多く、疲れた職員たちも癒されたに違いない。
スタッフのビデオレターが流れた時は笑いと涙だ。職員が皆で先生に感謝を伝えている。だれよりも仕事を愛し、人が嫌がることを率先して引き受けてくださったようだ。感謝、感謝コールが鳴りやまない。
私も大好きな先生だ。
先生の爪の垢でも煎じたい、といつも思っていた。
その先生は多分日本で一番幸せな医師で、私は一番幸せな社長だ。
今日祝ってくれた社員のためにもっと頑張ろうと志を高くもった。
本当にありがとう!