おばあさんのメリークリスマス | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

おばあさんのメリークリスマス


孫娘のために、おいしいフルーツケーキを焼いて、クリスマス・イブの準備にいそしむおばあさん。

が、風邪をひいていけなくなった、という電話をもらい、しょんぼり。

しかしそれもつかの間、ラジオでジングルベルの音楽を流しながら、歌って踊って演奏しての、ひとりパーティ。

ああ、いい気分。

音楽が鳴り止むと、割れるような拍手、拍手、拍手。

あれあれ?

外にいたのは、うさぎちゃんと、きつねどんと、くまくんでした。

3びきのお客さんを迎えて、パーティはますます盛り上がります。


夜が更けて、動物たちは家に帰る時間になりました。

いつのまにか外は雪。

くまくんの頭にはショールで、きつねどんの頭にはスカーフで、うさぎちゃんの頭はハンカチで、覆ってやりました。


翌朝、玄関をあけてみると、積もった雪がきらきらと輝いています。

そして、入り口から外へ向けて、きれいに雪かきがしてありました。

うさぎちゃんと、きつねどんと、くまくんからの、贈り物です。


そのとき、孫娘から電話がありました。

もういちど、楽しいクリスマスを過ごせそうです。



私が20代になりたての頃。

バイト先で知り合ったおばあちゃん。

若い子が中心の職場で、ひとり黙黙と働いているおばあちゃんに、私はなついていました。

その年の暮れ、娘さんは遠くへ嫁ぎ、お正月にお節をこしらえても誰も来ない、と言っていたので、それなら私が行くわ、と言いました。

しかしあろうことか、約束の日、熱を出してしまったんです。

電話で行けないと謝ると、「あらあら、せっかく筑前煮や黒豆を煮たのに」とがっかりするおばあちゃん。

今なら、そのがっかりが、どれほどだったかわかります。

あの日、おばあちゃんのところへも、うさぎちゃんやきつねどんが遊びに行ってくれたら良かったのに。