この絵本を書かれた昨年、かこさとしさんは88歳です。
生きているだけでも拍手なのに、この筆力。
お話もしっかり筋道が立っていて面白いし、絵も小さなあかいありを顔の表情まで描き分け、むかでは恐ろしく、うすばかげろうの羽は透き通り、花火の色は鮮やかに。
もともとかこさとしさんの絵本は文章量が多いのですが、まったく衰えていないどころか、ますます増えているような気さえします。
しかも、私の知っている限り、昨年2014年は「だるまちゃんとにおうちゃん」「だるまちゃんとやまんめちゃん」「おたまじゃくしのしょうがっこう」「あおいめのめりーちゃんおかいもの」など、続々と新刊が出ているんです。
いやあ、すごいなあ。
本屋さんで、ぴかぴかの新刊を見るたび、感嘆します。
さてこのお話は、ロングセラー「あかいありとくろいあり」の続編です。
あかあり小学校の生徒たちは、先生やPTAの親たちと一緒に、遠足へ行きます。
1)先頭・前進班 班長オットコ先生と1,2年生
2)救援・給食隊 隊長モコモコばあさんと3,4年生
3)組立・工作組 組長ジンキチじいさんと5,6年生
4)団結・団子団 団長アララ先生
以上4つのグループを編成し、それぞれ、無事に遠足ができるよう、荷物を用意します。
幸い、素晴らしいお天気に恵まれ、ぼたもちやま目指して、さあ出発です。
この行列は、長いですよ~。
だんだん道が険しくなっていきます。
ふいに岩陰から、足が何本もある「アカムカデ」が襲い掛かってきました。
「よおーし、前進班の長棒組み、前へ出て、子どもたちを守って下さい」
オットコ先生の掛け声で、長棒を持ったお父さんたちが戦います。
アカムカデ、退却。
半分くらい登ったところで、一休み。
給食隊のお母さんたちから、冷たい水、団子団のおばあちゃんから、甘いころころ団子が配られます。
が、この団子を狙って現れた、ナメクジビル!
ペタペタニロニロした、気持ち悪いやつです。
「給食・救援隊。味付け粉ボールをベタベタ怪物に向かって、投球はじめ!」
モコモコばあさんが大声を上げると、お母さんたちがいっせいに辛子ボール、生姜ボール、わさびボール、カレーボールなど、スパイシーな団子を投げつけ、ピリピリヒリヒリ、ナメクジビル敗退。
こうして一隊は、ぼたもちやまの頂上を極めます。
帰り道は、工作組が、木の葉っぱにタイヤをつけた「あかあり列車」で、シューシューと下山。
快適、快適。
次の日から、みんなまた元気に勉強したり遊んだりしたということですが、こんな楽しい冒険遠足の後なら、そうでしょうとも。
子どもたちの行事に、PTAのお父さんお母さんが、熱心に参加してくれるのは、素晴らしいことですね。