ばばばあちゃんシリーズで著名な、さとうわきこさんのクリスマス絵本は、マンガみたいにコマ割りとふきだしがある、ユニークな本です。
サンタさんと言えば、クリスマスにプレゼントを配るのが仕事ですが。
配るのと同じくらいに、拾っているんですって。
捨て猫や捨て犬や捨てあひるや、壊れたおもちゃ。
ほつれたぬいぐるみや、まだ使える楽器。
おなかがすいたひとりぼっちのしろくまやあざらしやぺんぎん、仲間とはぐれたうさぎやきつね。
あらら、おばけやかみなり坊やまで?
「おいでおいで うちにくれば すむところくらい いくらでもあるさ」
サンタさんの家は、そんなに広いんでしょうか。
「こりゃ わしが きょねん もってきたものだ」
サンタさんがプレゼントしたおもちゃが捨てられていても、すねたりいじけたりせず、うちにもって帰ります。
ソリには積みきれなくなり、拾ったバスに載せて、ソリで引っ張って帰ります。
可哀想に、トナカイさんたちが息を切らしていますよ。
家につくと、サンタさんの奥さんが、
「おや まあまあ おまえさんたら またかい! いいかげんしておくれ」
と呆れながらも、家の中へ案内してくれます。
家の中は、去年拾った、一昨年拾った、その前の年にも拾った、おもちゃや動物たちでごった返しています。
宇宙人もいるではないですか。
引き出しの中にも本棚にも壁掛け時計の中にも、動物たちがいます。
本当に「おまえさんの すむところくらい いくらでもある」のかな。
そんな気のいいサンタさんのお話です。