ゆきのよあけ | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

ゆきのよあけ

読み終わったあと、しーんとしてしまいました。


凍りつくような寒さの、夜の森。

野うさぎの子が、ひとりでうずくまっています。

恐ろしいキツネに襲われて逃げた、あの夏の日に、かあさんとはぐれてからというもの、子うさぎはひとりぼっちなのです。

ひとりで草を探して食べ、硬い木の皮をかじり、毛づくろいを覚え、生き延びてきました。


その夜、野ねずみの駆けて行く足音がしました。

その足音を聞きつけたイタチが、風のように追いかけていきます。

「きゅうっ」

悲鳴が上がりました。

鳥たちがざわめいています。


「ぼっ、ぼうーっ」

ふくろうの目が光ります。

獲物を待ち伏せています。

みしり、みしっ。

密かに雪を踏みしめ、忍び寄る足音は、キツネ。


野うさぎの子は、じっとしていますが、気づかれてしまいます。

追ってくる、キツネとふくろう。

野うさぎの子は、死に物狂いで雪を蹴って逃げます。

蹴って蹴って蹴り上げます。

足を停めたそのときが、命の終わりなのです。


夜がしらじらと明けました。

野うさぎの子は、生き延びた喜びに、からだじゅうから力が湧いてきます。


離れ離れになったかあさんが、どこからか出てきて、助けてくれる、そういう展開を予想していた私は、甘かった…。


野生の動物たちが冬の森を生き延びる、そういう厳しいお話なのです。