ずどんといっぱつ | アトリエぽーぽー

アトリエぽーぽー

『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

ずどんといっぱつ


シンプは誰が見たって醜い子犬。
ちっぽけでふとっちょで、しっぽときたらぷつんと根元だけ。
シンプの兄弟たちはみんな貰われていったのに、シンプだけは貰い手がなく、とうとうお払い箱に。
だからって、ゴミ捨て場に捨てなくてもいいと思うんですが…。

ゴミ捨て場の肘掛け椅子で、シンプは夜を明かすことになりました。
ネズミが来て、パンをひときれ恵んでくれましたが、
「でもな、朝になったら出て行くんだぞ。おれたちネズミだけでも、ここの暮らしはキツイんだ」
と追い払われてしまいます。

翌日、町をうろうろしていると、野犬狩りの男に捕まってしまいました。
車が野犬収容所に着くと、シンプは男の目を盗んで、塀の外へ飛び出します。
走って走って、もうおなかはぺこぺこ。
そんなとき、遠くにサーカスの灯りが見えました。

シンプに、お腹いっぱいの食べ物をくれ、ベッドを貸してくれたのは、ピエロのおじさん。
大砲を打って、的を突き破るのが、おじさんの芸なんですって。
しかしおじさんには、悩みがありました。
「今夜のショーまでに、もっとおもしろい工夫をしておかないと、おまえはクビだ」
と宣告されていたのです。

シンプに名案が浮かびました。
大砲の玉の代わりに、自分がまあるくなって、飛び出すんです。

ずどん!

飛び出してきたのは子犬!
お客さんは拍手喝采。
シンプはアンコールに応えて、何度何度も飛び出しました。

こうしてシンプは、サーカスの目玉となり、ピエロのおじさんもクビを免れ、幸せに暮らしました。