昨日に引き続き、ワニくんシリーズの第二弾です。
日曜日、ワニくんはモモコさんに、デートをドタキャンされてしまいました。
「大事なパーティのこと、忘れていたのよ。ピンクのドレスまで作ってたのに、あたしってほんとにわすれんぼなのね。パパもママも、ワニくんのほうをお断りしろって、うるさいの。ごめんなさーい。だからワニくんも、あたしにかまわず、いい1日を楽しんでね、バーイ」
ひどい言い草じゃないですか。
ワニくんの目からは、シャンパンの栓を抜いたように、涙が吹き出します。
やけくそになって、街へ飛び出したワニくんは、いきなりワニのおばあちゃんに抱きつかれます。
「ジロー、まあ、こんなところであえるなんて」
明らかに人違い。
ぼくはジローじゃありません。
が、おばあちゃんの怪力なこと、強引なこと。
さっさと高級レストランへ連れて行かれてしまいました。
一方的に、思い出話をするおばあちゃん。
しかしワニくんも、自分のおばあちゃんを思い出して、ついほろりとなってしまいます。
それで、お財布を忘れてしまったというおばあちゃんに、「給料をもらったとこだもの、ごちそうしますよ」と気前良くおごってあげるのでした。
なんて人がいい。
レストランの外へ出ると、ワニの紳士が立ちふさがりました。
まるで誘拐犯を見るような目つきです。
「ぼ、ぼくは、その…」
しどろもどろのワニくんの目に入ったのは、なんとモモコさん?!
この紳士こそがジローで、モモコさんのお父さん?!
モモコさんが言っていたパーティは、おばあちゃんの100回目のお誕生日を祝うパーティだったんです。
ワニくんもモモコさんの家にご招待され、ピンクのドレスで着飾ったモモコさんとダンス。
ワニくんは胸がいっぱいで、しっぽの先までしあわせに震えていました。
おばあちゃんにも親切にしたので、これならお婿さん候補として、高得点を取得したことでしょうね。