どんな食べ物で、食物アレルギーが出ることが多いのか?
こんにちは。橋本です。
「ほんとうに食物アレルギーがあるか?」
「どの食べ物に食物アレルギーがあるか?」
これをはっきりさせるには、じつは、想像以上に手間がかかったりします。
というのも、食物除去試験・食物負荷試験というダブルチェックしないと、食物アレルギーは、はっきり確定させられないからです。
つまり、特定の食べ物、症状の容疑者となる食べ物を、最終的に1つずつ試していかないことには、正しい答えが出ないということです。
すべてを疑うのは混乱のもと
しかし、食事は1日3食、毎日食べるもの。
すべての食べ物を、あてずっぽうに食物アレルギーの容疑者と疑ってしまうと、わけがわからなくなってしまいます。
とくに、ジワジワと湿疹とか、蕁麻疹(じんましん)が繰り返したりしていると。
そこで1つ知っておくと、少し助けになるだろう、ということがあります。
「どんな食べ物で、食物アレルギーが出ることが多いのか?」ということです。
即時型食物アレルギーの疫学(えきがく)
日本国内の食物アレルギーに関する疫学調査で、厚生労働科学研究班がおこなった次のような報告が参考になります 1) 。
調査対象は、
食後1時間以内に、食物アレルギーの症状が出て、医療機関を受診した患者3882人
短時間で症状が出る、いわゆる「即時型食物アレルギー」というものが、どの食べ物で出たかを調べたものです。
アトピーの湿疹のように1~2日かけて、ジワジワ変化する症状を診断調査したわけではないことには、注意が必要です。
全年齢層でみると原因食物は?
次の円グラフは、全年齢層を含めた患者3882人が、どの食べ物で即時型アレルギーをおこしたかをあらわしています。
いちばん多い鶏卵、つぎに乳製品、そして小麦。
いわゆる三大食物アレルゲンといわれるものが、6割以上を占めています。
その次にエビ、カニなどの甲殻類(甲殻類)、果物、蕎麦(そば)と続きます。
年齢別でみた、おもな原因食物は?
次にあらわすのが、年齢別でみた即時型食物アレルギーの原因食物、トップ5です。
0歳 | 1歳 | 2、3歳 | 4~6歳 | 7~19歳 | 20歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 鶏卵 62% |
鶏卵 45% |
鶏卵 30% |
鶏卵 23% |
甲殻類 16% |
甲殻類 18% |
2 | 乳製品 20% |
乳製品 16% |
乳製品 20% |
乳製品 19% |
鶏卵 15% |
小麦 15% |
3 | 小麦 7% |
小麦 7% |
小麦 8% |
甲殻類 9% |
そば 11% |
果物類 13% |
4 | 魚卵 7% |
そば 8% |
果物類 9% |
小麦 10% |
魚類 11% |
|
5 | 魚類 5% |
魚卵 5% |
ピーナッツ 6% |
果物類 9% |
そば 7% |
|
小計 |
89% |
80% |
71% |
66% |
61% |
64% |
いちばん下の段の「小計」は、トップ5のパーセンテージを合計したものです。
離乳食を開始する0歳では、鶏卵、乳製品、小麦だけで90%近くを占めています。
その後、1歳で魚卵、魚。
2、3歳で、蕎麦(そば)。
4~6歳で、エビ、カニなどの甲殻類(こうかくるい)、果物、ピーナッツなどが要注意になってきます。
データから「どれが」「どれだけ」要注意かを知る意味
先にもいったように、これはあくまでも、即時型食物アレルギーを調べたデータ。
アトピー悪化の要因としての「遅延型アレルギー」を調べたものではありません。
しかしながら、おおよそ「こういうものによく食物アレルギーが出るんだな」というのを知っておく。
さらに、「食べ物で悪化しているに違いない!」という過剰な思い込みがないように気をつける。
そうすれば、こういうデータは、子どもの離乳食を進める際、またはアトピー治療の参考になるわけですね。
引用文献:
1) 今井孝成、海老澤元宏: 平成14年・17年度厚生労働科学研究報告書.