ダニエルは絵を描くのが好きな女の子です。
ダニエルの描く絵は、ちょっと不思議。
踊るコウノトリ、おしゃれをしたきつね、空飛ぶカエル、シルクハットをかぶった鳥、足のはえた魚、巨大なバラ…。
写真家のお父さんには、それが不満です。
どうして目に見える通りに描かないんだろう。
ダニエルはお父さんが大好きなので、お父さんの言うように、写真のような絵を描こうとします。
でも、なぜか退屈で、筆が進みません。
どうしても、空想がひろがり、手が勝手に動いて、不思議な絵を描いてしまうんです。
あるとき、お父さんが高い熱を出しました。
写真を売って、その日暮らしをしていた親子は、たちまち生活に貧窮してしまいます。
ダニエルもお父さんの真似をして、写真を撮って売ろうと思い立ちますが、なかなかうまくいきません。
苦戦していると、女の人が通りかかりました。
画家のカミーユ・ブトンさんは、ダニエルが気の毒になり、家へ連れて行きます。
そこには、不思議な絵がたくさん飾ってありました。
ブトンさんは、ダニエルを助手にすることにしました。
お給料ももらえて、ダニエルは大喜び。
絵も見てもらえることになり、こんな絵では画家になれない、と思っていたダニエルに、光芒が見えました。
お父さんも、「この子はこの子で、自分の道をみつけたんだな」と感心します。
お父さんとダニエルが、お互いを慈しみ合う、ほろりとするストーリーもさることながら、繊細でクラシカルな絵がものすごくいいです。
ダニエルの描いた絵が、また上手で、とても少女の絵とは思えません。
この才能なら、認められて当たり前、という気がします。
なごみ系ではありますが、「さあ、自分の道をみつけよう」という啓蒙的なお話と言えなくもありません。