ロバのロバちゃん | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

ロバのロバちゃんは、馬のパットくんの耳を、短くて素敵だな、と思いました。
ロバちゃんの耳は、長いんです。
一度気になり出すと、気になってしょうがないですよね。
ロバちゃんは、自分の耳がイヤでイヤで、食事も喉を通らないほどになりました。

頭のいい犬のヘクターくんなら、いいことを教えてくれるかもしれない。
そう思ったロバちゃんは、ヘクターくんのところへ、相談にいきます。
ところがヘクターくんは、こう言うではないですか。
「きみの へんなところはね、そんなふうに みみがぴーんとたっているところさ。まるでほかけぶねみたい。みみってもんは、ぼくのように、たらしておくものだよ」

ロバちゃんは、耳を垂らすと満足して、また元通り、元気になりました。
しかし、子羊のムクちゃんが、こう言うではないですか。
「あたしを見てごらんなさい。やぎのフィビーちゃんや、牛のファニーちゃんや、ご主人も見てごらんなさい。みんな耳を横につけているでしょ」

言われてみれば、そのとおり。
ロバちゃんは、さっそく耳を横に直しました。
が、横に長い耳は、小屋の入り口につかえ、たまたま出ていた釘が、運悪く突き刺さってしまったんです。
ロバちゃんの悲しみようときたら。

悲しんでいるロバちゃんに、ぶたのローザおばさんが「耳を前向きにしておけばいい」と教えてくれました。
まったく素敵な思いつき。
ロバちゃんはすぐに、耳を前向きにします。
ところが、今度は前が見えなくなり、ペンキを塗っているご主人のはしごにぶつかり、ロバちゃんもご主人も、怪我をしてしまったです。

やっと怪我が直った頃、すずめのダニエルくんが、こう言いました。
「ばかなロバちゃん。きみはいぬじゃない。ひつじじゃない。ぶたじゃない。きみはロバだ。ロバらしく、耳をぴーんと立てとけよ」

その日から、ロバちゃんは、しあわせなロバになりました。

よくある、ありのままでいい、というロバくんへの教訓ですね。
と同時に、犬のヘクターくんも、子羊のムクちゃんも、ぶたのローザおばさんも、自分の耳が一番いいと信じて疑っていないのはいいのですが、人にそれを押し付けてはいけません、というメッセージも含まれているのでしょうか。
いちばん小さくて弱そうなすずめのダニエルくんの一言が、きっぱりしていてかっこいいです。